大聖院

 

宮島の隠れたパワースポット「大聖院」
宮島には大聖院(だいしょういん)という、島内で最も歴史の深い由緒あるお寺があります。宮島といえば厳島神社ですが、大聖院という名前を知っている人は少ないのではないでしょうか。

実は、この大聖院は知る人ぞ知るパワースポットであり、宮島を観光するなら、ぜひ訪れていただきたい場所のひとつです。宮島といえば、まず厳島神社が注目されますが、地元では厳島神社ではなく、大聖院に参拝するために宮島に行く人もいるほどの隠れた人気エリアです。

せっかく宮島まで来たなら、大聖院に行かないのはもったいないですね。では、何がそこまで人々を引き付けるのでしょうか。厳島神社に隠れがちでありながら、魅力がたっぷりつまった大聖院を今回、ご紹介します。
 

大聖院の由来
宮島の中で最も歴史が深い寺院が、真言宗御室派の大本山大聖院です。唐より帰朝した空海が宮島に渡り、弥山にて修行した後、西暦806年(大同元年)に開基しました。大聖院の正式名称は「多喜山水精寺大聖院」(たきざんすいしょうじだいしょういん)です。

霊峰・弥山の麓に鎮座し、明治時代に施行された神仏分離令までは、十二坊の末寺を有する宮島の総本坊であり、厳島神社の別当寺(神社を管理するために置かれた寺)として祭祀を司ってきました。皇室との関係も深く、鳥羽天皇の勅命による祈願道場として、また明治天皇行幸の際には宿泊先にもなるなど格式高いお寺です。さらにここ大聖院では豊臣秀吉による茶会も開催されていました。

境内には、十一面観音菩薩像が祀られる「観音堂」や、秀吉が朝鮮出兵の際、海上安全を祈願した波切不動明王座像が祀られる「勅願堂」など、あらゆる像や祈祷所が配され、信仰する人の多さや歴史の深さを物語っています。初代総理大臣の 伊藤博文は、大聖院を深く信仰して何度も訪れ、弥山の登山道の整備にも尽力していたそうです。
 

大聖院のご祭神・ご利益
弘法大師をはじめ、大師が勧請した弥山の守護神 三鬼大権現や、秀吉が朝鮮出兵の際、護身仏として祈念した波切不動明王、厳島神社の本地堂に安置されていた十一面観世音菩薩、七福神など数多くの仏様が祀られています。弘法大師ゆかりの寺であり、しかも厄除け開運のご神徳が大きいことから「日本三大厄除け開運大師」のひとつに数えられています。

境内には四国八十八カ所と、中国三十三観音霊場の御砂踏み道場があります。中国三十三観音霊場の御砂踏み道場の「戒壇めぐり」では足下に砂、正面に観音様を安置しています。またその道場は「胎内めぐり」とも称されていて、観音様の母体をめぐることで生まれ変わって、様々な罪障が浄化するといわれ、霊験あらたかなスポットになっています。
 

大聖院の特にパワーがある場所
一願大師
大聖院はたくさんの見どころがありますが、その中でも特にパワーがあり知る人ぞ知るスポットとされるのが「一願大師」です。大聖院本坊最古の建物で、大きな数珠が掛かっている「大師堂」の裏手に安置されています。願い事をひとつだけ念じれば、叶えてくださる尊いお大師さまです。

たったひとつだけというところが、真剣さも増しますし、本気度を感じることができますね。大師堂の裏手には、参拝者がひとつだけ願いを込めたであろう、たくさんのだるま絵馬が奉納されています。

実はこの一願大師、御成門から真っ直ぐ進んだところにあるのですが大聖院の本堂、「勅願堂」(ちょくがんどう)の奥にあるため、気がつかず帰ってしまう人が多いのだとか。人目のつかない目立たない場所にあるので、事前にチェックして見逃がさないようにしましょう。
 

大聖院の見どころ
大般若経筒、願い玉
仁王門をくぐるといきなり長い階段があるため、躊躇してしまいがちですが、階段の途中にも見どころがいろいろありますよ。楽しみながら上がることができるので、疲れも軽減されるのではないでしょうか。

階段の真ん中には「大般若経筒」(だいはんにゃきょうとう)があり、三蔵法師がインドより持ち帰ったとされるお経が刻まれています。ぐるぐると筒を回転させた数だけお経を唱えるのと同じ功徳があるとされています。ありがたい筒ですので、回しながら階段を上がっていきましょう。

階段の途中には、重要文化財である不動明王坐像が祀られています。さらに鐘もあり、1度だけつくことができます。その横には1袋3個入って300円の願い玉が置かれ、願いをこめて向こう側にある壺にめがけて投げます。壺に入れば願いが叶い、3個入れば全ての願いが成就するといわれています。

階段を上るだけでもこれだけのご利益がいただけるのは嬉しいですね。上りきったら御成門をくぐり、大聖院の中へと入っていきます。

遍照窟
遍照窟(へんじょうくつ)では四国八十八カ所の砂が埋められ、八十八体の本尊の前に立ち、参拝すれば、四国八十八カ所のお遍路参りをしたのと同じ功徳を得られるとされています。四国八十八カ所の霊場を巡るお遍路は通常1、2ヶ月の大変な日数をかけて廻るものですが、こんな短時間で、大きな功徳があるのは特に忙しい現代人にとって大変ありがたいことです。入口と出口がありますので間違えないようにしましょう。天井一面の燈篭が圧巻でとても美しく、厳かな空間になっています。

五百羅漢像
御成門への階段を上っていくと、帽子をかぶったたくさんのお地蔵様が見えます。これは悟りを開いた五百体の羅漢さんで、それぞれ表情が異なり「五百羅漢像」と呼ばれています。

かぶせられている可愛らしいニット帽子は、熱心な信徒のみなさんが心をこめて編んだそうです。いつも綺麗な帽子がかぶせられていることから、かなりの頻度で付け替えられているようです。表情豊かなお地蔵様に心が癒されます。

三鬼大権現
空海(弘法大師)が勧請して、弥山の守り神とされている三鬼大権現が摩尼殿に祀られています。三鬼大権現の「三鬼」とは、その言葉どおり3柱の鬼の神様で、大聖院には全国で唯一の鬼神が鎮座しています。お寺でありながら神様というのは神仏習合の名残であり、神は、仏の化身(形を変えて姿を現したもの)とされています。三鬼大権現はそれぞれ、下記の仏の化身だといわれています。

追帳鬼神(ついちょうきしん)は福徳を司る大日如来の化身。
時眉鬼神(じびきしん)は知恵を司る虚空蔵菩薩の化身。
魔羅鬼神(まらきしん)は降伏を司る不動明王の化身。

戒壇巡り
御成門をくぐった右側に、観音堂があります。ここでぜひ体験していただきたいのが、戒壇巡りです。地下へと続く階段を下りて、心を落ち着かせながら狭くて暗い闇の中を壁伝いに、静かに進みます。

ここはこれまでの自分自身を省みて、積み重ねた罪障を取り除くための精神修養の修行場とされています。真っ暗闇の中から外に出て、太陽の光を浴びれば、心が洗われ清々しくなっていくのがわかります。不思議な感覚が体験できますよ。

豊臣秀吉が歌会をした庭園
美しく手入れされた庭園があります。この庭園では、かつて盛大な歌会が豊臣秀吉によって催されました。大聖院には、1590年(天正18年)での歌会の様子を描いた図があります。優雅な感じが漂う絵柄で、当時の様子が美しい色彩で描かれています。

波切不動明王
勅願堂(ちょくがんどう)は大聖院の本堂で、平安時代末期の第74代天皇の鳥羽天皇勅願道場として創建されたといわれています。堂内では、家内安全や心願成就等の護摩祈願が毎日行われています。

ここには豊臣秀吉が、身近において拝んだとされる不動明王が、ご本尊として祀られています。この不動明王は秀吉が朝鮮出兵の時に、軍艦船宝丸に安置し、海上での安全と戦勝を祈願した事から波切(なみきり)不動明王と呼ばれています。威厳がありながらもどこか慈愛に満ちた波切不動明王は、一見の価値があります。

ちなみに大聖院で人気のお守りに「守り砂」がありますが、この波切不動明王の前で祈祷された砂が用いられています。

観音堂
大聖院の敷地内で最も大きな建物が、観音堂です。元来、厳島神社の本地仏だった「十一面観世音菩薩」が祀られています。観音堂は客殿と繋がるように建てられています。

たくさんのお地蔵さんや仏像
大聖院にはとにかくたくさんの魅力あるお地蔵さんや仏像があり、バラエティ豊かです。仏陀の足の裏である「仏足跡」、心を映す鏡とされる「御心鏡」、他にも「釈迦涅槃像」(しゃかねはんぞう)や、愚痴を聞いてくださる「愚痴聞き地蔵」など数多くあるため、興味深いスポットが見つかること間違いなしです。

観音堂には、通称「なでぼとけ」と呼ばれている賓頭盧尊者(びんずるそんじゃ:ピンドーラ バーラドヴァージャ)が安置されています。釈迦の第1弟子である賓頭盧尊者が病を持つ人の患部に相当する部分を手で撫でると、病気が治るといわれていました。 
また、観音堂の前には、エンマ大王の像があります。エンマ大王は、仏教やヒンドゥー教などでは地獄・冥界の主であり、死者の生前の罪を裁く神様として有名です。延寿・除病・息災・安産などにご利益があるとされています。
 

まとめ
たくさんの見どころがあり、しかもいたるところにご利益がある霊験あらたかな寺院で、境内をひとつひとつじっくり見て回りたいところです。大聖院は由緒正しいながら、エンターテイメント性にあふれています。宮島の表参道などの賑わいからは遠く離れた場所なので、ゆっくり過ごすことができますよ。

また、参拝に疲れた時は、寺務所の横に自動販売機とベンチなどが備えられた休憩スペースがあります。薬草が入った健康茶の「長寿羅漢茶(ちょうじゅらかんちゃ)」をセルフサービスでいただけます。いかにもありがたいネーミングのお茶がいただける心配りが嬉しいですね。宮島を訪れた際は厳島神社と併せて大聖院をぜひじっくりとまわってみてください。

ライターネーム/サクヤ凛
 

基本情報
住所:広島県廿日市市宮島町滝町210番地
開門時間:8~17時
電話番号:本坊0829-44-0111、弥山0829-44-2071
HP:https://daisho-in.com/
アクセス:
宮島口桟橋(JR山陽本線・宮島口駅から徒歩6分)よりJR宮島航路または宮島松大観光フェリーで宮島へ渡る。
宮島桟橋より徒歩約30分。
駐車場:数台可
拝観料:無料
※最新の情報は公式HPでご確認ください。
※記載した金額等は2022年12月時点のものであり、変更の可能性があります。

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