琴似神社

 

屯田兵の開拓魂に触れる琴似神社
北海道札幌市西区琴似に、琴似神社が鎮座しています。鳥居をくぐり神門で守られた拝殿は清らかで静かなご神域となっており、周辺の繁華街の喧騒を忘れることでしょう。

拝殿前には「古殿地」の札が建てられた木の植え込みスペースがあります。古殿地とは旧社殿の跡地で、神門から植え込みを周り拝殿へと続く参道は神妙な空気が流れています。古木に囲まれた琴似神社は、清々しい気が流れるパワースポットとしても知られています。

琴似神社は明治時代に北方警備と開拓を進めるために、本州から移り住んできた屯田兵の人々によって創始されました。琴似神社のある琴似地区は、屯田兵村が初めて作られた地です。屯田兵制度は明治7年に発足し、半年間で208戸の兵屋が建設されました。翌年の春には、全兵屋に移住しています。

琴似屯田兵村は、戊辰戦争で破れ生活が困窮していた宮城県亘理伊達氏の家臣や、青森県斗南の旧会津藩士などからの士族である移住者がほとんどでした。仙台藩亘理伊達氏の祖・伊達藤五郎成実(だてとうごろうしげざね)公を、ご祭神としてご神徳を北海道の開拓にあたり顕彰するため、武早神社を創建したことが琴似神社の始まりです。

琴似神社には、立派な境内社3社が鎮座しています。安全神社には天御中主大神(あめのみなかぬしのおおかみ)、報徳神社には大国魂神(おおくにたまのかみ)、御門山琴似天満宮には菅原道真(すがわらみちざね)公が祀られています。

開拓者を見守り人々の心の拠り所として崇敬されてきた琴似神社は、近年は縁結び・恋愛成就・学業成就・合格祈願などの祈願に多くの人々が訪れます。

琴似神社にはかつて、看板犬の雪男と呼ばれるサモエド犬がいました。真っ白な雪男を撫でると子宝に恵まれると言われ、多くの参拝客に撫でられて愛されていました。現在は境内の一角に雪男は鎮まっており、水晶の石に魂を祀ったものが神門の横に置かれています。今でも子宝や安産を願う人々の支えとなっています。

明治時代に寒さの厳しい北海道の地でたくましく生き抜いた、屯田兵の開拓魂に思いを馳せながら琴似神社をお参りしてみてはいかがでしょうか。
 

琴似神社の特徴
琴似屯田兵村に移住した人々の半数以上が亘理伊達の士族でした。その士族たちが、第14代亘理伊達の領主・伊達邦成(だてくにしげ)公の刀・陣羽織・直筆の掛け軸などを奉納し、社宝としたことが琴似神社の始まりです。

開拓者が敬慕していた仙台藩亘理伊達氏の祖・成実公のご神徳を、武早智雄神(たけはやちおのかみ)として祀り、武早神社として創建しました。

成実公は、仙台藩祖の伊達政宗(だてまさむね)公の重臣であり政宗公の従弟にあたります。成実公の兜の前立てには毛虫があしらわれていました。「毛虫はけして後退しない、前進あるのみ」として、戦場では先陣をきって活躍した人です。

成実公は亘理の領主となってから44年間も領地の発展に尽力し、城下の整備・治水・用水・新田開発・塩田開発など開発を進めてきました。今日の亘理があるのは、成実公が礎を築いたからであり、当時の家臣や領民などから敬慕されていました。亘理の人々が北海道に移り住んで、成実公を祀るのも自然の流れだったことでしょう。

明治8年に北海道開拓の最初の屯田兵として240戸の人々が琴似地区に移り住み、武早神社を創建します。明治30年に山の手5条1丁目に遷座し、琴似神社と名称を変えます。明治44年に、国土開拓の神・大国主大神を札幌神社(現・北海道神宮)から分霊しています。大正4年に、村社となり現在地に遷座します。

昭和19年に郷社となり、昭和42年には伊勢神宮より、北海道の命名100年を機として天照大御神・豊受大神の分霊を拝受し増祀されました。平成6年には、会津藩の藩祖、保科正之(ほしなまさゆき)公も合祀されています。

境内社の報徳神社は、琴似神社の前身「武早神社」で琴似神社では最初の社殿です。大国魂神の他に、琴似地区に屯田兵として移り住んだ240柱が祀られています。また、西南戦争から第二次世界大戦で戦死した人々も祀られています。

現在、にぎやかな街の中に鎮座している琴似神社。街の発展は、屯田兵として移り住んだ人々のお陰です。先人たちは今も、優しく見守って下さっているのではないでしょうか。屯田兵と共にあった琴似神社では、先人たちへの感謝を忘れずにお参りしたいですね。

 

琴似神社のご祭神
ご祭神

天照大御神 (あまてらすおおみかみ)
豊受大神 (とようけのおおかみ)
大国主大神 (おおくにぬしのおおかみ)
武早智雄神              仙台藩亘理伊達氏祖・伊達藤五郎成実公
土津霊神 (はにつれいしん)       会津藩藩祖・保科正之公

境内末社
安全神社     天御中主大神
報徳神社     大国魂神
御門山琴似天満宮 菅原道真公

琴似神社には境内社を含めて、8柱の力強い神が祀られています。 

琴似神社のご利益
琴似神社には8柱の神が祀られているので、様々なご利益が授かれます。

縁結び・恋愛成就・安産祈願・子授け・子宝・合格祈願・学業成就・夫婦円満・家内安全・商売繁盛・延命長寿・病気平癒・健康祈願・必勝祈願・勝利成功などがあります。中でも特に、縁結びや恋愛成就、合格祈願などに人気があります。

授与品として、看板犬として愛された犬の雪男をモチーフにした、可愛らしいお守りを授かることができます。また、開拓使の姿をした土鈴も置かれています。 

琴似神社のどこが見どころか?
琴似神社の境内は、清々しく落ち着いた佇まいとなっています。琴似神社では、春と秋に例大祭が行われています。この時は神社前の通りは、多くの屋台と人々が集い賑わいます。

琴似神社の見どころの一つとして、有形文化財に指定されている琴似屯田兵屋があります。境内にある兵屋は、明治7年に屯田兵制度と同時に建てられたものが移築されています。兵屋の中には、当時の農工具・家具・囲炉裏・火鉢などの生活道具が残されています。琴似兵村の兵屋は、屯田兵の生活を知る上でとても貴重な遺構です。

琴似神社のもう一つの見どころは、パワーが溢れると言われる「なで牛」と「磐座」(いわくら)です。

学問の神である菅原道真公が祀られた境内社の御門山琴似天満宮には、道真公に縁のある「なで牛」が置かれています。「なで牛」にはパワーがあり、「なで牛をなでると頭がよくなる」と伝えられていて、地元の学生や受験生などは願いを込めながら次々と撫でていく人気のスポットです。

また境内には「磐座」と呼ばれるパワーの強い岩があります。磐座とは神道では昔から信仰の対象であり、自然の巨石が神の御座所とされることがありました。

琴似神社の磐座には、宇麻志阿斯弾訶備比古遅神(うましあかびひこじのかみ)が祀られています。新しく始める時、道を切り開きたい時などに、力強いご利益を頂くことができます。

屯田兵の人々の心の拠り所として鎮座した琴似神社は、今でもパワーのある力強い神社であり人々に力を授けてくれます。ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。

 

琴似神社の一番パワーのある所
琴似神社のパワーが溢れる場所は、「磐座」と言われています。琴似神社の磐座に祀られた、宇麻志阿斯弾訶備比古遅神は、日本の形成にかかわった根源の神、未来への可能性を司るそうです。

北海道を開拓してきた屯田兵村に相応しい神ですね。琴似神社の磐座は小さめなので、見逃さずに参拝して頂きたいパワーのあるスポットです。

ライター 梅花桜花
 

基本情報
住所:〒063-0811 北海道札幌市西区琴似1条7丁目1番30号
TEL:011-621-5544
アクセス:
・JR北海道 琴似駅 下車 徒歩で約10分
・札幌市営地下鉄 東西線 琴似駅 下車 徒歩で約5分
・JR北海道バス JR札幌駅から 手稲・小樽方面  西区役所前 下車 徒歩で約3分

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