江戸の情感漂う古社「赤坂氷川神社」
東京、赤坂・六本木エリアに位置する「赤坂氷川神社」は、都会にありながら広大で豊かな緑に囲まれています。「氷川」の名前がつく神社は、東京、埼玉を中心に数多くありますが、「赤坂氷川神社」はその中で、最も規模が大きいことで知られています。
また、縁結びの神様としても有名で、恋愛や結婚だけでなく仕事やお金などのご縁も頂けます。他にも厄除け、開運などさまざまなご利益があり、幸せな人生を歩みたい、良縁に恵まれたい人には、特におすすめです。
赤坂氷川神社の気になる見どころ、ご利益や外せないパワースポットまで、詳しく解説していきましょう。
赤坂氷川神社の歴史
はじまり
成り立ちは951年までさかのぼります。蓮林僧正という僧が近江国より修行のため、赤坂の地を訪れました。ある夜、蓮林僧正は夢の中でお告げを受けます。お告げどおりに、地面を掘ってみると観音像が姿を現しました。この観音像を、赤坂にお祀りしたことが「赤坂氷川神社」のはじまりとされています。
「氷川神社」は各地にいくつもあり、総本社は「大宮氷川神社」で埼玉県さいたま市にあります。氷川という名前は、出雲にある簸川の名前にちなんでおり、農業用水として地域の人々に水の恵みを与えてきました。
創建時は今の赤坂4丁目あたりでしたが、8代将軍徳川吉宗の時代1729年に現在の地に遷されます。歴代の徳川将軍が参拝に訪れ、14代将軍家茂まで続きました。徳川家と深い関係にあった赤坂氷川神社は、ますます人々から崇敬を集めていくようになります。
その後、安政の大地震や関東大震災、東京大空襲にも遭いながら、奇跡的に被災を免れてきました。現在の総欅造りの社殿は江戸時代に建立されたもので、重要建築物として都重宝社殿に指定されています。数々の災難をくぐり抜けてきたため、強い厄除けの力もあるスポットになっています。
また歴史上の人物とも縁が深く、忠臣蔵で知られる浅野内匠頭の妻や、幕末の志士、勝海舟の実家もこの地にありました。なお、勝海舟は晩年、赤坂氷川でほとんどの時期を過ごしており「氷川翁」と呼ばれています。
また、演歌歌手として活躍している、氷川きよしさんの芸名の由来も、赤坂氷川神社からつけられたそうです。仕事と人を結ぶパワーがある神社だからこそ、と言えるでしょう。
ご祭神
素戔嗚尊(スサノオノミコト)、その妻、奇稲田姫命(クシイナダヒメノミコト)、大己貴命(オオナムヂノミコト)の3柱の神様をお祀りしています。
スサノオノミコトは、8つの頭を持つ大蛇ヤマタノオロチから、クシイナダヒメノミコトを救い妻にしました。2人の夫婦仲はとても良く、何千年も続いています。
オオナムヂノミコトは別名大国主命(オオクニヌシノミコト)とも呼ばれ、日本一の縁結びのご利益がある出雲大社と同じ神様です。
このような神様が3柱も祀られているため、赤坂氷川神社は縁結びのパワーが特に強いとされています。ご利益
「東京3大縁結び」と呼ばれているほど大きなご利益がいただけ、境内全体がパワースポットになっています。ちなみに、「東京3大縁結び」とは都内を代表する縁結びの名社のことで、東京大神宮、出雲大社東京分祠、そして赤坂氷川神社を指します。人間関係をはじめ様々な良縁を授かることができます。
他にも、開運、学業成就、安産、商売繫盛、厄除けなど、人生に関わるご利益が多いので、良縁で結ばれた後も3柱のご祭神により幸福な人生へと、しっかり導いていただけるでしょう。
赤坂氷川神社で結婚式を挙げたいと希望するカップルが後を絶たないのも、うなずけますね。
赤坂氷川神社の見どころ
狛犬
7対もの狛犬がいます。境内はまるで狛犬の宝庫のようです。多くが式典や祭礼などに奉納されたもので、地域に根付いた深い信仰を物語っています。表情が7対それぞれ違っており、おどけた表情に見えたり、小さい狛犬を抱えたりと特徴があります。参道を歩きながら探してみるのも、楽しいですね。
1675年(延宝3年)建立の狛犬もあり、石造り狛犬としては都内神社の中で最も古いとされ、とても貴重です。最近の威厳のある狛犬と比べると、癒しのある表情をしていて違いがよくわかりますよ。
四合稲荷神社
赤坂氷川神社には、末社がいくつかありそれぞれ大きな力を持っています。本殿だけでなく、末社も忘れず参拝することをおすすめします。
末社のひとつ「四合稲荷神社」は、4つの赤坂近隣にあった神社を1898年(明治31年)に合祀しました。「本氷川稲荷」、「古呂故稲荷」(ころこいなり)「地頭稲荷」(じぬしいなり)「玉川稲荷」です。「四合」は4社を合わせお祀りしている意味で、「しあわせ」と読みます。
氷川に当時住んでいた勝海舟が命名しました。「幸福(しあわせ)」、「志を合わせる」をかけています。勝海舟のネーミングのセンスが抜群ですね。
その後1925年(大正14年)に鈴降稲荷神社(すずふりいなりじんじゃ)と縁起稲荷神社を、1934年(昭和9年)には明徳稲荷神社も合祀しました。
西行稲荷神社
境内にある末社で、別名を「火伏の稲荷」と呼び、火災除けのご利益があるとされ、火事から守ってくれるといわれています。社の側には布袋尊が鎮座し、岩穴周辺は神秘的な空間になっています。家を新たに持つ人などは必ず参拝した方がよい神社といえるでしょう。
九神社
9つのお社を合祀した末社です。「金刀比羅神社」「厳島神社」「八幡神社」「諏訪神社」「天祖神社」「春日神社」「鹿嶋神社」「秋葉神社」「寒神社」といった、いずれも有名な神社を集め遥拝しています。遥拝とは、遠すぎて参拝に行けない人達のために遠方から拝め、ご加護を賜れる参拝のことです。九神社でお参りをして、名だたる遠くの神社パワーをいただいてみませんか。
包丁塚
使い古した料理人の包丁を納め、恩恵に感謝するとともに、食材にした魚や動物の霊を慰めるため、1974年(昭和49年)に建立されました。毎年、包丁塚祭が、10月上旬土曜日に行われています。「切る」道具の包丁を奉納しているため、腐れ縁や悪縁を断ち切ってくれるご利益もあるそうですよ。
赤坂氷川神社の特にパワーがあるスポット
大イチョウの木
境内は江戸時代からある大きな木に囲まれ、緑豊かな環境にあり、都会にいることを忘れさせてくれます。その中でも、1本の大木がひと際、目を引きます。
大イチョウの木で樹齢400年といわれ、幹回りは約7.5メートルの大木で、天然記念物にも指定されています。赤坂氷川神社が現在の地に建立されたのは、1729年なので、大イチョウの木はその時ですでに100年を超える大木でした。
ところが東京大空襲の時、大イチョウの木は焼夷弾を受け、幹の大部分が焼失し空洞になる被害を受けてしまいます。しかし枯れることなく、今日でも変わらず紅葉の季節には色鮮やかな葉をつけ、私たちの目を楽しませてくれます。その力強い生命力から、大イチョウの木は病気平癒、再生や不変の力があるとされ、ご利益を求め多くの人が木の下に集まる、神社で一番のパワースポットになっています。
赤坂氷川神社のイベント
良縁祈願祭
「良縁祈願祭」は、縁結びの祈祷で毎月1回18時から行われています。スサノオノミコトとクシイナダヒメノミコトの出会いにあやかった儀式で、女性限定で毎月30名、受けることができます。毎月1日の9時に斎行日が発表されますが、大人気のため30分経たないうちに定員に達し、常に2か月待ちの状態なのだとか。
めでたく祈祷を受けられた方は、良縁祈願祭でしか頂けない「四合御櫛」(しあわせみくし)と、愛の種を育む「藍の種守り袋」のお守りを授かることができます。四合御櫛にも用いられる櫛は女性の分身とされ、不思議な力が宿っていると日本神話で伝えられてきました。
スサノオノミコトがヤマタノオロチと戦った時、未来の妻クシイナダヒメノミコトを櫛の姿に変え、自らの髪に挿したといわれています。クシイナダヒメノミコトがスサノオノミコトを守ったとも、スサノオノミコトがクシイナダヒメノミコトを守ったともいわれる、有名な恋の伝説です。
また、赤坂氷川神社の格式ある神前結婚式では、「御櫛預けの儀」が行われます。新婦が自分の分身である櫛を新郎へ預ける儀式で、それにより二人三脚で新しい生活を送る誓いを立てるというものです。
「四合御櫛」は、まだ良縁のご縁を頂いていない女性に授けられるもので、「御櫛預けの儀」への準備品としての意味合いがあります。
赤坂氷川神社のお守り
やかん鈴守り
他の神社では手に入らない珍しいお守りが、赤坂氷川神社にいくつかありますのでご紹介しましょう。やかんの形をしているユニークなお守りです。お湯を沸かすやかんのように、幸運を自分自身で沸かせるようになる、の意味が込められています。小さな幸せをどのように大きく沸騰させるかは、自分の心の持ちよう次第だということですね。
縁結守り
縁結びの神様にちなんで、ピンクとブルーで夫婦ペアの2種類のお守りになっています。すべてのご縁を授けてくださる赤坂氷川神社のお守りなので、事業を拡大する自営業の方や、就職活動中の方など幅広い対象の方にも、ご利益があります。
いちょう守り
境内最大のパワースポットである大イチョウの葉をモチーフにしています。現在の場所に社殿が建てられる、はるか昔から人々を見守り続けてきた大イチョウ。樹齢400年の長寿の大木であり、戦禍にも打ち勝ち生存し続けている大イチョウのお守りです。何かに挑戦したい、勝負に勝ちたい、また病にも勝ちたいと思われる方の、心の大きな支えとなることでしょう。
まとめ
江戸時代の情景が残る歴史ある社殿は、清々しい気が流れています。心を込めてあなたの周りのご縁をお祈りしてみませんか。
赤坂氷川神社のご神徳で結ばれるご縁は、男女の仲に関わらず、家族、友人、子宝、仕事、学業と様々で、私たちの人生をより豊かなものへと導いてくださいます。
オリジナリティ溢れるお守りが多いので、お気に入りを見つけて大切に持ち歩けば、願いも早く叶うかもしれませんね。
ライター/サクヤ凛
基本情報
住所:東京都港区赤坂6-10-12
アクセス:
・東京メトロ千代田線赤坂駅から徒歩8分。
・東京メトロ日比谷線・都営地下鉄大江戸線六本木駅から徒歩8分。
・東京メトロ南北線六本木一丁目駅から徒歩8分。専用駐車場なし。
拝観時間:6時~17時(お守りの授与は9時~17時)
拝観料:境内自由
公式HP:http://www.akasakahikawa.or.jp/
電話番号:03-3583-1935