伊勢神宮と関わりが深い、みちひらきの神様「猿田彦神社」
伊勢神宮へ参拝した折にぜひ訪れていただきたい神社、それは内宮から徒歩圏内にある「猿田彦神社」です。天照大御神の孫、瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)が天孫降臨した際、高千穂へ導いた「猿田彦大神」が祀られているため、伊勢神宮と深い関わりがあるとされています。また、境内には方位石と呼ばれる石があり順番どおりに触れば、より一層のご利益が授かるともいわれています。
今回は、パワーがある方位石の触り方や、猿田彦神社の見どころについてご紹介していきましょう。知らないでお参りするより、知ってからお参りした方が、幸運も確実にアップしますよ。
猿田彦神社の歴史
ご祭神・ご利益
ご祭神は、猿田彦大神です。外見にかなり特徴があり、鼻の長さ110メートル、背の高さは210メートルもありさらに目や口元が光り輝き、五光を放っていて、まるで天狗のようだと伝えられています。天照大御神の孫、瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)が天孫降臨した際に高千穂へ導いた、通称みちびきの神様です。
これにあやかり、交通安全をはじめ方除け、開運、災難除け、五穀豊穣、事業発展、建築、大漁満足など多くのご利益があります。ちなみに「天孫降臨」の天は天照大御神を、孫は瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)を指します。降臨は、天から地上に降りてきたという意味があります。
昔、世界は3つに分かれており神様が住む高天原、神様と人間が住む葦原の中つ国、死者が住む黄泉の国がありました。伊勢神宮に祀られている天照大御神が住んでいた高天原の神様を、天津神(あまつかみ)と呼び、出雲大社に祀られている大国主命が住んでいた葦原の中つ国の神様は、国津神(くにつかみ)と呼んでいました。
中つ国は大国主命が治めていましたが、元々は天照大御神の両親で天津神の、伊邪那岐命(いざなぎのみこと)と伊邪那美命(いざなみのみこと)が造った国です。そこで、天津神が治めた方がいいということになり、天津神の中から選ばれたのが天照大御神の孫の瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)でした。瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)が天から中つ国に降りてきたため、天孫降臨と呼ばれています。天孫降臨した瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)を猿田彦大神が道案内したため、自分が進むべき道に迷った場合は猿田彦神社にお参りすれば、幸せの方向へとみちびいてくれるといわれています。
猿田彦神社の見どころ
佐瑠女(さるめ)神社
猿田彦神社にある境内社です。「天宇受売命」(あめのうずめのみこと)が祀られています。天宇受売命は、次に紹介する天岩戸(あまのいわと)神話で有名です。
太陽の神、天照大御神には弟に須佐之男命(すさのをのみこと)がいましたが、大変な暴れん坊だったため、それに怒った天照大御神は、天岩戸と呼ばれた洞窟へお隠れになりました。太陽の神がお隠れになると辺りは真っ暗になり、植物も育たず病気も蔓延し、大変な事態が次々と起こります。八百万の神々は相談し、天岩戸の前で色々なことを試して何とかして天照大御神を外へ出そうとしますが、ことごとく失敗し上手くいきません。
そんな中、天宇受売命が木の枝を手に激しく舞踊り、それを見た他の神々は笑いながら騒ぎ立てました。外で楽しく盛り上がっている様子が不思議だった天照大御神は、扉を開けることになり再び世の中が明るくなったとのことです。その後、天宇受売命は猿田彦大神との会話を試み、天照大御神に仕えるよう説得し成功へと導きました。それが縁で猿田彦大神と天宇受売命は、夫婦になります。
佐瑠女神社では、男女の縁はもちろん仕事や人間関係の良縁結びや、激しく情熱的に踊った天宇受売命をお祀りしていることから習い事、稽古事や芸能の上達、芸能業界の繁栄にご利益があるとされています。このため、伊勢神宮の参拝も兼ねて芸能人など有名人の参拝も多いそうですよ。
子宝池
子孫継承し続けて絶えない宇治土公家の産霊神が、奉祀されている池です。池の名称のとおり、子宝に恵まれる言い伝えがあります。新婚さんなどこれから子宝を授かりたい方や、安産や健康な赤ちゃんを望む妊婦さんなどこの池に祈りを捧げれば、良きご加護を賜るとされています。
たから石
石の形が宝船に似ているため「たから石」と呼ばれています。また白蛇が乗っているようにも見えることから、「へび石」とも呼ばれます。昔から金運上昇のパワースポットとして有名で、石の前で熱心に手を合わせる参拝者の姿が見られます。
さざれ石
さざれ石とは、石が長期間酸性の雨を浴び続けて溶けだした時に、石灰岩の石灰質による変成作用で多くの小石が集まり固まったとされている石のことです。材質は、石灰質角礫岩(せっかいしつかくれきがん)です。境内に祀られているさざれ石は、岐阜県にある揖斐郡(いびぐん)春日村の山中で採石された後、同じく岐阜県の大垣みちびらき会の有志により奉納されました。
さざれ石は、どんどん大きくなっていく形状が特徴のため、神の御霊が宿る霊石と捉えられていて、古来より多くの信仰が寄せられています。さらに、さざれ石といえば日本国家「君が代」を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。小石が大きくなり、頑強な巌(いわお)となって苔が生えるまでに成長を遂げた過程が、歌詞に込められています。
招霊の木(おがたまのき)
佐瑠女神社のご祭神天宇受売命が、天岩戸の前で情熱的に踊った時に持っていた木が植えられています。常緑高木のモクレン科オガタマノキ属です。この招霊の木は秋ごろになると、毎年ブドウのような長い実を付けます。実の形がまるで巫女が持つ神楽鈴に似ていることから、神楽鈴が編み出されたと考えられています。
ちなみに奉納者は大手芸能プロダクションの「株式会社スターダストプロモーション」です。巫女の祖先神とされ踊りの名手でもある、天宇受売命にあやかろうと奉納されたようです。
猿田彦神社の特にパワーがある場所
古殿地(方位石)
境内の真ん中に、方角を刻んだ古殿地(こでんち)と呼ばれる石柱があります。ここは昭和11年に御造営が行われるまで、御神座があった神聖な場所であり、強いパワーを放っています。八角形の文字盤には、それぞれ方位を示す辺が三方位ずつに分けられ、表す文字が「十干十二支」(じっかんじゅうにし)彫りこまれています。
今年の干支や自分の干支、こらから「向かう方角」の文字に手のひらを当て祈願すると、願い事が叶うとされています。「向かう方角」とは、例えば次のとおりです。
・受験予定のお子さんがいる場合は自宅から学校への方角
・旅行などはこれから行く方角
・引っ越しは今の自宅から新居への方角
・転勤・転校は自宅から会社・学校への方角
他にも、お店などをこれから開業する場合、鬼門の方角をあらかじめ把握しておき、その方角を封じる意味で手を当てると良いとされています。また、願い事により当て方の順番がそれぞれ決められています。
・仕事運 亥→卯→未
・金 運 己→酉→丑
・一家繁栄 申→子→辰
・良縁結び 寅→午→戌もちろん、最初に本殿できちんと挨拶してから行うことが大切です。また、石柱にはお賽銭は絶対に置かないようにしましょう。礼儀を欠くとご利益もあり得ません。最後にもう一度、本殿に挨拶した方がより丁寧な祈願になりますよ。
まとめ
猿田彦神社は、そんなに広くはありませんが古殿地をはじめ、パワースポットがいくつもあります。祀られている神様たちのバックグラウンドに注目すれば、自然とご利益の由来も理解できることでしょう。伊勢神宮内宮の帰りはぜひ、こちらの猿田彦神社にも立ち寄り、みちひらきの神様に幸運へと導いていただきましょう。
ライターネーム/サクヤ凛
基本情報
住所:〒516-0026 三重県伊勢市宇治浦田2-1-10
TEL:0596-22-2554
公式HP:http://www.sarutahikojinja.or.jp/
アクセス:
・近鉄 / JR 伊勢市駅から外宮内宮循環バスに乗り、「猿田彦神社前」で下車
・伊勢自動車道 伊勢西ICから車で約5分
料金:無料
見学:所要時間 約20分
駐車場:あり
※記載した金額等は2022年5月時点のものであり、変更の可能性があります。