仙酔島は瀬戸内海に浮かぶ唯一無二の神秘の無人島
仙酔島という珍しい名称は、「仙人が酔うほどに美しい島」であることから、名づけられました。明治、大正、昭和天皇など歴代の天皇陛下が何度も訪れる由緒ある島であり、瀬戸内海の名勝地でもあります。
仙酔島へは、鞆の浦港(とものうらこう)から渡船のルートのみで5分ほどで到着します。周囲6キロメートルほどの小さな無人島です。かつて厳島神社の候補地ともされたほどの、パワースポットでもあります。癒しを求めて多くの人々が訪れるなど、知る人ぞ知る「仙酔島」の魅力をご紹介します。
仙酔島とは
歴史
中生代白亜紀の火山活動によって、仙酔島は誕生しました。誰も住んでいない無人島の仙酔島は、溶岩や溶結凝灰岩で出来ており、一億数千年前の古代からの自然が、現在もそのままの姿で残されています。
仙酔島は、陸から望むと妊婦が横たわっている姿に見えます。大弥山の角度は72度あり、ダイヤモンド(金剛石)の原石のカット面を表す角度と同じです。この角度は、身体にエネルギーを一番強く吸収できるのだそうです。
また1934年(昭和9年)には、「瀬戸内海国立公園」が国立公園の第1号として選定されました。仙酔島は美しい海に囲まれた自然豊かな景勝地で、国立公園の中心的存在として、記念切手に選ばれています。
仙酔島へ行くには
日本で最も癒される港町といわれる鞆の浦の沖合に、仙酔島は位置しています。ちなみに、鞆の浦のノスタルジックな風景は、アニメ映画「崖の上のポニョ」のモデルにもなったのだとか。
鞆の浦から出航し、1時間に2〜3往復する渡り船の「平成いろは丸」が唯一の交通手段です。島では車両の乗り入れは禁止されているので、徒歩の移動になります。「平成いろは丸」は、坂本龍馬が幕末に率いた、海援隊が乗った「いろは丸」をモデルに造られています。レトロ調な船内には、記念撮影のコーナーや、紹介パネルなども展示されています。
瀬戸内海では潮と潮が打ち付けると、不思議な力が宿るとされ、このため仙酔島は地学的にも珍しいスポットがいくつもあります。かつて厳島神社の大鳥居の有力候補地でしたが、フカ(鮫)がいたため断念したそうです。江戸時代以前には海上に鳥居があったとされています。
七福神
仙酔島のそれぞれの場所には、七福神が鎮座しています。寿老人、毘沙門天、弁財天、福禄寿、布袋、大黒天、それぞれ神様がどこにおられるか探してみましょう。なお、恵比須様だけは仙酔島にはおられません。自分の心の中に存在するといわれています。仙酔島の神秘的なスポットに注目が集まり、最近はスピリチュアルなことに興味がある人達もよく訪れるそうです。
仙酔島の見どころ
潮風呂
神社の参拝では、最初に手水舎で手と口を清めますが、仙酔島は「潮風呂」(うしおぶろ)がその代わりになり、身を浄める効果があるとされています。本来は聖域を訪れる際は、全身を近くの川や湧き水で浄めることが習わしでしたが、時代の流れと共に簡素化され、手水舎での作法に変化していきました。
海水をくみ上げて沸かす海水風呂の潮風呂は、塩に清浄効果があり、お湯にミネラルもたっぷり含まれています。浄める以外に若返り効果もあるそうなので、試してみてはいかがでしょう。
田ノ浦
この砂浜は珍しい効果があり、素足でゆっくり歩くと身体にたまっている電磁波を放出するそうです。電磁波は、人体へ悪影響を及ぼすとされているので、これはうれしいですね。東西の潮流が、田ノ浦近辺でぶつかり合うために、よりパワーが強くなるといわれています。満干の差は4メートルになり、島のエネルギーを作りだすとされています。
龍神橋
龍にまつわる神秘的なパワースポットです。龍神橋の近くの穴は、龍が出入りするためといわれています。見える人には龍が見えるそうです。龍神様は、願い事を1つだけ聞いてくれますが、それには橋を渡る作法を守る必要があります。
龍神橋を渡る前に、先ずは目を閉じて一礼をします。渡るときは右足から踏み出しましょう。龍神様を起こさないよう、橋を渡り切るまで、息を止めて静かに橋を渡ります。真ん中は龍神様が通られるので、男性は右側、女性は左側を歩きます。橋を渡り切ると、龍にそっくりな松の木が現れます。神様の粋な計らいで誰でも龍が見れるように、松の木に姿を変えたのだとか。
また、同じく橋を渡り切ったところに、三角の形をした石があります。龍のうろことされるこの石は、自然に現れたそうです。古来より、龍の背中に乗ると幸福へと導くとされているため、最後にこの石に乗って願い事をすれば、願いが叶うといわれています。
閃きの門
仙酔島の海岸沿いにある彦浦に行ってみましょう。閃きの門があるとされる場所に到着します。普段は見ることはできませんが、宇宙の神秘に心を向けると目の前に現れるそうです。天と地を結ぶ宮柱と一緒に現れるともいわれています。
閃きの門が開くとは、自分が生まれてきた役目や役割に、気づくということを意味します。3時間滞在すれば自分が何のために生まれてきたのか、気づくことができるそうです。どこか瞑想にも似て、自分を見つめ直すよい機会かもしれませんね。周辺は、天然記念物のハマヒルガオの群生地になっています。
浦島太郎伝説
仙酔島には、昔から浦島太郎の伝説が残されています。太郎が、五色の亀を助け背中に乗ると、亀はあっという間に美しい姫へと変わりました。その後蓬莱山へ行き、竜宮城を楽しんだとのことです。浦島太郎に出てくる五色の亀と、仙酔島が亀の形に似ていることや五色の岩があることなど、仙酔島と浦島太郎伝説は、共通な点がいくつもあります。直接訪れて体感してみましょう。
仙酔島の特にパワーがある場所
五色岩
仙酔島の田ノ浦海岸から遊歩道へ行くと、青、赤、黄、白、黒の5色の岩が1キロにわたり、海岸に延々と続いています。日本で唯一の五色岩です。五色の岩があるこの地は「天地の気が集まった場所」との言い伝えがあります。気分が落ち込んだり、マイナス思考になった時などに訪れると、パワーをチャージできるそうですよ。太古の昔、マグマが隆起してできたこの五色岩は、高いエネルギーを放出していることから、「ハレの地」と呼ばれています。インドの古代書には「五色の岩は聖なるパワーが宿っている」と記されるなど、世界でも55か所だけの大変貴重なパワースポットです。「永遠の幸せをもたらす」五色伝説の地ともいわれ、地球のエネルギーや大自然の雄大でダイナミックな美しさを、直に触れることができます。
また、五色岩から島に沈む夕日も、神々しい美しさがあり拝んでしまいたくなるほどの絶景ですのでおすすめです。蝶の道や赤岩展望台からも行くことはできますが、悪天候の場合は遊歩道が通行止めになることもあります。雨の日は、事前に近くの立て看板を確認しましょう。
まとめ
島全体がパワースポットである仙酔島、いかがでしたか。日常生活の忙しさから解放されて、現代人の忘れた大切なものを思い出してくれるいくつものスポットが、この島に点在しています。人生を見つめ直すことができる島でもありますので、鞆の浦観光の際は、ぜひ仙酔島にも足を伸ばしてみましょう。鞆の浦から渡り船で、5分で行ける近さもうれしいですね。
ライターネーム/サクヤ凛
基本情報
住所:広島県福山市鞆町後地田ノ浦
営業時間:散策自由
料金:散策自由
公式HP:http://www.sensuijima.jp/
アクセス(交通機関):
・JR福山駅→鞆鉄バス鞆の浦・鞆港行きで30分、バス停鞆の浦下車
・徒歩3分の市営渡船場(鞆町鞆)から福山市営渡船仙酔島行きで5分
・仙酔島下船、徒歩すぐ
アクセス(車):山陽道福山東ICから国道182号経由14km25分で市営渡船場
駐車場:なし
※記載した金額等は2022年7月時点のものであり、変更の可能性があります。