幸運をもたらす神「座敷わらし」で有名な亀麿神社
「座敷わらし」で有名な亀麿神社は、岩手県二戸市に鎮座しています。金田一温泉郷の「座敷わらし伝説の宿・緑風荘」という温泉旅館の敷地内に祀られています。
座敷わらしは、幸運をもたらす神として日本では周知されています。明治時代に民俗学の柳田国男氏は「遠野物語」として、岩手県遠野地方の逸話・伝承などを本にまとめました。その本でも、座敷わらしが登場しています。
古くから岩手県・青森県の南を中心に、座敷わらしは、子供(童)姿の精霊として伝えられています。座敷わらしは守り神で、その家の座敷や蔵に住み着くと繁栄します。反対に座敷わらしが去ると、途端に家運が衰退していきます。
また、座敷わらしに会えた人々にも、幸運が訪れると言われています。座敷わらしは、お気に入りの人ならどこへでも会いに来てくれるそうです。童ですから、人懐っこくて可愛らしく思えてきます。幸運をもたらす座敷わらしにお会いしたい、我が家へお招きしたいという安直な衝動にかられます。
亀麿神社のある緑風荘は、古くから座敷わらしのお宿として有名です。最近は座敷わらしの検証など、テレビでもよく取り上げられています。緑風荘は、座敷わらしに会いたい人々で連日予約で満室だそうです。座敷わらしのご加護によって、緑風荘はとても繁栄していることが分かりますね。
亀麿神社の名称の由来は、亀麿という男の子の名前から付けられました。わずか6歳で病に倒れた亀麿は、「末代まで家を守る」という言葉を残して天に召されたそうです。亀麿は守り神として、座敷わらしとなり旧家の奥座敷に住み着いたそうです。幼き6歳にして、家運を案じていた亀麿の言葉は悲しく心に響きます。そんな悲運の座敷わらしですが、実はとてもいたずらっ子で家人を困らせるようです。夜中に音をたてたり、物の場所を変えたりして驚かせています。
幸運を呼ぶ座敷わらしの宿・緑風荘には、過去に名立たる人たちが宿泊し、各分野で活躍したり、成功を収めているそうです。緑風荘の敷地にある亀麿神社には、強いパワーがあります。座敷わらし伝承の地で亀麿神社に参拝し、温泉で疲れを癒し幸せや元気を授かれる、そんな素敵な旅もいいですね。
亀麿神社の特徴
亀麿神社には、座敷わらしの亀麿が祀られています。創建は1341年頃と伝わっています。朱い鳥居の明るい境内から、元気な癒しのパワーを授かれると言われています。緑風荘の中庭に鎮座しているので、宿泊者は宿の専用口から亀麿神社に参拝に行けます。また、宿泊者以外の方は、緑風荘の駐車場の方から参拝することが出来ます。
金田一温泉郷では、永く座敷わらしが伝承されています。その中でも緑風荘は、座敷わらしとの深い由縁があります。昔、鎌倉時代末〜南北朝時代にかけ、万里小路藤房(までのこうじ ふじふさ)と言う公卿がいました。藤房公は後醍醐天皇の側近で、倒幕運動に加わり要職を担う程の人物でした。藤房公の南朝側は敗退し、室町幕府の征夷大将軍・足利尊氏(あしかがたかうじ)に追われて、この金田一温泉の地まで逃げてきました。この時、藤房公には幼子が2人いました。
藤房公の長男は亀麿という名でした。この亀麿は病により「末代まで家を守る」と言い残し6歳で世を去ります。それ以来、亀麿は守り神・座敷わらしとして伝承されてきました。亀麿は緑風荘当主の祖先であり、旧家に座敷わらしが出現するようになったのです。
今でも、緑風荘の至る所で、座敷わらしは姿を現したり不思議な現象をおこしています。中でも槐(えんじゅ)の間と呼ばれる座敷で、よく現象が起きるようです。宿泊者は、お菓子やおもちゃなどを持参して、座敷わらしにお供えしています。
緑風荘にまつわる神社として、亀麿神社の他に、稲荷神社、金田一薬師温泉神社も鎮座しています。金田一薬師温泉神社にも、美人な神が現れた不思議な由来が残されています。金田一温泉郷一帯は、とても神秘的な話が伝承されていますね。川が流れ温泉が湧く、自然豊かなこの地は、昔からパワースポットだったのでしょう。
緑風荘は、2009年の火災により全焼しています。幸いなことに、従業員や宿泊客は全員無事でした。そして、中庭にある亀麿神社も火の粉を免れています。この時、座敷わらしが朱い鳥居をくぐるのを目撃した人がいたようです。そして、この火事があったからこそ、2011年の震災では被害者が出なかったとも言われています。
火災時、緑風荘のご主人の言葉は素晴らしく「ずっと先まで予約で埋まり、スタッフは過労状態でした。火事により休みなさいと座敷わらしの導きです」とコメントをされています。全焼したにもかかわらず、悔いることなく前を向いて進む姿勢に感動します。そして、座敷わらしのお陰と感謝しています。座敷わらしに愛される人々は、心が綺麗な方なのだろうと思わせる言葉ですね。
現在は新しく再建され、南部曲がり屋を思わせるような佇まいです。緑風荘は今でも座敷わらしが守ってくださり、人気の宿となっています。亀麿神社の座敷わらしは、本当に幸運をもたらして下さいます。
亀麿神社のご祭神
ご祭神
亀麿
亀麿神社には、座敷わらしが祀られています。緑風荘当主である、五日市氏の祖先です。
亀麿神社のご利益
亀麿神社のご利益は、金運・家内安全です。そして、座敷わらしを目撃すると、数々の幸運が訪れると言われています。男性は出世し、女性は玉の輿となると伝えられています。
緑風荘のフロントに置かれている「願い和紙」を購入し、願い事を記入して神社に結んで祈願することができます。また、宿泊者は御朱印をいただくことが可能です。チェックインの時に、お願いしてチェックアウト時に授かれます。
亀麿神社のどこが見どころか?
緑風荘の美しい庭にある亀麿神社の境内は明るく、隣には稲荷神社も鎮座しています。小さな社ですが、神秘的な空気に包まれています。
緑風荘の宿泊者以外の方でも、亀麿神社に参拝ができます。また、座敷わらしがよく現れる、槐の間を見学する時間も設けられています。予約がなかなか取れない方もいるので、宿泊者以外の方にも開放されるのは嬉しいサービスですね。
そして、日帰り入浴も可能となっています。馬淵川のほとりにある金田一温泉郷は、緑風荘をはじめ色々な座敷わらし伝説が伝わっています。江戸時代には、南部藩の指定湯治場で「侍の湯」と呼ばれていました。緑風荘の正面玄関口から150m程の小高い丘に、金田一温泉薬師神社が鎮座しています。この金田一温泉薬師神社には、不思議な由来があります。
開湯して間もない時代、毎日同じ時刻に悪天候なども関係なく、湯治にくる美しい女性がいました。村の人々は、誰一人としてその女性が誰でどこから来たのか知りませんでした。ある夜、湯元の主が寝ていると、その女性が枕元に現れて「暫く湯治に通った。私は、この世のものではない。直ちに社を建て、湯の神として祀ってほしい」と告げたそうです。これにより主は丘に社を建て、薬師如来を祀り金田一温泉薬師神社が創建されました。温泉の起源は不明ですが、開湯年代は1626年頃とされています。
座敷わらしの伝承された金田一温泉郷は、ずっと神に守られてきたのでしょう。金田一温泉郷には現在十数件の温泉宿があり、毎年7月下旬に金田一温泉まつりが行われます。
多くの人々が亀麿神社に参拝して、益々幸せになれたら嬉しいですね。幸せが循環して、世の中が変わる日が来るかもしれません。明るい希望が沸いてきます。
亀麿神社の一番パワーのある所
亀麿神社全体が、明るいパワーに包まれています。家族の幸せを願った亀麿の、純粋な思いが溢れているのでしょうか。人々に幸せをもたらす座敷わらしに感謝して、元気なパワーを授かりましょう。
ライター 梅花桜花
基本情報
住所:〒028-5711 岩手県二戸市金田一字長川41
電話番号:0195-27-2540 金田一温泉旅館組合