玉置神社

玉置神社は巨大な杉に囲まれた熊野三山奥の宮
玉置山は、熊野から吉野まで大峰山系が連なる南方の奈良県十津川村にあり、標高1076メートルあります。山頂近くには「玉置神社」があり「熊野三山の奥の院」といわれています。熊野三山のひとつ、熊野本宮大社からは車で1時間ほどの距離です。一帯は「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に登録され、荘厳で霊験あらたかな聖地になっています。

ご縁のある方のみたどり着けるといわれていて、狭い山道を車で走ったり、到着後も足場の悪い階段があったりと険しい道中もありますので、軽い気持ちで行くのはおすすめしません。だからこそ、玉置神社にたどり着けた時の喜びはひとしおといえるでしょう。参拝前後に不思議な体験をする方もいらっしゃるそうです。今回は、深い森につつまれた神秘的な玉置神社の魅力にせまります。

玉置神社の歴史
はじまり
神武東征の時に、八咫烏(やたがらす)が神武天皇を先導した有名な伝説が残されています。その際、神武天皇は神宝を置いて、勝利を祈願した山が玉置山とされています。紀元前37年、第十代崇神天皇が玉置山に来られ、その4年後玉置神社が建立されます。

玉置山は大峰山系の一峰で、修験道の根本道場になると修験道の一拠点となり、栄えていきました。修験道の開祖の役行者(えんのぎょうじゃ)や弘法大師・空海もこの地で修業したと伝えられています。智証大師、円珍が那智で修業した後の858年、玉置山に本地仏を祀りました。それ以降神仏混合になったと伝えられています。

大峯山系は役行者が開いた修験道の根本道場で、中世には大峯山系南端の熊野は修験道の中心でした。神武、崇神天皇以降も皇室の信仰が篤く、天皇や上皇など幾人もの皇族が参拝に訪れました。江戸時代、元禄年間までは修復、造営などすべて国費で賄っていたそうです。

神仏習合の霊地の玉置山は、「玉置三所権現」「玉置権現」と呼ばれていましたが、明治政府の神仏分離令の政策にのっとり、1868年(慶応4年)廃仏毀釈が行われます。これにより「玉置三所大神」になり、後に現在の「玉置神社」となりました。

ご祭神・ご利益
玉置神社には五柱の神様がお祀りされています。国常立尊(くにとこたちのみこと)、伊弉諾尊(いざなぎのみこと)、伊弉冉尊(いざなみのみこと)、天照大御神(あまてらすおおみかみ)、神日本磐余彦尊(かむやまといわれひこのみこと)です。

またご利益も、魔除け、厄除け、縁結び、子授け、病気平癒、航海守護、商売繁盛、産業開発と多種多様です。特に魔除けのご利益がある神社は珍しいのではないでしょうか。

紀元前37年、玉置神社は悪霊退散を目的として創建され、今日まで強力な魔除けのご利益があるとされてきました。現在は魔除け札が、社務所で授与されています。弘法大師・空海が描いた絵を版画にして護符にしています。

魔除け札には、木と紙の札2種類があり、さらに紙の札には大小2つのサイズがあります。大きいサイズは玄関に貼り魔除け札として、小さいサイズはお財布に入れお守りにする等、用途に合わせて使い分けができます。

また、毎年10月24日には玉置神社例大祭が執り行われ、弓神楽が奉納されます。白河院をはじめ皇室の御祈願にも奉納された、由緒ある神楽です。弓神楽の歌詞には「弦音(つるおと)すれば悪魔退く」とあり、悪魔退散のご神徳があることを表しています。

また、ここ近年で注目されているのは、縁結びです。芸能人も訪れ、結婚したカップルもいます。手水舎には、お礼として奉納された柄杓があります。日本で最初に夫婦となった伊弉諾尊と伊弉冉尊をお祀りしているので、これにあやかろうと参拝する方も多いようです。

玉置神社の見どころ
神代杉
玉置神社は、何本もの巨大な杉に囲まれた中に鎮座しています。神域にある巨樹な杉は、奈良県の天然記念物に指定されています。多湿で温暖な気候が幸いし、多くの巨木が育ったと考えられています。

神社の周辺には、磐余杉(ゆわれすぎ)、夫婦杉(めおとすぎ)、常立杉(とこたちすぎ)など名前が付いた杉が何本もそびえています。その中でも特に存在感を感じさせるのが、神代杉(じんだいすぎ)です。高さ28メートル、根回り8.4メートルあり、樹齢にいたっては3000年とされるご神木です。圧倒されるほどの神々しさを、ぜひ近くで感じてください。

社務所
かつては、神社の経営などを行っていた別当寺でしたが、廃仏毀釈での取り壊しを免れ、現在は社務所として使用されています。社務所には拝観料300円で入れますが、それ以上の価値が十分ある素晴らしい襖絵(ふすまえ)が60数枚も飾られています。

杉の襖は一枚板を使用し、狩野法橘、橘保春による狩野派の豪華な花鳥図を、すぐ近くで見ることができます。1804年(文化元年)の建造物で国の重要文化財に台所とともに指定されています。

三柱神社
三柱神社は玉置神社の摂社で、三狐神(みけつかみ)と古くから呼ばれ、熊野地方の稲荷信仰の要として信仰を集めています。また、全国の稲荷社の基ともいわれるなど歴史があります。

ご利益は、五穀豊穣、商売繁盛、大漁海上安全、悪魔退散です。特に狐憑きに陥った時の狐の霊の除霊に効くとされ、霊験あらたかな神社とされてきました。昔は、狐が人によく憑くとされていたため、本宮町周辺から玉置山までお参りに訪れていたそうです。また、「御饌津神」(みけつかみ)とも書き、食物を司る神ともいわれています。

シャクナゲ
境内には数千株に及ぶシャクナゲが植えられています。4月下旬から5月上旬にかけて見頃を迎え、満開の花を求めてたくさんの観光客が訪れる、シャクナゲの名所になっています。

 

玉置神社の特にパワーがある場所
玉石社
山頂に向かう杉に囲まれた道を登っていくと、途中に垣で囲まれた杉の木が3本あります。本殿と山頂の真ん中に位置していて、この場所が玉石社です。3本の杉の根元には、白い砂利が敷き詰められ、その中に地表にわずかばかり顔を出した黒く丸い石があります。この石こそがご神体で、地中にどれだけ埋もれているか分からないほどの大きさがある、といわれています。

玉石社に社殿はなく、玉石そのものがご神体の古代からの磐座(いわくら)信仰が、今日まで受け継がれています。その昔、役行者や空海が、霊験ある珠をこの地に埋めたとされ、「玉」を鎮めて「置いた」ことが玉石社の名前の由来になりました。

玉置神社の起源であり、古来より修験道の聖地とされています。このことから、本殿より先に玉石社に参拝するのが習わしになるなど、境内で最大のパワースポットになっています。

まとめ
玉置神社の見ておきたいおすすめスポットをご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。神様に呼ばれた人だけが参拝できるといわれる不思議でスピリチュアルな面もみせる玉置神社を、ご自分の感覚を研ぎ澄まして、じっくり堪能してみてください。深い森の中で神秘的な空間に静かにつつまれていると、神様が伝えたいことが何か感じられるかもしれませんよ。

ライターネーム/サクヤ凛

 

基本情報
名称:玉置神社(たまきじんじゃ)
所在地:〒647-1582 奈良県吉野郡十津川村玉置川1
TEL:玉置神社 0746-64-0500
公式HP:http://www.tamakijinja.or.jp/
休日:無休

料金:境内自由、社務所襖絵の見学 中学生~大人500円
拝観、開館、開園時間:  4月~9月/9:00~17:30、10月~3月/9:00~17:00
駐車場:有り 有料(1日1回1000円)

交通(マイカー):南阪奈道路葛城ICから国道24号、168号経由、約90km、約3時間
交通(公共交通機関):JR五条駅から十津川経由新宮行きバスで約2時間55分、十津川温泉下車、玉置山駐車場までタクシー30分 、徒歩約20分
(最新の情報は公式HPでご確認ください。)

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