穴八幡宮

 

一陽来復のご利益を求めて「穴八幡宮」
東京早稲田にある「穴八幡宮」では、冬至から節分の間だけに配られるお守りが人気を集めます。境内には、このお守りを手に入れようとあふれんばかりの人で賑わいをみせます。なぜ、冬至から節分の期間限定なのか、なぜそんなに人気があるのか、金運のパワースポットとして有名な穴八幡宮について、境内の見どころも含めてその魅力にせまります。
 

穴八幡宮の歴史
はじまり
現在の早稲田にある穴八幡宮は、一帯が古墳とされる小高い丘の上にあります。かつて、前方後円墳があったとされ、古くから非常に神聖な場所とされてきました。

1062年に源義家が奥州を平定し、凱旋途中にこの地を訪れます。そこに刀と兜を納め、八幡神を祀ったことがはじまりとされています。1641年、社守の庵を建てるため、南側の山すそを切り開くと横穴が現れ、中から金銅の阿弥陀如来像が出現しました。このことから「穴八幡宮」と称されるようになります。

徳川3代将軍家光はこれを聞き、大変めでたいことだと、穴八幡宮を幕府の祈願所である城北の総鎮護としました。それ以降、歴代将軍もたびたび参拝するようになり、穴八幡宮は、徳川幕府より篤く信仰されてきました。

長い間、崇敬されてきた歴史ある穴八幡宮ですが、1945年東京大空襲により多くの建物が焼け落ちてしまいます。その後1961年から本殿、拝殿の再建工事が始まりました。1998年には、室町時代の様式で隋神門が再建されます。江戸名所図会に基づいた境内全体を再建する計画は、いまだに工事が継続しているとのことです。

ご祭神
應神天皇(おうじんてんのう)、仲哀天皇(ちゅうあいてんのう)、神功皇后(じんぐうこうごう)がお祀りされています。應神天皇と、武運の神である八幡神は同じ神様とされています。應神天皇の父は仲哀天皇、母は神功皇后です。三神を合わせ、八幡三神と呼ばれています。

ご利益
穴八幡宮ならではの有名なご利益のひとつ、蟲封じがあります。ここでいう蟲とは、疳の虫(かんのむし)のことです。赤ちゃんが泣き止まない、夜になってもなかなか寝つかず、かんしゃくを起こすことを「疳の虫」また、その状態を「疳の虫が騒ぐ」といいます。

何が原因なのか、子供の行動に親も理解できず、どうしていいかわからなくなる悩みは江戸時代からありました。穴八幡宮の蟲封じは効果があると信仰され、庶民のみならず、徳川将軍家も代々参拝に訪れ、その回数は数十回に及ぶとか。

明治時代に入った1879年には、当時皇太子だった大正天皇の蟲封じ祈祷も行われました。「疳の虫」は子供の時だけとは限りません。「自分の感情が抑えられない」「自分自身をコントロールできない」大人をたまに見かけたりしませんか。まるで、自分の中に別の蟲が住み着いて暴れているようで、周囲の人には理解できない行動をとることがあります。

「女癖が悪い、それさえなければいい人なのに。」
「ギャンブルがどうしてもやめられない。」
「普段は温厚なのにお酒が入ると人が変わったように暴力をふるう。」

それらは、疳の虫の一種とされ、虫を封じる穴八幡宮のありがたい力は人々に広く浸透し、信仰されていきました。他にも、開運、商売繁盛、出世などのご利益を授かることができます。また、穴八幡宮あたりは固い岩盤になっていて、江戸時代には、清らかな水が湧き出ていました。このような場所は、金が生産されやすいため、金運の結びつきが強いとされています。 

穴八幡宮の見どころ
 一の鳥居
綺麗な朱塗りの鳥居が遠目にも目立ちます。柱の基礎部分を建築用語で亀腹(かめばら)といい、通常漆喰で固められていますが、こちらの鳥居は文字通り亀が柱を支えています。亀は縁起物の動物として昔から重宝され、金運アップの象徴ともされてきました。

重い鳥居を一生懸命に小さな体で支えているようで、健気な姿に見えてきます。忘れずに一番下の基礎部分にも注目して見てくださいね。

高田馬場流鏑馬
一の鳥居をくぐると、すぐ左に力強い流鏑馬(やぶさめ)像があります。流鏑馬は疾走する馬から的に向かい矢を放つ、伝統的な儀式です。穴八幡宮との関わりは古く、1728年8代将軍吉宗が、子供の疱瘡のため平癒祈願で、流鏑馬を穴八幡宮に奉納したことがはじまりとされています。

これを機に以降も、流鏑馬が世継ぎ誕生や厄除け祈願として、穴八幡宮に奉納されることになりました。明治維新以降、戦争などによりしばらくの間中断されていましたが、1964年に水稲荷神社の境内で復活します。

1979年からは高田馬場流鏑馬保存会により、勇壮な神事として会場を都立戸山公園に移し、毎年10月の体育の日に開催されてきました。祭礼当日、穴八幡宮で射手や諸役らがおはらいを受けた後、5頭の馬に乗り会場である戸山公園まで古式ゆかしく練り歩きます。

会場に到着すると、水干(すいかん)と呼ばれる装束を身にまとった射手が、約200メートル長さの馬場を、馬に乗りながら走り抜け、3つの的に向けて矢を放ちます。見守る大勢の観光客は、的に矢が当たると射手をたたえ、スピード感と迫力ある技術に拍手喝采を送ります。見ごたえがある貴重な伝統行事の高田馬場流鏑馬は、新宿区指定無形民俗文化財にもなっています。

布袋像水鉢
水鉢を抱える布袋像は珍しく、新宿区の有形文化財にも指定されています。本物は非公開とのことですが、レプリカが設置され、撫でながら祈願することができます。参拝者がみな撫でていくので、顔や手足、お腹もツルツルで黒光りしています。

布袋様は七福神の一人で、昔中国で実在した僧侶といわれ、弥勒菩薩の化身とされてきました。お顔も福々しく柔和で、商売繁盛、良縁、開運、夫婦円満、子宝、無病息災のご利益で知られています。お参りすれば穴八幡宮のご利益と合わせて、ますますパワーアップできそうですね。さらに、手水舎でも布袋様がお水を出してくれていますよ。口と手を清めてから参拝しましょう。

ご神木
立派に根を張り、目を見はるほど大きなクスノキのご神木が境内にあります。根が四方八方と地上にまで出ているため、根が上がると値が上がるをかけて、金運に強いご利益があるとされています。太い根が大地をしっかりつかみ、見るからに金運上昇につながる力強いスポットです。

神武天皇遥拝所
勝負運、国家安泰、困難克服などのご利益があります。奈良県にある「橿原神宮」(かしはらじんぐう)は初代天皇である神武天皇がお祀りされており、こちらの遥拝所で拝むことができます。立ち寄る人が少ないため、知る人ぞ知るスポットです。
 

穴八幡宮の特にパワーがある金運お守り
一陽来復御守
「一陽来復御守」は「いちようらいふくおまもり」と呼びます。毎年、冬至から翌年の節分限定で、この期間、毎日頒布されるお守りです。一陽来復とは、陰の気が極まり陽の気に転じていく、悪いことが続きその後、ようやく良い方向へ物事が向うという意味があり、冬至のことを指しています。

冬至を境に、太陽の力が再び回復することから、これより先は良い運に向かっていくとされているのです。冬至は運気が上昇に転じる大事な節目で、ここで悪いことはリセットされ、運気がこれから上昇に向かうエネルギーに満ち溢れた日です。冬至の日から配られる理由は、こういうことだったのですね。

さらにこのお守りには、お祓いされた金柑と銀杏が入っています。冬至に欠かせない柚子は「融通が効く」との願いが込められているため、金銀融通の意味もあります。一陽来復御守の頒布が始まる冬至の日は、寒い時期にもかかわらず、境内はおろか、周辺道路にまで行列が続くそうですよ。足元から冷えるため寒さ対策を忘れずにしましょう。

お守りは2種類あり、定番の壁に貼るタイプの「一陽来復御守」(1,000円)と財布などに入れ携帯して持ち歩くことができる「一陽来復懐中御守」(400円)があります。寒い中、せっかく並ぶならと両方いただく方も多いようです。

無事、お守りを頂けたからとすぐ金運アップには繋がらないのが、このお守りの特徴です。ここからが大事なポイントで、お祀りする日時や場所、方角が細かく決められているのです。お祀りする日と時間は、冬至、大晦日、節分の夜中の12時で、1年に3回のみです。日付の変わる午前0時なので間違えないよう注意しましょう。

場所は家族が集まるリビングなどが良いようです。その年の恵方に向け、できるだけ高いところに貼りましょう。画鋲で直接刺したり、お守りの上からテープで押さえつけることは絶対にしてはいけません。貼り直しは効かないので、両面テープやのりなどで、落ちないようしっかりと貼ります。

万が一、落ちてしまったり転居などで外さなくてはいけなくなったら、お守りを社務所に返し、ご神前で神様にその旨の報告のお参りをします。一陽来復御守のご利益をしっかりと授かるためにも、正しい方法でお祀りしましょう。
 

まとめ
金運のパワースポットとして知られる穴八幡宮は「一陽来復御守」が頒布される時期は、特にたくさんの人が参拝に訪れます。実際、お金の巡りが前より良くなった裕福な家には必ず「一陽来復御守」が祀ってある、など金運上昇の口コミをよく目にします。

ただし、この「一陽来復御守」、頂くのも一苦労、お祀りするにも恵方や貼る時間まで細かいルールがあるなど細心の注意が欠かせません。絶大なご利益を授かるには、そう簡単には叶わないということなのでしょう。1年に1度だからこそ、丁寧に敬いしっかり心を込めてのお祀りが大切なのですね。

ライター サクヤ凛
 

基本情報
住所:東京都新宿区西早稲田 2丁目1-11
電話番号:03-3203-7212
参拝時間:9時00分 ~ 16時00分
授与所受付時間9時00分 ~ 17時00分 金銀融通の「一陽来復御守」は冬至から節分まで頒布
公式HP:https://www.anahachimanguu.jp/
アクセス:東京メトロ東西線「早稲田駅」から徒歩約6分 近くの駅 早稲田駅
駐車場詳細:駐車場はありません。近隣のコインパーキングをご利用ください。
※記載した金額等は2022年7月時点のものであり、変更の可能性があります。

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