「強運の神社」と呼ばれている根津神社
谷中・根津・千駄木と続く風情ある下町に、7,000坪と広大な敷地を持っている根津神社。静かな趣のある境内へ一歩足を踏み入れたら、都会であることを忘れてしまうことでしょう。
根津神社は「つつじヶ岡」と呼ばれています。敷地内には2,000坪のつつじ苑に、100種3,000株を超えるつつじが植えられ名所となっています。四季折々の景観は美しく、秋にも紅葉した素晴らしい景色を味わうことができます。
また「強運の神社」とも呼ばれています。江戸時代からの建造物が、関東大震災や戦火を逃れて今も全て現存しているので、そう呼ばれるようになりました。物凄いパワーを持った神が守っている神社なのですね。
他には「縁結びの神社」としても有名です。境内には根津神社の末社として乙女稲荷神社があります。女性を守る神様として人気があり、千本鳥居もあるので東京の伏見稲荷神社などと言われています。
根津神社の起源は今から1,900年余りも昔のこと。日本武尊(ヤマトタケルノミコト)が千駄木の地に古社を開いたことが起源となっています。日本武尊は『日本書紀』『古事記』に登場する、歴史上のヒーローとして有名ですね。子供の頃神話を読んだ方も多いのではないでしょうか。日本武尊の名だけで、根津神社の歴史の深さや格式の高さを知ることができます。
室町時代(1469年〜1486年)には、城つくりで名を残す太田道灌が社殿を造営しています。その後は江戸時代に、5代目将軍徳川綱吉が兄の子である徳川家宣を6代目将軍として指名した際、家宣の生誕地を氏神である根津神社に献納し、社殿を造営して千駄木から現在の根津に遷座しました。江戸城の真北を守っていた神社で、徳川家が厚く信仰していたことが分かりますね。
明治時代には「東京十社」の一社として選ばれ、東京の鎮護と万民の安泰を祈る神社となっています。
根津神社の特徴
根津神社は江戸幕府が諸大名に命じた『天下普請』により、宝永3年(1706年)に現在の社殿が完成しました。
権現造の本殿・幣殿・拝殿・唐門・西門・透塀・楼門の7棟全てが、江戸時代中期のまま現在。奇跡的に震災や戦火を逃れたこの建造物は、国の重要文化財に指定されています。堂々とした社殿は洗練された風格を見せ、当時の名工・巨匠の技術の高さに改めて敬服させられますね。
社紋は捻卍・丸卍と言われる紋です。神仏習合の名残で神社の三つ巴と寺の卍を合わせた紋となっています。社殿や門の垂木や破風には、至る所に卍の紋が入っているので、散策しながら探してみるのも楽しいのではないでしょうか。
現代では、神社と寺社が一緒になることはありません。明治政府が神仏分離政策をとるまでは、神様と仏様が一緒でした。神社でお経を読んだりしていたのでしょうか。仏教が異教として入ってきた日本ならではの文化ですね。
同敷地には根津神社の左側に末社として、乙女稲荷神社と駒込稲荷神社があります。木々や池もあり、厳かで風情がある空間となっています。乙女稲荷神社は古くから女性の守り神として信仰され、今でも良縁を望む参拝者が絶えません。また、朱色が艶やかな千本鳥居が有名です。
根津神社のご祭神
主祭神
須佐之男命(スサノオノミコト)防炎除疫の神
大山昨命(オオヤマクイノミコト)山の神
誉田別命(ホンダワケノミコト)八幡神
を三柱として祀っています。
相殿神
大国主命(オオクニヌシノミコト)国津神の主祭神
菅原道真公(スガワラミチザネ)学問の神
主祭神である須佐之男命は、神話でヤマタノオロチを退治した力強い神。防炎除疫の神が祀られていることもあり、江戸時代からの建造物が現存していることも腑に落ちます。
根津神社のご利益
根津神社は、災厄除け開運・商売繫盛・縁結び・合格成就のご利益があります。お守りの種類も豊富で参拝客にも大人気。中には珍しいお守りもあります。
肌守り
願い事と外袋を選ぶことが出来ます。肌守りとは肌身離さず身に着けるお守りのことです。肌守りの願い事は「肌守、学業、厄除、交通安全」4種類の中から選びます。外袋は5色「紺、抹茶、ベージュ、ピンク、縞」から選びます。
自分だけのお守りを授かれるなんて、特別感があって素敵で大事に扱いたいですね。また、贈る場合も相手のことを想って選べるので、贈った方も頂いた方も嬉しいですね。
月次花御札(つきなみはなみふだ)
木札に美しい花が描かれたお守りです。家中の邪気を祓うお守りで、月替わりの花が12種類と、5月の端午の節句~9月の重陽の節句を通してご利益がある「薬玉」柄とで合わせて13種類あります。遠方でなかなか参拝できない方もいるので、希望すれば全種類の絵柄を見せてくださるそうです。
干支の身代わりさん
干支をかたどった土鈴の厄除けお守りです。自分の干支のお守りは身代わりになってくれるそうで、とても有り難いお守りですね。土鈴の音も心地良いですね。他にも「白蛇のお守り」「つつじのお守り」などたくさんあるので、自分に合うお守りをじっくりと探してみてください。
それから、おみくじも珍しいものがあります。「打出の小槌」から番号のついた棒が出てきて、その番号でおみくじをいただけます。打出の小槌と言えば、大黒天や昔話の一寸法師でも使われていますが、おみくじにする発想がとてもユニークですね。
根津神社のどこが見どころか?
根津神社の見どころは、国の重要文化財となっている本殿などの建造物の他にも沢山あります。
つつじヶ岡
毎年4月中旬から下旬にかけて(気候により開花時期が多少変わります)、「文京区つつじ祭り」が開かれます。傾斜地に咲いているので、色とりどりのつつじは境内からも見られますが、祭りの期間中は入園料を払うと、つつじの間を散策することができます。祭り期間には根津権現太鼓の催しや出店もあって、例年たくさんの人で賑わっています。
文豪いこいの石
夏目漱石・森鷗外などが腰かけたと言われる石があります。石に腰かけて作品の構想を練ったりしていたなんて、タイムスリップして文豪たちを観察してみたくなります。いかにこの神社が落ち着く場所であるのかが分かります。そして、夏目漱石・森鴎外の作品中には「根津権現」として根津神社が登場しています。
他にも樋口一葉など、多くの文豪が根津神社に来ていたようです。文京区は学問の町であり大学も近く、もしかしたら未来の文豪が今この時代に参拝に訪れているかもしれません。
願掛けのカヤの木
その昔、境内のカヤの木には白蛇が住んでおり、この木に願いをかけるとその通りに願いが叶ったと伝えられています。今では縁結びの木として人気のスポットになり、カヤの木はたくさんの願いが書かれた絵馬やおみくじで囲まれています。
乙女稲荷神社
女性の守り神、縁結びの神として大人気です。また千本鳥居が綺麗で、東京の伏見稲荷などと言われています。朱色の鮮やかな千本鳥居をくぐりぬけると邪気祓いになります。くぐりぬける時は必ず、北から南に進むこと。邪気を払って、良縁をいただきましょうね。千本鳥居はフォトスポットとしても人気で、自然の荘厳な景色と艶やかな朱色のコントラストがとても美しく魅力的です。早めの時間にゆっくりと撮影したいですね。
根津神社の特にパワーがある場所
千本鳥居にも目を奪われますが、やはり本殿は外せません。主祭神である須佐之男命のエネルギーが宿る場所であり、強い厄除けをもたらします。
まとめ
根津神社は広い境内なのでゆっくりと時間をかけて、江戸の風情や古き良き文化、美しい景色を堪能したいですね。本殿のほかにもご利益の異なるスポットが集まっているので目的に応じて訪れるスポットを選ぶのもよさそうです。とても力強い神社ですので、神様に心から感謝の祈りを捧げ、たくさんのパワーを存分に頂きましょう。
ライター 梅花桜花
基本情報
住所:〒113-1131 東京都文京区根津1-28-9
TEL:03‐3822-0753
HP:https://nedujinja.or.jp/
定休日:無
拝観時間:基本24時間可能(本殿を囲む御垣内は制限あり、時期によって変動)
拝観料:無
アクセス:
・ 東京メトロ千代田線 「根津駅」「千駄木駅」より徒歩5分
・東京メトロ南北線 「東大駅前」より徒歩5分
・都営地下鉄三田線 「白山駅」より徒歩10分
駐車場:有
※記載した金額等は2021年11月時点のものであり、変更の可能性があります。