法多山尊永寺

法観音菩薩を祀るための聖地「法多山尊永寺」
「厄除け観音」として有名な法多山尊永寺は、静岡県袋井市豊沢にあります。遠州三山の1つで、古くより「ほったさん」と親しまれ広く信仰されてきました。豊かな森に守られた法多山の広大な境内には、自然や歴史・文化が残され、悠久の時を越え未来へと繋ぐ場となっています。

四季を通して木々や花々の移ろいは美しく、空気も澄み渡り心地よい古刹です。

法多山には月に1度、功徳日となる「お茶湯日」と呼ばれる日があります。お茶湯日に参拝すれば、更にご利益があるそうです。そのため、お茶湯日に欠かすことなく参拝に訪れる人も少なくありません。中でも7月10日のご利益が大きく、「4万6千日分」の功徳を授かれるとされています。

法多山ではこの7月9・10日に「万灯祭」が行われ、本堂前は数えきれないほどの灯籠で埋め尽くされます。夏の夜に煌めく神秘的な灯りは、夏の絶景とされ、忘れられないほどの美しい光景に魅了されることでしょう。

また、法多山は「遠州三山風鈴まつり」、「星満夜」でも知られています。夏を彩る風鈴の心地よい音色や、夜空に輝く小さな星に、心から癒されることでしょう。

様々な行事の他にも、法多山は多くの参拝所や建物も見どころに溢れています。入口の仁王門から、本堂までは長い石段もあり15分程歩きますが、参道を囲む自然からも清々しいエネルギーが注がれています。厄除けのパワースポットとして人気で、法多山には多くの人が訪れています。 


法多山尊永寺の特徴
法多山は寺号・尊永寺と称する、高野山真言宗の別格本山です。ご本尊の正観世音菩薩(しょうかんぜおんぼさつ)は、厄除・開運のご利益に霊験があることで知られています。古くより、厄除観音として人々に崇められてきました。

法多山の始まりは、奈良時代725年です。聖武天皇(しょうむてんのう)の勅命を受け、行基上人が(ぎょうきしょうにん)は、観音菩薩を祀るための聖地を探し求めました。そして、現在の法多山の地を見つけ、行基上人が自ら正観世音菩薩を刻み、安置したのが始まりと伝えられています。

ご本尊の霊徳は京の都まで届き、平安時代には白河天皇(しらかわてんのう)・後白河天皇(ごしらかわてんのう)からの勅願も篤く、寺格は定額寺となっていました。

戦国時代には、今川・豊臣・徳川家などから寺領寄進を受け、武将からも篤く信仰されています。中でも1602年には、徳川家康公より5万石を授かり、一山12坊と隆盛しました。明治維新には、朱印地は返還され、12坊は統合され寺号を現在の尊永寺と改めています。 


法多山尊永寺のご本尊
ご本尊  
正観世音菩薩
 

法多山尊永寺のご利益
法多山は、開運厄除・無病息災・社業繁栄・商売繁盛・学業成就・合格祈願・良縁成就・安産祈願・交通安全など、様々なご利益があるとされています。
 

法多山尊永寺のどこが見どころか?
豊かな自然に包まれた法多山は、訪れた人々を優しく迎えてくれます。春には桜が咲き誇り、夏の日差しは高木が心地よい陰を作り、秋の燃えるような紅葉の色づき、冬には凛とした空気をまとい、1年を通して五感に訴えかけるかのような多彩な景色に、訪れた人は魅了されることでしょう。

法多山の境内には、憤怒の形相でありながら願い全てを叶えて下さる不動明王像や、八臂型の弁才天が祀られた弁財天堂、優しい表情のお地蔵様なども祀られています。

また、徳川家康公お手植えの松があり、400年の時を越え見事な枝ぶりをみせています。法多山名物の「厄除だんご」を販売する茶屋では、素朴な味わいが今に受け継がれ、眺めの良いテラス席もあり人気です。法多山は神秘的で素敵な行事や、参拝所・建造物などの見どころが多くあります。

仁王門(国指定重要文化財)
法多山の入口にあたる仁王門は、桃山時代の建築様式を伝える貴重な門で、江戸時代1640年に再建されされました。三間一戸楼門で、間口7.27m・奥行4.24mのこけら葺きの力強さが感じられる雄大な門です。格子の中の仁王像は迫力があり、邪悪なものを入れまいと入口を守っています。

黒門(市指定文化財)
江戸時代1711年に建立された黒塗りの黒門は、旧塔頭寺院・正法院の山門です。 桧皮葺の四脚門で、簡素な造りに趣きがあり優美さが感じられます。仁王門に次ぐ古い建築物で、当時を思わせる雰囲気が残されています。

本堂
現在の本堂は、昭和58年に落慶しました。大伽藍は間口10間・奥行15間で、建立当時の姿に再建されています。長い石段の先に広い空間が現れ、中央に荘厳な本堂が建っています。本堂の屋根は、鳳が羽をひろげたように反り広がる秀麗な姿です。

本堂はかつて、遠州一円の根本道場であり、行事の多くが本堂で行われていました。

二葉神社
鐘楼堂の脇には二葉神社が祀られ、赤い小さな鳥居が並んでいます。大正11年に浜松市の「二葉遊郭」にあったお社で、芸妓や女給の人たちの身銭で建立されたものです。昭和31年に遊郭が解体され、安住地を求め法多山に移されました。

二葉神社は女性の守護神であり、今でも女性の参拝が絶えません。二葉神社への小道には、カラフルな布がたくさん掛けられています。これらは「結縁乃帯」(けちえんのおび)と呼ばれる願掛けの帯で、恋する人や願い事を記した紙や布を、境内に結ぶ風習が今でも残されています。

氷室神社
法多山の山腹には、氷を貯蔵する「氷室」と呼ばれる洞窟が掘られました。昔は氷が貴重なもので、その氷室を神格化して「氷室神社」が祀られました。氷室神社では、心を沈め明日へ導く神、「熱冷ましの神」として親しまれてきました。

氷は様々な「熱」を下げてくれます。病気の熱から、ギャンブル・お酒・悪縁、熱し過ぎる思いなども、沈静化してくださるそうです。今でも多くの人が信仰しています。 

蛸薬師堂
蛸薬師堂のご本尊・薬師如来(やくしにょらい)は古くより「蛸薬師」(たこやくし)」 と称されてきました。美肌・皮膚病・肌トラブルに、ご利益があるそうです。ご本尊の台座・蟇股には、蛸の彫刻がみられます。

万灯祭
法多山で7月9・10日に行われる「万灯祭」は、1年で1番ご利益があるとされています。ご本尊が祀られた本堂前が、多くの灯籠で照らされ幻想的です。仏教の教えでは、仏様は灯りを供えることを喜ばれ、闇を明るく照らすことが「智慧」を象徴するとされています。多くの人の祈りが込められた献灯は、仏様に届くことでしょう。

また、万灯祭では「ほおずき市」も催され、沢山のほおずきが売られます。赤くて丸いほおずきは、古くから仏様にお供えする灯りに見立てたものと伝えられています。

遠州三山風鈴まつり
「遠州三山風鈴まつり」は、夏を彩る風鈴が境内の至る所に吊るされて、優しく心地よい音色を届けてくれます。美しい音色をもつ鈴は、仏様に対するお供えでもあり、仏性に目覚めるとされています。忙しい日常で忘れがちな優しさや清さを、目覚めさせる力があるそうです。

琴線に触れる風鈴の音色に、癒され心が清らかになることでしょう。

星満夜
9月下旬〜10月上旬の新月には、「星満夜」も行われます。月が見えない夜空には、無数の星が光を放っています。何万光年も遥か遠くから輝く小さな光に、壮大な宇宙を感じ、宇宙の一部である自分にも気が付くことでしょう。

暗い場所は視覚情報が減り、脳が落ち着き余計な考えも消え去りリラックスできます。有意義な時間を過ごせることでしょう。
 

法多山尊永寺の一番パワーのある所
美しい自然に包まれた法多山尊永寺は、境内全体にパワーがあります。中でも、本堂前にパワーが集まっています。
 

法多山尊永寺のまとめ
静岡県袋井市豊沢に、法多山尊永寺があります。厄除け観音として有名で、「ほったさん」と親しまれ古くから広く信仰されてきました。1年を通して木々や花々に彩られる、美しくて広い境内は、豊かな自然・歴史や文化が残されています。

法多山の「お茶湯日」と呼ばれる功徳日に参拝すれば、更にご利益があるとされています。特に7月の「万灯祭」のご利益は大きく、本堂前には多くの灯籠が供えられ、幻想的な光景に多くの人が訪れます。「遠州三山風鈴まつり」「星満夜」でも知られ、他にも毎月様々な行事が催されています。

霊験あらたかな法多山は、厄除けのパワースポットとして人気です。

(ライター 梅花桜花) 


基本情報
〒437-0032 静岡県袋井市豊沢2777
TEL  0538-43-3601
定休日   無
拝観時間  8:30 ~ 16:30
拝観料   無
アクセス  東名高速道路 掛川ICから 約15分
      東名高速道路 袋井ICから 約20分
駐車場    無(付近に有料駐車場があります)
https://www.hattasan.or.jp/

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