諏訪大社 下社秋宮は宝殿奥に立つ「一位の木」が御神体
長野県茅野(ちの)市諏訪湖周辺にある諏訪大社は、上社の「本宮」「前宮」と下社の「秋宮」「秋宮」4社から成る日本最古の神社のうちの1つで、国内でも有名なパワースポットです。全国には25,000もの諏訪神社がありますが、その中でも諏訪大社は全国の諏訪神社の総本社とされています。今回は、諏訪大社の中でも上社の「秋宮」にスポットを当て、諏訪大社 下社秋宮の秘密や見どころ等、ポイントごとに紹介していきます。
諏訪大社 下社秋宮はどんな神社?特徴は?
信濃国一之宮の諏訪大社のうち、下社一体は下諏訪の中心地とされています。下社秋宮は諏訪湖北岸の旧中仙道と甲州街道の分岐点の要所に鎮座する神社で、JR下諏訪駅からは徒歩12分。同じ下社の春宮からは1km程東の地点にあります。
「秋宮」という名前は、毎年8月から翌年の1月まで御祭神が祀られる事に因むもの。秋宮周辺は温泉の湧出地で、秋宮の境内にも御神湯があります。諏訪大社は上社に2社(本宮・本宮)、下社(秋宮・秋宮)に2社で成り立っており、上社と下社の社格に序列はありません。
ほとんどの神社には本殿がありますが、諏訪大社の本宮と春宮、秋宮には本殿がなく、唯一、前宮のみ本殿と呼ばれる社殿はありますが、基本的に諏訪大社の御神体は山などの自然とみなされ、秋宮の場合、宝殿奥に立つ「一位の木」が御神体です。
秋宮の幣拝殿(へいはいでん)と神楽殿、左右片拝殿は重要文化財に指定されています。諏訪大社では、厄除け、お宮参り、七五三詣、交通安全、合格祈願、縁結び、御射山(みさやま)祈願などを執り行っており、ご利益は広大無辺です。
諏訪大社 下社秋宮の歴史
諏訪大社の創建年は不明となっていますが、公式HPによると「国内にある最も古い神社の一つ」とされています。諏訪大社の起源は太古の神話に遡ります。古事記によると、天照大御神の孫にあたる邇邇芸命(ににぎのみこと)の降臨に先立ち、建御雷神(たけみかづち)が大国主神(おおくにぬしのかみ)に国譲りするように迫ったところ、大国主神の子であり、本宮の御祭神でもある建御名方神(たけみなかた)がこれに反対。
建御雷神に戦いを挑むも敗れ、諏訪まで逃れてこの地に留まったといわれています。国の指定重要文化財である秋宮の幣拝殿は、江戸時代の1781年に落成。(左右片拝殿は1780年)同じく秋宮の指定重要文化財・神楽殿は約50年後の1835年に造営されました。
諏訪大社 下社秋宮のご祭神
諏訪大社 下社秋宮の御祭神は3柱で、主祭神は八坂刀売神(やさかとめのかみ)。他の2柱が建御名方神(たけみなかたのかみ)と八重事代主神(やえことしろぬしのかみ)です。
主祭神:八坂刀売神(やさかとめのかみ)
下社の主祭神は、建御名方神の后神・八坂刀売神です。本宮の御祭神は建御名方神ですが、八坂刀売神は上社の前宮と下社の主祭神として祀られています。八坂刀売神は2~7月まで春宮に鎮座し、8月1日に執り行われる御舟(おふね)祭から秋宮に遷座。そして翌年の2月からまた再び春宮に帰座されます。八坂刀売神の神格としては、「水の神、農業神、温泉の神、国造りの神」です。
建御名方神(たけみなかたのかみ)
本宮の御祭神であり、主祭神の八坂刀売神の夫神である建御名方神も下社の御祭神とされています。建御名方神の主なご利益は、「勝利祈願、武運長久、商売繁盛、五穀豊穣、子授かり、子孫繁栄」です。
合祀:八重事代主神(やえことしろぬしのかみ)
下社に合同で祀られている八重事代主神も大国主神の御子神で、本宮御祭神・建御名方神の兄神に当たります。神格は「託宣の神、漁業の神、鰐(わに)神」となっており、主なご利益は、「豊漁、海上安全、商売繁盛、厄除開運、病気平癒」などです。
諏訪大社四社巡りおすすめの参拝ルートはある?
諏訪大社 下社秋宮を参拝するのであれば、1社や2社だけでなく、4社すべて廻るのがおすすめですが、4社すべてを廻るのであれば、上社から下社までが離れており、6時間はかかると考えた方がいいでしょう。
参拝は24時間できますが、各授与所の営業時間が16:30までなので、午前の早い時間から訪れると気持ちよく参拝を終えることができます。諏訪大社の場合、おすすめの参拝ルートというのは基本的には決まっていませんが、バスで回ると本数が少ないようなので、効率的に回るとすると車での移動が一番効率が良いでしょう。
前宮から回るとすれば、前宮と本宮とは2km程の距離で、車であれば約5分程度。本宮から回ると、前宮から下社の秋宮・秋宮までは少し遠回りになります。上社から下社までの距離は約11kmです。電車であれば、上社の最寄り駅である茅野駅から下社の最寄り駅の下諏訪駅まで中央本線で約10分ですが、本数は少ない為、時間をしっかりと調べておく必要があります。
諏訪大社 下社秋宮のご利益とは?
公式HPによると、諏訪大社全体としてのご利益は広大無辺とされていますが、諏訪大社 下社秋宮の主なご利益については以下の通りです。
五穀豊穣・商売繁盛
八坂刀売神は水の神であり、農業神でもあります。諏訪明神も古くから「五穀豊穣を祈る神」として崇敬されてきました。御祭神の一人・八重事代主神のご利益の1つでもあるので、パワーも強力。下社が古くから農耕が盛んなことからもそのご利益の大きさが伺い知れます。
縁結び・夫婦円満
諏訪大社の御祭神である建御名方神と后神の八坂刀売神を合わせたご利益の1つが縁結びや夫婦円満とされています。
安産祈願・子授かり
建御名方神と八坂刀売神の間には、22人の子供がいたとされており、子だくさんであることから、子授かりや安産のご利益もあり、多くの参拝客が安産祈願や子授け祈願に訪れます。
勝利祈願・武運長久
軍神として知られる建御名方神の主なご利益の1つが必勝祈願や武運長久です。川中島の合戦で有名な戦国武将・武田信玄もたびたび必勝祈願に訪れていたといわれています。必勝祈願のご利益には広く信仰を集めており、勝負事やビジネスの成功などを祈願する多くの参拝客が訪れています。
海上安全・豊漁
「漁業の神」である八重事代主神の得意分野です。海上安全や大漁祈願にもご利益を授かることができます。
諏訪大社 下社秋宮の見どころとは?
次は諏訪大社 下社秋宮の見どころについて見ていきましょう。諏訪大社 下社秋宮の見どころについては以下の通りです。
秋宮幣(へい)拝殿・神楽殿
江戸時代の1781年に完成した秋宮の幣拝殿は、幣殿と拝殿が一体となった「二重楼門造り」となっており、その両脇には同じく重要文化財の片拝殿が並んでいます。春宮と秋宮の幣拝殿は構造が同じでは、一見するとその違いは分かりませんが、装飾の違いが見どころの1つ。
秋宮には、建物のいたる所に鶴の彫刻や鳳凰、龍などの彫刻が施されており、今にも飛び出てきそうなくらいのリアルさが感じられます。春宮・秋宮それぞれに見られる匠の技が趣深いですね。その50年後にできた幣拝殿前の神楽殿も国の重要文化財に指定されており、両脇に並ぶ狛犬が建物の風格にさらなる味わいを加えています。
青銅製としての高さは日本一!秋宮の狛犬
秋宮の神楽殿の正面両脇に向き合う青銅製の狛犬像。この狛犬(阿像と吽像)は、1960年(昭和35年)に制作されたもの。諏訪郡出身の彫刻家で、有名な彫刻家・ロダンの弟子のブールデルに師事したとされる清水多嘉示(たかし)の作品です。その高さは1.7mで、青銅製の狛犬としては日本一の高さといわれています。
下社御柱(おんばしら)祭
長野県の無形民族文化財に指定されている「御柱祭」は諏訪大社の最も重要かつ代表的な神事の1つです。「日本三大奇祭」ともいわれる諏訪大社の御柱祭は、6年毎(寅年と申年)に上社と下社(各社)で行われ、その正式名称は「式年造営御柱大祭」といいます。
下社の御柱祭は4月の10日前後に山から樅の木を運び出す「山出し」が行われ、1ヶ月後の5月10日前後には、境内に御柱を立てる「里曳き」が行われます。人を乗せた巨樹が坂を下りるという非常に勇壮で迫力満点なお祭りですが、毎回死者が出るなど危険さも伴う行事です。
社殿の四隅に建てられる4つの御柱はこの御柱祭のために山中で切り出した高さ17m、重さ16トンもの樅の巨樹が使われています。御柱祭では、御柱だけでなく、同じく寅年と申年毎に建て替えられる宝殿の神器の遷座も行われます。
下社七不思議の1つ「寝入(ねいり)の杉」
秋宮の神楽殿正面に立つ「寝入の杉」と呼ばれる樹齢約600~700年といわれる御神木は、樹高約35mという立派な巨樹。諏訪大社の七不思議の1つとされるこの寝入の杉は丑三つ時になると、枝を下げ、寝入りのいびきが聞こえてくるのだとか。この寝入の杉の小枝を煎じて飲ませることで子供の夜泣きが止まるとも言い伝えられています。
御舟祭(おふねまつり)
毎年8月1日に秋宮で行われる「御舟祭」は、春宮と秋宮で半年ごとに遷座される御祭神の八坂刀売神が8月で秋宮に遷座されることから執り行われるのがこの神事。下社の例大祭とも呼ばれています。翁と嫗(おうな)の人形を舟に乗せ、氏子数百人がその舟を春宮から秋宮へ曳いた後、舟は神楽殿を3周。神事相撲三番が行われて式は終了です。掛け声と歓声は活気に溢れ、多くの人が集まるお祭りとなっています。
諏訪大社 下社秋宮のお守り・御朱印帳・おみくじ・絵馬
せっかく神社の参拝に訪れたなら、お守りや御朱印、おみくじはチェックしておきたいもの。次は、諏訪大社 下社秋宮で販売されている「お守り」「御朱印帳」「おみくじ」「絵馬」について見ていきましょう。
お守り
諏訪大社のお守りは、定番のものから翡翠・黒曜石が付いた天然石のお守りなどさまざま。四社とも共通なので、どこの授与所でも購入できます。ラベンダー色の「えんむすび守」(初穂料500円)は良縁成就を祈願するお守り。夫婦円満のお守りには「友白髪守」(2,000円)が人気です。
翡翠の勾玉と黒曜石の付いた「薙鎌(なぎがま)守」(2,000円)は、危険から身を守るのにおすすめ。勝運を高めたい人には、白地にライトグリーンのリーフ柄が印象的な「勝守」(500円)や同じく木製の小さな必勝祈願のお守りで、諏訪大社の焼印が入った「勝栗札 」(500円)があります。また、下社紋が入った赤・青・黃3色の「開運鈴守」(500円)や金色と銀色の「心身健全守」(2,000円)のほか、赤ちゃんの無事な出産を祈願する「安産守」(2,000円)もお得です。
御朱印帳と御朱印
諏訪大社の御朱印帳は黒地に金色のモチーフが入ったシンプルなタイプですが、高級感の感じられる御朱印帳です。また、4、5月に開催される「式年造営御柱祭」の奉賛金(1万円以上)をした方への返礼品として、御柱をイメージした木製の特製御朱印帳がいただけるようです。(詳細はこちら→http://suwataisha.or.jp/housan.html)
諏訪大社の御朱印(初穂料500円)は令和4年期間中(12月31日まで)、四社それぞれで本年のみ限定の御朱印がいただけます。四社をすべて廻ると記念品も付いてきますよ。
おみくじ
諏訪大社のおみくじには新潟県糸魚川産の翡翠が添えられたおみくじ(初穂料300円)があり、パワーストーンのお守りまでいただけるのでお得感満載。おみくじの結果がたとえ悪かったとしても、アドバイスを実践すれば運気上昇です。
絵馬
諏訪大社の縁起物として頒布されている絵馬の中には、諏訪大社の御舟祭の様子が描かれている「お舟絵馬」(初穂料1,000円)など美しい絵柄のものも目を引きます。そのほか、勝運祈願の「龍蛇絵馬」(小500円 大1,000円)や扇形の「扇絵馬」(2,000円)も必見です。こちらはインターネットでも購入できます。
諏訪大社 下社秋宮の特にパワーがある場所は?
諏訪大社 下社秋宮の中で特にパワーがある場所は、御神体とされる「一位の木」です。「寝入の杉」の方が幹も太く、メジャーではあり、甲乙つけがたいところはありますが、あくまで秋宮の御神体は宝物殿の奥にある「一位の木」とされています。宝物殿奥の森の中にひっそりと立つ「一位の木」。一度訪れてみる価値はありそうです。
まとめ
下社の秋宮と春宮は1kmしか離れておらず、御祭神が同じで、建造物も構造が同じではありますが、それぞれに細かい装飾や雰囲気、エネルギーも異なります。せっかくなので、4社全ての趣きを感じ、ご利益も大いに戴かない手はありません。
ライターネーム Kikumikan
基本情報
住所:長野県諏訪郡下諏訪町 JP 5828
電話番号:0266-27-8035(秋宮と秋宮の質問や相談)
営業時間:9:00~16:30
HP:http://suwataisha.or.jp/
駐車場:参拝者駐車場あり(無料) ※秋宮は80台分
アクセス:
・岡谷I.Cから車で約15分(約1km)
・JR下諏訪駅から徒歩約12分 ※タクシーは1、2台待機している場合もあり