吉備津彦神社

 

吉備津彦神社とはどんなスポットなのか?
昔話「桃太郎」とゆかりある吉備津彦神社は、岡山県岡山市北区一宮に鎮座しています。背後には吉備中山(標高175m)があります。吉備中山は太古より山全体にパワーがある「神の山」として人々から崇められてきました。かつては岡山県と広島県の一部は吉備国と呼ばれ、律令制によって備前国・備中国・備後国に分かれました。その備前国・備中国の境目に吉備中山があり、吉備津彦神社はその北東の麓に位置しています。

備前国一宮である吉備津彦神社は、「朝日の宮」とも呼ばれています。夏至の日の朝には、太陽が正面鳥居から真正面に昇ります。そして、神殿の鏡には朝日が真っ直ぐに差し込むのです。何とも美しく神々しいその光景から「朝日の宮」と称されてきました。明るく前向きな清々しい響きの名称ですね。平成30年には日本遺産『「桃太郎伝説」の生まれたまち おかやま 古代吉備の遺産が誘う鬼退治の物語』の構成文化財として認定されています。

ご祭神は「桃太郎」のモデルとされる吉備津彦命(きびつこのみこと)で、社名にもなっています。大和朝廷からの命によって吉備津彦命は、吉備国に入り平定したと伝えられています。鎮座地は吉備津彦命が住んでいた屋敷跡であり、境内は神の山・吉備中山からの強いエネルギーに溢れています。また、吉備津彦神社の摂末社は20を超え、縁結び・家内安全・商売繁盛・勝利祈願をはじめ様々なご利益があり、パワースポットとして多くの人々が参拝に訪れています。

 

吉備津彦神社の特徴
神の山と崇めらる吉備中山は、磐座をご神体として古くより崇められてきました。吉備国と呼ばれていた頃、その中心にある山であったことが名前の由来とも伝えられています。吉備国は瀬戸内海の温暖な気候に肥沃な土地で、山裾には海が広がり海運業の要所でもありました。製鉄技術もあり農具や武器が多く作られ、当時の吉備国は大きな力を持っていたと伝えられています。吉備中山には最古の前方後円墳や、100mを超す大型前方後円墳などが今も残されています。大和朝廷にも対抗できるほどの力を持つ吉備国が、いかに栄えていたかを物語っています。

吉備国は7世紀後半に律令制により、備前・備中・備後と3国に分かれます。吉備国全体の総鎮守は元々、現在の岡山市北区吉備津にある吉備津神社でした。国が分かれたことで、元々の吉備津神社が備中国一宮となり、備前国は吉備津彦神社、備後国は吉備津神社(広島県福山市)が一宮として創建されました。この3社は全て、ご祭神・吉備津彦命が祀られています。

国が分けられた際、備前・備中では、祭祀場でもあった聖なる神の山・吉備中山を半分に分けました。そして、山の麓には吉備津彦神社・吉備津神社が鎮座しています。このことからも、吉備中山と吉備津彦命を、当時の人々は神聖視していたことが分かります。朝廷の命により派遣された吉備津彦命は、吉備国の「鬼の城」と呼ばれる城に住んでいた、百済の国の皇子・温羅(うら)を退治しました。これが、伝説として全国に広まり桃太郎の話が生まれたようです。

温羅の伝説によると、崇神天皇(すじんてんのう)の頃、百済からやって来た温羅は、乱暴で人々を苦しめていたため、吉備津彦命と温羅が交戦する事となったのです。その鬼とされる温羅は、この地に製鉄の技術を伝え貢献したと言われています。吉備国の人々とも友好的で人望があったようです。製鉄技術により吉備国は兵も強く、その強さを恐れた大和朝廷が温羅を倒したとの言い伝えもあるようです。真相は謎に包まれていますが、今でも鬼の城には朝鮮式山城の石積みが残され、調査発掘が行われています。

吉備津彦神社は平安時代の頃より、皇室をはじめ代々国司からも永く崇敬されてきました。相殿には歴代天皇や吉備津彦の兄弟なども多く祀られた皇室とゆかりのある神社です。吉備津彦命も孝霊天皇(こうれいてんのう)の皇子とされています。また、吉備津彦命の姉・大倭迹々日百襲比賣命(おおやまとととひももそひめのみこと)は、邪馬台国の女王・卑弥呼(ひみこ)とも言われています。

吉備津彦神社のご祭神
ご祭神
吉備津彦命(きびつひこのみこと)

相殿
孝霊天皇(こうれいてんのう)     吉備津彦命の父  第7代天皇

孝元天皇(こうげんてんのう)     吉備津彦命の兄弟 第8代天皇
開化天皇(かいかてんのう)      孝元天皇の御子  第9代天皇
崇神天皇(すじんてんのう)      開化天皇の御子  第10代天皇
彦刺肩別命(ひこさしかたわけのみこと)吉備津彦命の実兄
天足彦國押人命(あまたるひこくにおしひとのみこと)     吉備津彦命親族
大倭迹々日百襲比賣命                    吉備津彦命姉
大倭迹々日稚屋比賣命(おおやまとととひわかやひめのみこと) 吉備津彦命妹
金山彦大神(かなやまひこのおおかみ) 
大山咋大神(おおやまくいのおおかみ)

吉備津彦神社のご利益
吉備津彦神社は、縁結び・家内安全・商売繁盛・五穀豊穣・長寿延命・勝利祈願・病気平癒・厄除けなどのご利益で知られています。授与品には、可愛らしい桃守り(災難除け)があり人気です。古くより桃は「魔除けの果実」として知られています。他にも桃のお守りやおみくじなどが置かれています。

また、「えんむすび」の文字が刺繍された紅と白の縁結びのお守りが置かれています。その縁結びのお守りを購入して神社にそのままお預けすると、1年間の縁結び祈願をして頂けます。お預けするには別途約2,000円の料金が発生しますが、縁結びを強く願う人には心強いサービス

吉備津彦神社のどこが見どころか?
吉備津彦神社の鳥居の先には、拝殿までの真っ直ぐな石畳が続いています。参道には程よく松の木が並び、池には橋が架けられています。夏至の日には朝日が真っ直ぐに差し込む参道は、清々しく整えられ神聖なご神気となっています。駐車場からはすぐに拝殿へと続いていますが、参道を歩いてみるのもおすすめです。参道入口には岡山県らしく、備前焼の貴重な狛犬が神社を護っています。吉備津彦神社には多くの摂末社があり見どころも多く、ゆっくりと散策してみてはいかがでしょうか。

 

本殿
吉備津彦神社の品格ある趣きの本殿は、岡山県の重要文化財に指定されています。現存する本殿は、江戸時代1668年に岡山藩主・池田光政(いけだみつまさ)公が造営を始め、子の綱政(つなまさ)公の代になった1697年に完成しました。29年もの歳月をかけて造営された、なめらかで美しい三間社流造りの本殿は、飛鳥時代の建築の粋が感じられます。荘厳で華麗な流造りは、往時の姿を示す貴重な建築物となっています。本殿・渡殿・祭文殿・拝殿と、社殿が一直線に並んでいるのが特徴的です。

平安杉
吉備津彦神社のご神木は「平安杉」と呼ばれています。樹齢千年以上と言われ、境内には力強いエネルギーが流れていることが分かります。大いなるパワーを授かれることでしょう。

子安神社
摂社の子安神社は、岡山藩主・池田氏に篤く崇敬されていました。池田利隆(いけだとしたか)公が子宝に恵まれず、子安神社に祈願したところ光政公が授かったと伝えられています。その光政公は、後に名君として称されました。縁結び・子宝・安産・育児のご利益のある神社です。子安神社の傍に生える蕨を食べると妊娠するとの言い伝えがあります。毎年5月5日には「子安神社例大祭」が斎行され、子供たちの神楽が奉納されます。また駐車場では、色とりどりの鯉のぼりが悠々と空を泳ぐ姿が見られます。

 

温羅神社
境内から南門を出ると右に朱色の鳥居が見えます。この鳥居の奥に稲荷神社があり、途中には、鬼とされる温羅を祀る「温羅神社」が鎮座しています。温羅は地元では、製鉄技術などを伝え地域の発展に大きく貢献したとして、人々に親しまれていたという説もあります。温羅が来日し吉備国に住んだ意味や、本当に鬼のようだったのかなどと思いを馳せて、自分なりの物語を想像するのも楽しい一時となるかもしれません。

夏至の日 日の出祭り
毎年、夏至の日に開催される「夏至の日 日の出祭り」は、吉備津彦神社の一番おすすめの神事です。この日は、太陽が昇る早朝から神事が始まります。万物の恵みをもたらす太陽や、太陽神に感謝を捧げるための奥深い神事です。昇る朝日を、多くの人と共に静粛に拝みます。鳥居から朝日が差し込む光景は、幻想的で神々しく人々を魅了します。太陽の光が神殿の鏡に届くとは、太陽信仰の原点であり、自然崇拝の自然との調和も元になっているようです。あらゆることに心から感謝の思いが沸いてきますね。また、夏至は太陽の力が最も強い日です。強いエネルギーを授かれることでしょう。

秋季例祭
吉備津彦神社の「秋季例祭」は、毎年10月第3土曜・日曜に行われています。吉備津彦神社の氏子によって、巨大な太鼓台「千載楽」が引き回されます。「千載楽」には、例大祭に欠かせないお供え物が据えられ、初日に町内を引きながら回ったのち、吉備津彦神社境内に運ばれます。2日目は、神前に豪華なお供え(新穀)を並べて、五穀豊穣の祈願が行われます。また、岡山市重要無形民俗文化財となっている「流鏑馬神事」も行われます。ダイナミックな流鏑馬神事は人気です。お祭りでは、出店もあり多くの人々で賑わいます。

吉備津彦神社の一番パワーのある所
吉備津彦神社の後ろにある吉備中山には、神社の創建前の姿とされる「元磐座座」があり、強力なパワースポットと言われています。夏至の日には「元磐座座」と、吉備津彦神社を結んだ直線上に太陽が昇るそうで、いかに神聖な場所であるかが分かります。吉備津彦神社参拝と合わせて吉備中山も散策すると、さらに神聖なエネルギーを授かれると言われています。

 

吉備津彦神社のまとめ
「桃太郎」のモデルとされる吉備津彦命が祀られた吉備津彦神社は、岡山県岡山市北区一宮に鎮座しています。神社の背後にある吉備中山は、山全体にパワーがある「神の山」として古くから崇められてきました。境内は吉備中山からの強いエネルギーが流れ込んだ、清々しいご神域となっています。吉備津彦神社は「朝日の宮」とも称されています。夏至の日には太陽が正面鳥居の真正面に昇り、神殿の鏡に朝日が真っ直ぐに差し込むのでより神秘的です。また、摂末社は20を超え、縁結び・家内安全・勝利祈願などの他、様々なご利益があります。吉備津彦神社は力強いパワースポットであり、神聖なパワーを授かれることでしょう。

 

 

ライター 梅花桜花

 

基本情報
住所:〒701-1211 岡山県岡山市北区一宮1043
電話番号:086‐284‐0031
定休日:無
拝観時間:6:00~18:00
拝観料:無
アクセス:
・JR岡山駅~JR吉備線 備前一宮駅下車 徒歩3分
・山陽自動車道 吉備SA内・スマートICから 総社方面へ約3.5km
 (スマートICは ETC限定 6:00〜22:00)
駐車場:有
HP:https://kibitsuhiko.or.jp/about.html

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