重要文化財長床と美しい大イチョウが必見!新宮熊野神社
福島県喜多方市慶徳町新宮に、新宮熊野神社が鎮座しています。鎌倉時代の1085年に創建された新宮熊野神社には、聖地である紀伊山地東南部の熊野三山が祀られています。往古の歴史・文化が色濃く残された新宮熊野神社は、静寂の中に安らぎが感じられ訪れた人々を魅了します。 茅葺き寄棟造りである長床は、国の重要文化財に指定されています。
神仏習合の時代には、会津熊野と呼ばれ多くの信仰を集めました。明治時代に入って神仏分離令・廃仏毀釈により、新宮熊野神社と改められました。神社でありながら、神仏習合の名残も見られます。境内の文殊堂の本尊・木造文殊菩薩騎獅像が安置されており、日本遺産「会津の三十三観音めぐり」の構成資産の一社です。
また、大晦日の夜には、除夜の鐘つき行事が残されています。除夜の鐘つきには参拝者も参加できます。「行く歳来る歳絵ろうそく祭り」も開催され、鳥居から長床に向かう参道には、108本のろうそくが並び参拝客の足元を照らしてくれます。
会津地方の伝統工芸である絵ろうそくには、「難を転じて福となす」の意味が込められた南天と福寿草が描かれています。参道を歩けば、厄を落として福を呼び込めそうですね。
新宮熊野神社のご神木・大イチョウは、樹齢800年とも言われています。長床の前にそびえる大イチョウは、例年11月中旬に見頃を迎え、落葉時には辺り一面を黄金色に輝かせます。新宮熊野神社の歴史を共に見守ってきた、長床と大イチョウは壮大で、長い歴史と計り知れない力強さが感じられます。新宮熊野神社は、まさにパワースポットです。
また、新宮熊野神社には、「長床の七不思議」という不思議な言い伝えが残されています。壮大で力強く神秘的な新宮熊野神社を訪れて、パワーを感じてみてはいかがでしょうか。
新宮熊野神社の参拝時は、拝観料が大人300円程かかります。この拝観料は、社殿や文化財の修繕などに充てられています。素晴らしい遺構を後世まで保存して頂きたいですね。
新宮熊野神社の特徴
新宮熊野神社の創建は、安倍貞任(あべのさだとう)の追討を命じられた鎮守府将軍・源頼義(みなもとのよりよし)と長男の義家(よしいえ)が、紀州の熊野三山に武運祈願して、前9年の役に勝利したことがきっかけです。平安時代の1055年に河東町(現・会津若松市)に創建され、後3年の役の最中の1085年に今の社地に遷座されました。
熊野三社とは、熊野本宮(阿弥陀如来)・新宮(薬師如来)・那智社(千手観音)のことです。平安時代後期には、阿弥陀信仰と浄土教が隆盛しました。そしてこの頃、熊野の地は浄土と見なされ、皇室・貴族からの尊崇を受け熊野詣でが始まっています。新宮熊野神社の創建当時は末社や霊堂が300程もあり、神職として仕える人が100人を超え、奥州の熊野と呼ばれるほど隆盛しました。
次第に領有者の衰退により廃れ、更に江戸時代1611年の大地震では本殿以外が大破倒壊してしまいます。国の重要文化財指定の長床は、1614年に旧材を用いて再建されました。その後、会津藩に保科正之(ほしなまさゆき)が入封したことで政情が安定し、1667年には会津藩領内の七大社の一つとなりました。
新宮熊野神社の拝殿は、平安時代末期の貴重な遺構が残され、熊野造りの本殿は熊野三社(熊野三所権現)が横並びに併置された珍しい構造となっています。三所権現というように、本来は三ヶ所に祀られる必要がありました。新宮に本宮・那智社が合祀され、新宮熊野神社として今も熊野信仰を伝えています。
国指定重要文化財である長床が拝殿で、石段を上がった先に、玉垣に囲まれた三社が並んでいます。中央・本社新宮証誠殿、左・末社那智山飛龍権現、右・末社本宮十二社権現です。三社とも同じ大きさですが、各社の各部に手法や細工の違いと修理跡などがあり、同じ棟梁の造りではないようです。三社併置されている大規模な遺構として価値ある建造物です。
新宮熊野神社の社殿には、華やかな彩色が一切施されていないところが、深みや品位が感じられ歴史ある味わい深いものとなっています。
新宮熊野神社では、神仏習合の名残などの歴史や文化を感じることができます。静かなご神域の中、往時の隆盛期などに思いを巡らせて、歴史を振り返るのも楽しいことでしょう。
新宮熊野神社のご祭神
家都美御子大神(けつみのみこおおかみ) スサノオ尊 阿弥陀如来 樹木の神
熊野速玉大神(くまのはやたまのおおかみ) イザナギ命 薬師如来 海の神
熊野夫須美大神(くまのふすみのおおかみ) イザナミ命 千手観音 滝の神
新宮熊野神社には、熊野三山の神が祀られています。
新宮熊野神社のご利益
新宮熊野神社では、国土平穏・延命長寿・無病息災・開運招福・出世成功・商売繁昌・ 病気平癒・厄除け・盗難除け・ 縁結び・夫婦和合・子宝・安産などのご利益が授かれます。
社務所で御朱印を授かると、八咫烏のステッカーもいただけます。3本足の八咫烏は、新宮熊野神社の主祭神・家津美御子大神のお仕えです。神話では神武天皇を、熊野国から大和国の橿原まで先導したと言われ、古来より導きの神として篤く信仰されています。
新宮熊野神社のどこが見どころか?
新宮熊野神社の大鳥居は、両部鳥居と言われる形で、鳥居の本柱を支える形で稚児柱があり、笠木の上には屋根があり堂々とした迫力のある鳥居です。鳥居の先には、杉並木の参道が長床まで真っ直ぐに続いています。凛とした清らかな空気が流れる参道の途中には、手水舎や文殊堂・銅鐘・宝物殿があります。
長床の奥には、熊野三社本殿に続く更に真っ直ぐな石段があります。聖域を神聖な気持ちで静かに真っ直ぐ進むと、まるで導かれたような気分になりますね。
国指定の重要文化財の「長床」や「同鉢」をはじめ、県指定の重文の木造「文殊菩薩騎獅像」、喜多方市天然記念物指定の「大イチョウ」など文化的な価値ある神社です。
長床
壁や扉がなく吹き抜けとなっている長床は、修験者たちの厳しい修業道場として使われました。また、神楽などの祭礼の場としても使われたようです。
長床の柱は直径・約45㎝の円柱で44本あり、303㎝の等間隔で5列に並んでいます。長床の北西側の隅には床板がありません。これは、長床七不思議の一つと伝えられています。飛騨の匠が一晩で建てると誓い仕事を進めましたが、アマノジャクが鶏の鳴き真似をしたため、匠は夜が明けたと勘違いして工事を止めたために床板が張り残されたそうです。
銅鉢
銅鉢は、神仏へ米飯を供えるための食器です。室町時代の1341年の物と言われています。高さ28cm・口径62.5cm・高台径38cmの朝顔型の銅鉢には、外側に製作時の年号・協力した人や職人の名が刻まれています。
文殊菩薩騎獅像
文殊菩薩騎獅像は、獅子の上に文殊菩薩が乗っています。獅子を含めた高さは287.4㎝あり、獅子のお腹の下をくぐり抜けることができます。文殊菩薩は知恵・学問の仏様で、獅子のお腹の下をくぐれば頭が良くなると伝えられています。受験生をはじめ、選挙前の政治家などが必勝祈願に訪れます。
大イチョウ
新宮熊野神社のご神木は樹齢約800年ほどの大イチョウで、高さ30m、根元周り8.1mもの巨木です。長床前の大イチョウが、四季折々に長床を彩る光景は見応えがあります。秋の黄金の彩りは、地面から長床の屋根までを美しく染め上げ、感嘆のため息がでてしまうことでしょう。期間限定でライトアップされ、幻想的な美しさと輝きで人々を魅了します。
新宮熊野神社の「長床の七不思議」などにも興味が惹かれます。
①三社の屋根に鳥はとまらない
②長床には鳥が巣を作らない
③長床の中に蚊は入らない
④長床最北の隅には板が敷かれない
⑤村で火災が起きても2軒以上燃えない
⑥栗が一年で実をつける
⑦熊が神前に詣でる
本当に不思議な言い伝えですね。そんな見どころや魅力がたっぷりの、新宮熊野神社に訪れてみてはいかがでしょうか。
新宮熊野神社の一番パワーのある所
新宮熊野神社は、風水で良い土地と言われる四神相応の地です。樹齢800年ほどと言われる大イチョウからも、境内には大きなパワーが溢れていることが分かります。
新宮熊野神社に参拝して、静かながらも力強いパワーを頂きましょう。
ライター 梅花桜花
基本情報
住所:〒966-0923 福島県喜多方市慶徳町新宮字熊野2258
TEL:0241-23-0775
アクセス:
・JR磐越西線 喜多方駅下車 会津坂下方面へ タクシーで10分
・磐越自動車道 会津坂下ICから 約14km
※記載した金額等は2022年7月時点のものであり、変更の可能性があります。