天空のパワースポット「箱根元宮」
富士山をはさんだ南側、富士宮・三島・熱海などは陽の働きといわれています。それとは対照的に箱根は陰の働きといわれ、事業や物事を着実に進める力をもたらすとされており、大地の癒しの力も得られるなど、強力なパワースポットになっています。
その中心的存在が箱根神社であり、そのルーツが「箱根元宮(もとつみや)」です。元宮は箱根のシンボル的な山、駒ヶ岳の山頂にあります。山頂、というと参拝より登山をするイメージがあり行くまでに躊躇しがちです。しかし、箱根元宮は意外とアクセスも良く、天空の社殿ならではの神秘的な雰囲気が体験できます。
箱根神社は行ったことがあるけれど元宮はない、という人も多いかもしれませんね。箱根神社まで行ったのなら、ぜひ奥宮である箱根元宮にも足を伸ばしてパワーを頂きましょう。
箱根元宮の歴史
はじまり
今からさかのぼることおよそ2,400年前、霊峰である神山の山神に畏敬の念を抱いた聖占(しょうぜん)仙人は、駒ヶ岳の山頂に神仙宮を建立。次いで、利行丈人と玄利老人によって神山を神が降臨する場、「天津神離(あまつひもろぎ)」とされます。そして駒ヶ岳を、神を拝む場である「天津磐境(あまついわさか)」としたのがはじまりとされています。
その後、ご神威は広く知れ渡ることとなり、歴代の天皇の崇敬や庶民からの信仰を集めます。仏教が渡来してからは、神仏習合として修験者(しゅげんしゃ)達が修行する全国屈指の霊場の場となりました。そして、奈良時代には僧侶の万巻(まんがん)上人が、箱根大神(はこねおおかみ)のご神託を受け、山麓にある芦ノ湖畔に社殿を建立し、広く人々が参拝できるように里宮としました。これが、箱根神社のはじまりとされています。
神山をご神体とし駒ヶ岳山頂に鎮座する元宮は、箱根神社の奥宮として、1964年(昭和39年)に西武鉄道創始者である堤康次郎氏が箱根の神様へと奉納し、再建されたものです。
通常、神社には拝殿と本殿があり、一般的に本殿に神様がいらっしゃいます。しかし元宮にはその本殿がなく、拝殿しかありません。これは、元宮自体が神様を拝むための社殿だからなのです。
一般的に御扉(みとびら)は本殿にあり、元宮にもそれに似た扉があります。その扉を開けると真正面に、箱根山の最高峰である標高1,438メートルの神山を拝める造りになっています。このように、元宮は神山をご神体とする山岳信仰の形を色濃く残しているのです。
元宮が鎮座する駒ヶ岳は直近で神山を拝する祭場であり、今でも神々のお祭りがあります。毎年10月24日には、神山を拝み「御神火祭」が執り行われます。駒ヶ岳の山頂で御神火を灯し、その火を神山の神様に捧げた後に箱根神社へ。翌日には箱根山の全ての神社に巡行して、平和祈願祭が行われます。
山全体に神が宿るとされている箱根山は、まさに霊山そのものなのです。
ご祭神、ご利益
心願成就や仕事運、恋愛運などのご利益があります。
現在のご祭神は箱根神社と同じく、箱根大神です。箱根大神は、瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)、木花咲耶姫(このはなさくやひめ)、彦火火出見命(ひこほほでみのみこと)の三柱の総称です。
奥宮と里宮は同じ神様が祀られているため、ご利益は変わりません。大切なことは、心を込めて参拝することといえるでしょう。
箱根元宮の見どころ・ポイント
ロープウェイ
箱根駒ヶ岳ロープウェイで、眼下に芦ノ湖を見下ろしながら、駒ヶ岳山頂までは約7分で行くことができます。箱根神社から向かう場合は、ロープウェイ乗り場までバスで12分ほどで行けますので、山頂とはいえアクセスしやすい場所にあります。標高1,356メートルにあり気温差がありますので、防寒対策が必要です。
また、元旦の早朝5時からは、初日の出を拝むための早期運転が行われます。晴れた日には大パノラマとともに、運が良ければ、太陽の光で染まった縁起物の紅富士を見ることができますよ。箱根元宮で初詣も良いですね。
なお、2019年に箱根山の警戒レベルが高まったため、ハイキングコースは通行止めになっており、ロープウェイを利用しなければ、山頂に行くことはできません。最新の情報は神奈川県のWEBサイトでご確認ください。
絶景
山頂は遊歩道が整備されており、野原が広がっています。風や雲の流れを感じながら、のんびりと散策を楽しめます。晴天に恵まれれば、富士山、芦ノ湖、相模湾の絶景を見ることができます。特に、ロープウェイ乗り場の奥にある、展望台からの景色がおすすめです。
あいにくの天気の場合でも、駒ヶ岳山頂駅にある4Kテレビで晴天時の絶景を放映していますので、そちらで楽しむこともできます。霧が深ければ、神秘性が一気に増して異空間となります。
拝殿
山頂にある神社前には急な階段がありますので、歩きやすい靴は必須です。神社といえば、境内に多くの木があり杜に囲まれていますが、標高1,356メートルの高地の元宮周辺には高い木が全くありません。鳥居以外ほとんど何もなく、ただそこに朱色の社殿が鎮座しています。
晴れた日は、拝殿の後ろに富士山を拝むことができます。他の神社にはない異質な空間の中で、神威を体感することができるでしょう。
箱根元宮で特にパワーがある場所
古代祭祀遺跡
芦ノ湖から山上の箱根元宮まで一直線につづく道には、浄化力の高い「龍道」が流れているといわれています。山頂は龍脈上にあり、古代から山岳信仰が盛んな霊場でした。
拝殿左側には、多数の岩垣がある古代祭祀遺跡があります。大きな岩があちらこちらにあり、ストーンサークルの様になっています。また、火山である箱根山は噴火の時の溶岩が加工されたためか、ここにある岩は面が平らできれいな四角形をしています。山頂の岩とは思えない不自然さが、さらに異質空間を強調しています。
古代には、ここより神山に向かって祈りを捧げていました。異界とのつながりを思わせるような、強力な神霊磁場ともいわれています。
ただ、ここは人によっては賽の河原のようだ、怖いという感情を持つ場合があるようです。パワースポットだからと無理に合わせるのではなく、あなた自身の感覚を最優先しましょう。頭で考えず、感覚で感じたあなたのエネルギーに合う場所が、あなたにとって気持ちの良い場所になります。
白馬信仰
鳥居をくぐった左手に、しめ縄のある大きな岩があります。「馬降石」(ばこうせき)と呼ばれるこの岩は、白馬に乗った神様が降臨されたとの伝説があります。岩の上にある穴は、白馬が降り立った際に蹄によってできたとされていて、穴に溜まった水は、日照りになっても枯れることはないとの言い伝えがあります。
また、馬降石の前には石で作られた小さな祠と狛犬があり、非常に強い気が感じられます。祠の中を覗いてみましょう。とても小さな馬の像があります。馬降石は、古代では磐座(石に対する信仰)として崇められていたと考えられています。山頂にこのような大きな岩があるのも不思議ですね。
さらに、参道右側には「馬乗石」(ばじょうせき)と呼ばれる石も。神様が白馬に乗り飛び立った時の石とされ、白馬信仰を今に残す伝説の一つとなっています。
まとめ
古代山岳信仰が今なお色濃く残る、箱根元宮。白馬伝説も残るなど辺り一帯が、不思議な空間に包まれています。
自然の雄大さを堪能しながら、箱根元宮ならではの異空間をあなた自身の感覚で、ぜひ体感してみませんか。
ライターネーム/サクヤ凛
基本情報
住所:神奈川県足柄下郡箱根町元箱根 駒ヶ岳山頂
電話番号:0460-83-7123(箱根神社社務所)
公式HP: http://hakonejinja.or.jp/
アクセス:
・箱根新道芦ノ湖大観ICから国道1号経由し、約20分で駒ケ岳ロープウェイ箱根園駅
・駒ケ岳ロープウェイ箱根園駅から、約7分の駒ケ岳山頂駅下車し、徒歩で約10分
ロープウェイ運行時間:9:00〜16:50
往復料金:おとな:1,600円、こども:800円
駐車場:なし
定休日:無休
料金:境内自由
※御神火祭の日程などは変更となる可能性がありますので、最新の情報は公式HPでご確認ください。
※記載した金額等は2021年12月時点のものであり、変更の可能性があります。