金王八幡宮


  

出世・金運が授かる渋谷のパワースポット「金王八幡宮」
近代的なビルが立ち並ぶ渋谷で、ひっそりたずむ神社があります。金王八幡宮で、実は渋谷の隠れたパワースポットです。お昼休みには境内でお弁当を食べるサラリーマンを見かけるなど、訪れる人たちの憩いの場にもなっています。

美しい社殿には清々しい気が流れ、都会の喧騒を忘れさせてくれます。今回は、渋谷のパワースポット、金王八幡宮の魅力を解説していきます。 

金王八幡宮の歴史
はじまり
金王八幡宮は、約1000年前の平安時代、1092年(寛治6年)に創建されました。武将、河崎基家(渋谷重家)により、鎌倉街道沿いにある要所の渋谷城の加護のため、八幡神を勧請したのがはじまりとされています。

当初は、渋谷八幡宮という名前でしたが、のちに金王八幡宮の名で呼ばれるようになります。それには、こんな伝説が残されていました。

嫡男がなかなか授からなかった渋谷重家は、渋谷八幡宮に子授けの祈願をしました。すると重家の妻は、金剛夜叉明王を自分の体内に宿す夢を見ます。そして、赤ちゃんが誕生し金王丸(こんのうまる)と名付けられました。その後、金王丸は保元の乱で大活躍します。

「平家物語」・「吾妻鏡」や「平治物語」に登場し、武勇にも優れた金王丸にあやかって、渋谷八幡宮から金王八幡宮へ名称を変えたということです。江戸時代になると、徳川将軍家からも篤く信仰され、3代将軍家光の乳母、春日局により社殿や神門が寄進されました。

また金王八幡宮は、冲方丁の小説「天地明察」の舞台にもなります。江戸時代の天文学者、渋川春梅の生涯を描いた作品で、映画化もされ話題になりました。

ご祭神・ご利益
金王八幡宮のご祭神は、有名な武運の神様「八幡さま」で、15代天皇、応神天皇(おうじんてんのう)です。武運を司る勝負運の神様なので、出世運、商売繁盛、金運のご利益があります。

他にも八幡通りや青山通りなど交通の要を現代まで守護していることから交通安全のご利益や、金王丸誕生のエピソードより、子宝が授かるなどのご利益があるといわれています。
 

金王八幡宮の見どころ
神門
通称、赤門といわれる美しい朱色の神門を、最初にくぐります。3代将軍、徳川家光の乳母の春日局が、金王八幡宮に家光が将軍になれるよう祈願したところ、本当に願いが叶ったため、お礼に寄進しました。渋谷区指定有形文化財に指定されています。

社殿
その当時、徳川3代将軍になるのは家光の弟、忠長だろうとの噂がまことしやかに流れていました。そこで、家光の乳母の春日局と教育係の青山忠俊はとても心配し、氏神として崇敬していた金王八幡宮に熱心に祈願します。春日局は金百両を寄進して、社殿を造営するなどもしました。

現在まで何度か修理はあったものの、江戸時代初期の貴重な建築様式は、今もそのままに残っています。社殿は権現造りの豪華ながらもあっさりした造りで、神門とともに渋谷区指定有形文化財に指定されています。特に拝殿は、見事な彫刻が随所に見られ、中央には金色に美しく龍が輝いています。

拝殿正面の左右には彩色豊かな虎と獏が施され、正しい政(まつりごと)と世の安寧の願いが、それぞれ込められているといわれています。

金王桜
金王桜は、一重と八重が混ざって一枝に咲く珍しい桜です。渋谷区指定天然記念物にも指定されています。金王八幡宮の社傳紀では、源義朝に忠節を尽くした渋谷金王丸を、息子である源頼朝が偲び、鎌倉の館にあった憂忘桜を渋谷の地に移植させ、その名を後世に伝えるため金王桜と名付けたといわれています。

江戸時代では、円照寺の右衛門桜(新宿区北新宿)、白山神社(文京区白山)の旗桜とともに江戸三名桜のひとつに数えられ、見事な咲き姿を現在まで守り続けています。

3月の最終土曜日には毎年、「金王桜まつり」が開催されます。満開の桜が咲くベストシーズンなのでおすすめですよ。

金王丸御影堂
境内にある御影堂には、金王丸が17歳の時、保元の乱出陣の際に、形見として母に残した自身の姿の木像が、所持していた毒蛇長太刀と一緒に納められています。

毎年3月最終土曜日にある金王丸祭で、特別に開帳されます。1年に1度のチャンスなので、見逃さないようにしましよう。

宝物館
宝物館は社殿の右手にあり、貴重な展示物を無料で見ることが出来るのでおすすめです。鎌倉後期に造られた都内最古のお神輿が、中央に飾られています。

江戸時代初期、金王八幡宮の氏子、青山百人組が鎌倉八幡宮の祭礼に参拝した際、なんと鎌倉から金王八幡宮まで神輿を担いで奉納したそうです。神輿を追ってきた人たちは、途中で日が暮れてしまったため神輿を見失ってしまい、その場所を「暗闇坂」と呼んだという、いきさつも残されています。

冲方丁の小説「天地明察」にも登場した算額も展示されています。算額とは、算数の問題が書かれた絵馬で150年前に奉納されたものです。今でも図形が美しく、鮮やかな状態で保存されています。算額は全国で約100面存在し、ここ金王八幡宮の宝物館には、珍しい扇型も含め3面展示されています。ちなみに、金王八幡宮にある算額難易度は、高校レベルだそうです。

江戸時代では、算数の問題が解けると神仏に感謝してより勉学に励もうと奉納していました。時代小説「天地明察」では主人公、渋川春海が金王八幡宮に奉納されている算額を通し、和算家の関孝和を知ることになり、金王八幡宮が算額奉納で有名な神社として紹介されています。

後に映画化もされ、たくさんの参拝者が算額に興味をもって金王八幡宮を訪れました。
 

金王八幡宮の特にパワーがある場所
渋谷城の砦石
「パワースポットの石」とも呼ばれています。この一帯は昔、高台になっており東に鎌倉街道、西は渋谷川も流れ、湧き水の泉も出る恵まれた土地でした。

しかし1524年、北条氏と上杉氏による高輪原の戦いで渋谷城は焼き払われてしまいます。この砦石は、合戦で焼失した渋谷城の石垣の一部で、渋谷城が確かに存在していたことを現世に示す、貴重なものです。

平安時代から、幾多の戦や土地開発などを乗り越えて、現代にいたるまで同じ場所に残っている奇跡の石です。「今」を生き抜くための生命のパワーが備わっています。周囲の邪悪なものや、人々の念などの悪運を断ち切り、より実りのある人生へと導いてくれるとされています。砦石の前に立ちパワーを全身で感じ取りましょう。

目立つ場所に置かれていないので、見逃さないようにしてください。

玉造稲荷神社 (たまづくりいなりじんじゃ)
金運のパワースポットとして人気があります。京都にある伏見稲荷神社と同じ宇賀御魂命(うがたまのみこと)がご祭神で、殖産興業、商売繁盛のご利益があります。

江戸中期から明治初期にかけて渋谷では、稲作が盛んで、茶畑も広がっていました。五穀豊穣の神様としても、昔から篤く信仰されてきたお稲荷さんです。

御嶽神社(みたけじんじゃ)
古来より、武道の神様で知られる日本武尊(やまとたけるのみこと)がご祭神です。渋谷氏の居城があったことにより祀られました。

商売繫盛、開運のご利益があり、経営者やビジネスマンに人気があります。玉造稲荷神社と御嶽神社は、共に金王八幡宮の末社になりますので、最初に本殿からお参りしましょう。

 

まとめ
渋谷のように、たくさん人が集まる場所は、人の気も集まりやすくなります。敏感な人は、頭が重くなったり、疲れやすくなったりするかもしれませんね。いろんなエネルギーが渦巻く渋谷で、金王八幡宮の神域はリフレッシュできる、まさに都会のオアシスです。

近くに来られる際は、渋谷、青山地域の総鎮守である金王八幡宮に、一度ご挨拶に訪れてみてはいかがでしょうか。

ライターネーム/サクヤ凛
 

基本情報
住所:東京都渋谷区渋谷3-5-12
電話番号:03-3407-1811 
アクセス:JR・東京メトロ・東急東横線・田園都市線・京王井の頭線「渋谷駅」出口C1より徒歩5分(渋谷警察署裏)
拝観時間:境内自由(お守りの授与・祈祷受付は9時30分~16時30分)
拝観料:境内自由
公式サイト:konno-hachimangu.jp

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