香椎宮

 

10年に1度、天皇から勅使の参向を受ける「香椎宮」
「夫婦の宮」として知られる香椎宮は、福岡県福岡市に鎮座しています。全国で16社ある「勅祭社」のうちの1社で、香椎宮の格式の高さが窺えます。勅祭社は古くから朝廷より極めて厚く崇敬された神社で、天皇陛下より御幣物を奉り、その勅使を迎えて「勅祭」とよばれる祭儀が執り行われてきました。今でも香椎宮では、10年毎に勅祭が執り行われています。

天皇家ゆかりの香椎宮のご祭神には、仲哀(ちゅうあい)天皇・神功(じんぐう)皇后が夫婦神として祀られています。この「香椎」という地名は、仲哀天皇が崩御され、棺を椎の木に立てかけたところ、椎の木から芳しい香りが漂ったことが由来です。このような芳香現象が起こったことからも、神聖なエネルギーが感じられますね。

また、境内にそびえるご神木「綾杉」は、神功皇后が三種の宝を埋め杉枝を挿した所、葉が綾模様のように交互に生えたことから名付けられたそうです。香椎宮には古くから病を払い不老長寿のご利益があるとされる、「不老水」も湧き出しています。配祀神や境内社も多く祀られた香椎宮は、様々なご利益が授かれる、「開運」パワースポットとして有名です。
 

香椎宮の特徴
香椎宮の始まりは、熊襲征伐のため九州に遠征していた仲哀天皇が、志半ばで遠征中に崩御した香椎宮の地に、廟として建てられたことと伝えられています。
仲哀天皇は日本神話の英雄・日本武尊(やまとたけるのみこと)の子です。仲哀天皇一行は、日本統一のため、筑紫国へと下られ、現在の香椎宮の場所である「橿日宮」(かすいぐう)を拠点としていました。そこで、共に訪れていた神功皇后は神懸かりました。

天照大神と住吉三神から、「熊襲より先に新羅を攻めよ」とのお告げを受けたのです。しかし、仲哀天皇はその託宣を聞かずに、熊襲征伐を行いました。その結果、熊襲に敗北し撤退しています。翌年には、仲哀天皇はこの橿日宮の地で崩御。そこで、神功皇后が仲哀天皇の御霊を、密かにこの地に祀ったのでした。仲哀天皇9年(200年)のことで、神功皇后が祠を建てたことが香椎宮の始まりなのです。

その後、仲哀天皇のご遺志を継がれた神功皇后は、国内を平定しました。さらに自ら男装して、船団を率い朝鮮半島へ出兵し、日本では初めての国際国家としての地位も確立されています。この際、神功皇后はご懐妊中でしたが、石を懐に抱かれて出征したそうです。無事に日本へ帰国すると、次期天皇となる応神(おうじん)天皇をご出産されています。神功皇后は「聖母大明神」としても信仰され、安産の守護神として霊験あらたかです。

仲哀天皇と神功皇后の間に生まれた応神天皇は、生まれつきの「弓の名手」として知られています。応神天皇は祖父にあたる日本武尊と、神功皇后の血を受け継ぎ、多くの勝負に勝ちました。そして、仲哀天皇の遺志を引き継ぎ、天皇として即位したのです。武芸に優れた応仁天皇は、日本文化の基礎を築いてきました。そして、いつしか「八幡神」として、全国の八幡宮の神となったのです。

時が経ち元正天皇の養老7年(723年)には、神宮皇后ご自身の御神託がありました。それにより、朝廷が九州に詔し神功皇后の宮として社殿造営を創め、翌年の聖武天皇の神亀元年(724年)に竣工しています。仲哀天皇と神功皇后の両宮を併せ「香椎廟」・「樫日廟」と称されました。

香椎廟は、廟として築かれた最古の施設とされています。平安時代の中頃からは神社化されており、国内では類例のない特殊な変遷の歴史があります。天皇・皇后の神霊が祀られたことから、やがて明治時代には、香椎廟は官幣大社となり「香椎宮」と称されるようになりました。現在、勅祭社の1つとして10年に1度、天皇からの勅使の参向を受ける神社となっています。
そんな香椎宮には、仲哀天皇が拠点としていた「橿日宮」の跡が、古宮として残されています。橿日宮の場所で神功皇后は、仲哀天皇の亡骸をご神木「大槇木」で作られた棺に納め、椎の木に棺を立てかけたそうです。すると、椎の木の辺り一帯に、香りが漂ったと伝えられています。

椎の木から香りが漂ったため、「香椎」という名称の由来となりました。今も古宮の場所には、ご神木として椎の木「香椎」が残されています。香椎宮は、由緒正しき天皇家ゆかりの神社です。熊襲征伐として、仲哀天皇・神功皇后が九州を訪れたことが、香椎宮の始まりとも言えます。

ここで太平の世を願い、家族を想ったのですね。他にも霊験が伝えられる香椎宮では、強いエネルギーが感じられることでしょう。
 

香椎宮のご祭神
ご祭神
      仲哀天皇
      神功皇后
配祀
      応神天皇
      住吉大神
 

香椎宮のご利益
香椎宮は、国家安寧・世界平和・厄除開運・成功勝利・恋愛成就・縁結び・子授け・安産育児・金運上昇・芸能上達・土清祓除・海上安全・交通安全など、様々なご利益があります。
 

香椎宮の見どころ
福岡市の北部、立花山の南西麓に香椎宮が鎮座しています。豊かな自然に囲まれた中に、朱色の社殿がよく映えています。桜の名所でも知られ、美しく咲き誇る桜の姿は、参拝者の心を和ませてくれるでしょう。特に、木造の桜門を背景に望む桜は格別です。4月末〜5月中旬には、ツツジが1,600株も咲き乱れます。毎年6月上旬になると、楼門の前の菖蒲池では、約2,000本もの美しい花菖蒲の姿を愛でることができます。

広い境内には、神功皇后ゆかりの「綾杉」の大木や、300年もの長寿であったとされる竹内宿禰ゆかりの「不老水」もあります。他に開運スポットもあり、見どころが盛りだくさんです。
かつては歴代天皇の使者しか通ることができなかった参道(勅使道)は、約800mもの楠並木が続いています。日本神話や古事記にも登場する由緒ある香椎宮で、ゆっくりと過ごして良いパワーをたくさん授かりましょう。

本殿(国の重要文化財)
本殿は、江戸時代後期に再建されたものです。「香椎造」と称される独特な本殿の構造は、起源も明らかではなく、全国でも唯一の珍しい建築物で、国の重要文化財に指定されています。

本殿を取り囲む、壮麗な透塀も見応えがあります。祭事は10年に1度の勅祭の他に、仲哀天皇・神功皇后の命日には、今でも神事が行われています。本殿前の幣殿は、勅使が幣帛を捧げる場所です。

綾杉
本殿から真っすぐに見下ろす所に、朱色の柵に囲まれたご神木の「綾杉」がそびえ立っています。この綾杉は、神功皇后によって植えられたと伝えられています。

三韓征伐から帰還した神宮皇后は、その場所に三宝「剣・鉾・杖」を埋め、「とこしへに本朝を鎮め護るべし」と朝廷の鎮護を、末永く日本を見守ってほしいと願ったそうです。そして、鎧の袖に刺していた「杉の枝」を植えられました。その杉が、力強く大きく成長したと伝わる杉の木なのです。柵からはみ出るほど力強く、綾文様のようになって天に向かい伸びています。神功皇后の切なる願いは、今でもしっかりと天に届いているようですね。

不老水
境内には、仲哀天皇・神功皇后の家臣である、武内宿禰ゆかりの泉があります。泉の水を汲んで仲哀天皇・神功皇后と共に、食事・酒を調えた家臣・武内宿禰は、三百余歳もの長寿を保ったと伝えられてきました。武内宿禰はこの泉の水を用いて、ずっと生活していたそうです。この泉の水が、「日本の名水百選」にも選ばれた「不老水」です。今でも湧き出しており、飲用することができます。

不老水は地域の人々により守られ、水質も良く・清冷甘美な味で質が高いと評価されています。

古宮
香椎宮の起源の地は、古宮と呼ばれています。本殿より上がった所に位置しています。 仲哀天皇が国家鎮護を願い、熊襲征伐の拠点として過ごされた橿日宮の跡地です。その後、仲哀天皇の御霊を祀り、香椎廟と呼ばれた時代もありました。

厳重に囲まれ門が閉ざされた古宮には、1本の木がそびえています。香椎の名前の由来となった、御神木「香椎」(棺掛椎)が今も古宮の場所に残されています。

白い石畳(開運スポット)
手水舎前の石畳を歩いていると、白い石畳1枚が目に留まるかもしれません。この白い石畳が、開運スポットとされています。その石畳の上に立って楼門を見ると、楼門越しに鳥居が見えます。これは、門の中に鳥居が入る「開く」という字になります。

その近くには、阿吽の狛犬の姿があります。口を閉じている方の「吽形」の狛犬に触れると「運」がつくので、楼門越しの鳥居「開」と阿吽の「運」で、「開運」となるそうです。これによって「運が開かれる」とされ、開運パワースポットとして知られています。
 

香椎宮の一番パワーのある所
香椎宮で、一番パワーがあるのは、綾杉とされています。神功皇后が魂を込めて祈ったとされる場所であり、力強く伸びる枝葉に強いエネルギーが感じられることでしょう。
 

香椎宮のまとめ
福岡県福岡市に鎮座する天皇家ゆかりの香椎宮は、「夫婦の宮」として知られています。ご祭神には、夫婦神である仲哀天皇・神功皇后が祀られています。格式ある香椎宮の創建は200年とされ、全国16社ある勅祭社のうちの1社です。今でも10年毎に勅祭が執り行われています。

香椎宮には、配祀神や境内社も多く祀られ、様々なご利益が授かれるパワースポットとして有名です。中でも、ご神木「綾杉」・「不老水」などはよく知られています。

香椎宮の地で、遠い昔に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。国家鎮護・世界平和を願ったご祭神の、強い思いを知ることができるでしょう。

ライター 梅花桜花
 

基本情報
住所:〒813-0011 福岡県福岡市東区香椎4-16-1
TEL:092-681-1001
公式サイト:https://kashiigu.com
定休日:無
拝観時間:4~9月 5:00~18:00、10~3月 6:00~18:00
拝観料:無料
アクセス:
・JR香椎線 香椎神宮駅から徒歩で約4分
・JR香椎線 香椎駅から徒歩で約20分
・西鉄 香椎宮前駅から徒歩で約15分
駐車場:
※記載した金額等は2025年2月時点のものであり、変更の可能性があります。

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