義経一行が船魂明神に守護され助けられた船魂神社
船魂神社は、北海道函館市元町の函館山の麓に鎮座しています。「ふなだまさん」として親しまれ、古くから北洋・遠洋漁業、青函連絡船など航海守護の神として崇敬されてきました。今でも函館港の安全や港湾関係者の安全、フェリーをはじめ貨物船・漁船・遊覧船などの船の守護神として、北海道内をはじめ全国各地から船に携わる人々からの篤い崇敬を集めています。
平安時代からの歴史がある船魂神社は、北海道では最古の神社と伝えられています。高僧の良忍上人(りょうにんしょうにん)がこの地を訪れた際、神霊の宿る所と人々に伝えたことが船魂神社の始まりです。本州と北海道を隔てる津軽海峡は、昔から海流が激しく海難事故の多い難所でした。そのため、海上安全を願い観音堂として奉られたのです。船魂神社には、義経一行が船魂明神に守護され助けられたという「義経伝説」も残されています。
船魂神社のご祭神・塩土老翁神(しおつちのおじかみ)は、神話の中で導きの神として登場し、とるべき行動を示すという重要な役割を持つ神で知られています。参拝に訪れた人々の、方向を誤らないよう物事を導いてくれることでしょう。授与品のお守りや御朱印帳には、船の操舵輪がデザインされたものがあり人気です。人生の舵をとるのは自分自身ですが、神に導かれ守護された心強い人生を歩みたいものですね。
船魂神社の特徴
船魂神社の社記によると、平安時代後期の1135年に観音堂を奉ったことが、船魂神社の始まりとされています。融通念仏宗の開祖・良忍上人が、本州から海を渡り函館の地に着き、この地が神霊宿る場所であることを人々に伝えました。そこで、海難事故の絶えない津軽海峡の海上安全を祈念して奉られたのです。江戸時代の末頃には、船魂大明神との名称で崇められていました。明治12年に村社となり、船魂神社と改称されています。
船魂神社にまつわる「義経伝説」は、「蝦夷実地検考録」に記されています。平安時代の終わり1190年、義経一行は船で津軽から北海道へと渡っています。その航海は流れに逆らって打ち寄せる逆波により、海流が激しく荒れ沈没する所でしたが、義経たちは船魂大神の神助によって守られ一命を取り留めたそうです。
義経一行は無事に着岸でき安堵して歩いていると、急に義経が喉の渇きを覚えたため水場を探していました。すると突然、童子が岩の上に姿を現して指を差しました。その指差した方向を見てみると、清水がこんこんと湧き出ていたそうです。義経一行は喉の渇きも潤すことができ、改めて船魂大神のご神徳に感謝して詣でたとの伝説が残されています。
船魂神社には、潮流の神・導きの神である塩土老翁神、海を司る神の大綿津見神(おおわたつみのかみ)、厄除開運の神である須佐之男神(すさのおのかみ)が祀られています。海上全般の守護神、開運・導きの神が祀られた神社です。そのため、漁業・船舶関係者はもとより、受験生・就職活動中の学生などからも進路の守護神として篤く信仰されています。
相殿神として愛宕神社も祀られています。愛宕神社は、函館の地名の由来ともなった宇須岸河野館の河野氏が、函館山の西にある愛宕山に創建した神社です。その後、明治13年に愛宕神社は船魂神社に合祀されました。境内社として弥彦神社・八雲神社・稲荷社、そして、函館山七福神の1柱である福禄寿も祀られています。
船魂神社の社殿は、江戸時代1745年・1848年と、明治40年、昭和2年と再建された記録が残されています。現存する社殿は昭和37年に建て替えられたもので、神明造の荘厳な社殿です。函館港が望める高台に鎮まる船魂神社の神は、海や人々をいつも見守って下さっています。
船魂神社のご祭神
ご祭神
塩土老翁神
大綿津見神
素戔嗚尊
相殿神
愛宕大神
船魂神社のご利益
船魂神社は、航海安全・大漁祈願・交通安全・家内安全・開運成就・学業成就・安産・病気平癒など、様々なご利益で知られています。船魂神社限定のオリジナルお守り「舵守」は、海路交通・道路交通・進むべき道を守護するお守りとして人気となっています。また、おみくじのパワーストーンが入った「三角みくじ」や、「扇子おみくじ」も人気です。
船魂神社のどこが見どころか?
船魂神社は函館市電「末広町」を下車し、「日和坂」を上りきった函館山の麓に位置しています。周辺は函館の観光名所の中心部で、旧函館区公会堂・旧イギリス領事館・函館ハリストス正教会などの、伝統的建造物群保存地域の洋風建築が並んだ地域の中に鎮まっています。坂の下には赤レンガ倉庫などがあり、ベイエリアの観光スポットからも近い場所です。
船魂神社の境内からは、函館の港を見下ろすことができ、清々しい気に満ちています。鳥居から拝殿までは真っ直ぐ一直線で、緩やかな上り坂となっています。社殿の背後にそびえる山と、海からのパワーが真っ直ぐに流れこむ参道を歩くだけで、浄化されているような心地よさが感じられることでしょう。
小さいながらもエネルギーに満ちた船魂神社には、航海安全・大漁祈願などの他、開運厄除・学業成就などのご利益を求めて訪れる参拝客の姿が見られます。人生の局面で決断を下すとき、このまま舵を取るべきか、舵を切るべきか悩んだ時には、船魂神社を参拝すれば良き方向へと導いて頂けることでしょう。神霊宿る所として開かれた北海道最古の神社、開運導きの神が鎮まる船魂神社を訪れてみてはいかがでしょうか。
童子岩
船魂神社の参道途中の右側には、手水舎が設置されています。その手水舎の左隣に、義経の伝説が伝えられる、童子が現れたとされる「童子岩」が奉られています。童子岩には紙垂が架けられており、義経伝説が記された立札があります。また、側には義経の顔出しパネルも設けられています。
福禄寿
船魂神社は「函館山七福神」の1社でもあり、境内には福禄寿も祀られています。「幸福・俸禄・長寿」の三徳を備え、「福寿繁栄・招徳人望」の功徳があるとされています。福禄寿の文字それぞれには意味があり、「福」は幸福(子孫繁栄)・「禄」は財宝(金運)・「寿」は長寿を表しているのです。
そして「招徳人望」とは、人に慕われる人徳を得るということです。頭の長い福禄寿は知恵者であり、学術向上のご利益もあります。良縁祈願・人間関係の悩み解決・学力向上などに繋がります。船魂神社の参拝に合わせて、福禄寿にもお参りすれば更に運気も上がることでしょう。
船魂神社の一番パワーのある所
船魂神社は、函館山からのパワーと海からのパワーが流れ込んだ、清々しいパワースポットです。特に拝殿前はパワーがあるとされています。
まとめ
北海道函館市元町の函館山の麓に鎮座する船魂神社は、「ふなだまさん」として親しまれています。古くから航海守護の神として、篤く崇敬されてきた神社です。平安時代の創建とされ、北海道最古の神社と伝えられています。良忍上人がこの地を「神霊の宿る所」と言い伝えたことが起源となりました。義経一行が船魂明神に守護され助けられたという「義経伝説」も残されています。
ご祭神の塩土老翁神は導きの神であり、とるべき行動を示す神で知られています。航海守護の神・導きの神が奉られた船魂神社には、航海安全・大漁祈願から、開運成就・学業成就などのご利益があるとして多くの人が参拝に訪れています。
ライター 梅花桜花
基本情報
住所:〒040-0054 北海道函館市元町7-2
TEL:0138‐23‐2306
定休日:無
拝観時間:24時間参拝可能
拝観料:無
アクセス:JR函館駅より函館市電 末広町下車徒歩8分
駐車場: 無(近隣にはコインパーキングがあります)
HP:https://www.funadama.com/