宗像大社

 

日本に神話に登場する日本最古の神社「宗像大社」
宗像大社(むなかたたいしゃ)は福岡県宗像市に鎮座し、全国にある約6,200社の宗像神社の総本宮です。日本神話にも登場するなど、日本最古の神社の一つになります。天照大神の三女神が御祭神として、沖津宮(おきつみや)、中津宮(なかつみや)、辺津宮(へつみや)にそれぞれ祀られていて、この三宮を総称し宗像大社といいます。
 

宗像大社の由来・ご祭神
御祭神の宗像三女神は、「道」を司る最高神、「道主貴」(みちぬしのむち)と日本書記に記載され、古来より崇敬を集めてきました。沖津宮、中津宮、辺津宮にそれぞれ祀られています。
・田心姫神 (たごりひめのかみ)…沖津宮に祀られる長女神
・湍津姫神 (たぎつひめのかみ)…中津宮に祀られる次女神
・市杵島姫神 (いちきしまひめのかみ)…辺津宮に祀られる末女神
720年の「日本書紀」には、天照大神が「歴代天皇をお助けすれば、歴代天皇が祀るでしょう」と宗像三女神に対して述べたとされています。これは日本において、宗像がはじめての国際港であり、海外との貿易や外交、国防的な機能を果たすことで、天皇が祀るとされていました。このことは沖ノ島から約八万点もの国宝が出土したことからも、国家祭祀が行われていたと裏付けられています。

天皇の遣いや勅使(ちょくし)が現地に出向き、祭りをすることを国家祭祀といいますが、宗像で行われた国家祭祀は、出土した国宝の品々から推測すると、かなり大規模であったようです。四世紀から九世紀にかけて沖ノ島からの出土品が多く、その間、どの程度国家祭祀が行われたかは明らかになっていませんが、天皇の勅使などが度々宗像に遣わされていたと、古い記録に記されています。

遥か昔神の時代、伊邪那岐命(いざなぎのみこと)と伊邪那美命(いざなみのみこと)の二神は、高天原(たかまがはら)にいる神々から国生みを命ぜられました。淡路島から始まり、四国や隠岐島、九州に壱岐島、次に対島、佐渡島、そして最後に本州を誕生させます。その後、二神からは天照大神(あまてらすおおかみ)、月夜見尊(つきよみのみこと)、素盞鳴尊(すさのおのみこと)の神々が生まれました。

気性が激しい素盞鳴尊は父の伊弉諾尊の怒りを買い、遠く根の国へ追放されることになり、姉の天照大神に別れを告げようと高天原へで出向きます。その時に山河が大揺れしたため、警戒した天照大神は武装して弟に会いました。

素盞鳴尊は天照大神にいくら説明しても誤解が解けないため、自分が男神を生んで潔白を証明するとして、誓約(うけい)を願い出ます。先に、天照大神が素盞鳴尊の剣を噛み砕き、息を吹いたところ三柱の女神が生まれました。これが後の宗像三女神です。

次に、素盞鳴尊が天照大神の勾玉を噛み砕いて、息を吹いたところ次の五柱の男神が生まれました。
・天忍穂耳尊(あめのおしほみみのみこと)
・天穂日命(あめのほひのみこと)
・天津彦根命(あまつひこねのみこと)
・活津彦根ノ命 (いつくひこねのみこと)
・熊野櫲樟日ノ命(くまのくすひのみこと)

これで素盞鳴尊の身の潔白が晴れたということです。

 

宗像大社のご利益
交通安全の神様として有名です。週末には何百台もの自動車がお祓いに来るなど「祈願殿」では、主に交通安全祈願が行われています。その原点として、古代の宗像と朝鮮半島の間に位置する沖ノ島で、国家皇室の安泰や、航海の安全の祈りを大和朝廷により執り行われていたことがあります。

近代化とともに移動手段が車や鉄道に変わり、事故が避けられなくなったことから、現代では道の安全は車や鉄道としてのイメージが定着しています。明治時代には、鉄道局の方が宗像大社に訪れ、無事故を祈願していました。その時に行われていた「交通祭」と呼ばれていた安全祈願祭から、「交通安全」という言葉が生まれたそうです。

このように交通安全が有名ですが、じつは宗像大社には、他にも恋愛成就、縁結び、夫婦円満、子孫繁栄、大願成就、金運上昇、商売繁盛、学問などたくさんのご利益が授かることができるパワースポット神社です。
 

宗像大社の三つのお宮
宗像大社は、沖ノ島の「沖津宮」(おきつみや)、大島の「中津宮」(なかつみや)、田島の「辺津宮」(へつみや)」というそれぞれの島に鎮座する、三女神をお祀りしたお宮の総称です。ここではその三つのお宮をご紹介していきましょう。

宗像大社三宮① 宗像本土の「辺津宮」
宗像三女神の、末女神市杵島姫神(いちきしまひめのかみ)がお祀りされています。「沖津宮」は宗像大社神職以外の上陸が許されておらず、「中津宮」は大島にあり行けない方でも、それぞれの神様が祀られているお宮が宗像市本土に設けてあり、参拝することができます。

福岡市と北九州市の真ん中に位置しているため、他の2つの島より交通の便が良くアクセスしやすいのが魅力です。

第二宮(ていにぐう)・第三宮(ていさんぐう)
境内には、「沖津宮」の田心姫神(たごりひめのかみ)を第二宮に、「中津宮」の湍津姫神(たぎつひめのかみ)を第三宮にお祀りしています。

こちらのお宮は、1973年(昭和48年)伊勢神宮の第60回式年遷宮に際し、別宮の古殿を移築再建しました。2017年(平成29年)9月15日に修復工事が完了し、装い新たに建立しています。

宗像大社三宮②沖ノ島の「沖津宮(おきつみや)」
「沖津宮」は玄界灘のほぼ真ん中に浮かぶ「沖ノ島」に鎮座し、世界遺産にもなっています。島自体がご神体のため神職以外立ち入り禁止で、一木一草一石たりとも持ち出しはできません。神職は上陸するたびに海中で禊を行う等、厳重に禁忌が守られ、神聖な島が長年保たれ続けています。三女神の長女である田心姫神(たごりひめのかみ)がお祀りされています。

古代、東アジアにおいて海を越え交流の場所であった「神宿る島」と人々との関わりは、沖ノ島そのものを信仰の対象とする文化的伝統を育みました。千数百年の長い間、島では祭祀遺跡が膨大な数の奉献品とともに手つかずで残されていて、500年間にわたる対外交流と自然崇拝に則る古代祭祀の遷り変わりを今に伝えています。そして人々に三柱の女神への信仰心が生まれると、島を守ってきた禁忌を保ちつつ、海の安全を願う古代からの崇敬が現代へと引き継がれていきました。

ユネスコ世界文化遺産に2017年7月に登録された「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群は、こうした長年の信仰の文化的伝統の形成と継承の過程を物語ると評価され、世界でも例がない遺産群とされています。

宗像大社三宮③大島の「中津宮(なかつみや)」
「大島」は宗像本土から沖合11kmにあり、そこに鎮座するのが「中津宮」です。三女神の次女神の、湍津姫神(たぎつひめのかみ)をお祀りしています。

神職以外の上陸が禁止されている「沖津宮」に参拝が出来る「沖津宮遙拝所」があります。遙拝所とは、沖ノ島をご神体として参拝する拝殿の役目を果たしています。
 

宗像大社の最もパワーがある場所
高宮祭場(たかみやさいじょう)
この地に市杵島姫神が降臨したとされています。数少ない古代斎場で、日本の祈りの原形を今に伝えています。下高宮祭祀遺跡の一部とされ、沖ノ島と共通する奉献品が数多く発見されていることから、かつて祭祀の中心的な場所だったと考えられています。
毎月1日と15日に執り行う「月次祭(つきなみさい)/月毎に平和と安全を祈るお祭り」や、10月3日18時〜開催される「高宮神奈備祭」(かんなびさい)など、様々な祭りが神聖な高宮祭場で行われます。

また、高宮祭場まで行かないと入手できない「割符守」というお守りがあります。木でできていて真ん中から割ることが出来ます。片方には願い事を書いて、高宮祭場の専用の場所に吊るします。もう片方はお守りとして大切に持ち歩きます。こちらのお守は自分で現地へ出向かないと授かることができないので、その分ご利益があるかもしれませんね。

なお、高宮祭場へは辺津宮の本殿近くにある、「高宮参道」を通っていきます。徒歩5分から10分程度で到着しますが、途中急な階段もありますので、歩きやすい靴がおすすめです。
 

宗像大社の見どころ
神宝館(しんぼうかん)
沖ノ島から発見された勾玉(まがたま)や金製指輪、鏡などその数8万点にも及び、すべてが国宝に指定されるなど、どれもが時代を代表する第一級品が、神宝館に収蔵・展示されています。また、宗像大社に長年伝承されてきた「社伝神宝」も収蔵・展示していますので一見の価値があります。

相生の樫
2本の幹から伸びた枝が仲良く結ばれていることから、「相生の樫」と名付けられたご神木です。この姿にちなんで恋愛成就や縁結び、夫婦円満のご利益があるとされています。
 

まとめ
世界遺産でもある「宗像大社」をご紹介しました。宗像大社は交通安全や恋愛成就、商売繁盛などのご利益があり、強力なパワースポット神社です。また宗像本土の「辺津宮」では、「中津宮」や上陸できない「沖津宮」と同じ神様を参拝できるのもうれしいですね。静謐な神聖漂う空間ですので、本殿や高宮祭場だけでなく、余裕があれば大島まで足を伸ばしてエネルギーを感じてみてはいかがでしょうか。

ライターネーム/サクヤ凛
 

基本情報
宗像大社「辺津宮」
住所:福岡県宗像市田島2331
電話番号:0940-62-1311
HP:https://munakata-taisha.or.jp/
アクセス:
九州自動車道 若宮インターから約20分 / 古賀インターから約5分
JR鹿児島本線「東郷駅」北口から神湊波止場行きバス(宗像大社経由)で「宗像大社前」まで約12分
・JR鹿児島本線「東郷駅」までは「JR博多駅」から快速約30分または「JR小倉駅」から快速約40分
「天神・日銀前」から「宗像大社前」まで西鉄バスむなかた号で約60分
駐車場:無

宗像大社「中津宮」
住所:福岡県宗像市大島1811
電話番号:0940-72-2007
HP:https://munakata-taisha.or.jp/about_nakatsu.html
アクセス:
・JR鹿児島本線「東郷駅」までは「JR博多駅」から約30分 / 「JR小倉駅」からは快速で約40分
・JR東郷駅下車、福間行きバス(神湊経由)で「神湊波止場」まで約20分
・神湊から市営渡船「しおかぜ」またはフェリー「おおしま」で大島港へ 
(乗船時間:しおかぜ約15分、おおしま約25分) 
*最新の情報は公式ホームページでご確認ください。

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