竹駒神社

 

多くの祭事が行われ親しまれる竹駒神社
竹駒神社は、宮城県岩沼市稲荷町に鎮座しています。日本三大稲荷の1つに数えられるほどの、霊験あらたかな神社です。平安時代に参議であった小野篁(おののたかむら)卿 が、陸奥の国司として着任する際に、東北開拓・産業開発の大神として創建されました。

竹駒神社は昔から、平泉の藤原家や仙台藩主である伊達家から尊崇されてきました。また、人を慈しまれる神として多くの人々から崇められております。今でも県内外からたくさんの初詣客が訪れ、東北地方で陸奥国一宮の鹽竈神社と1・2位を争うほどの賑わいです。

稲荷とは「稲が成る」という言葉からきています。稲が成る・豊かに実ることから、稲荷は五穀豊穣の神様、生活を豊かにする神様として親しまれています。5月には「御田植祭」が行われます。

お祭りの始まりは創建時からではなく、意外なことに戦後の食糧不足でした。豊作を祈願して生まれたお祭りです。豊かな実りがあることは、生きることに直結しています。竹駒神社は、人々にとってとても身近であり、必要不可欠な神社であることがわかります。

竹駒神社縁起記に白狐が登場しますが、稲荷大神の眷属として狐が祀られています。授与品には願い事を神に伝えてくれる、可愛らしい狐がデザインされているものもあります。

竹駒神社の祭事は、年に40回ほども行われています。最も重要な祭事は「初午大祭」です。神幸祭という神輿渡御が行われ、町一帯が参拝者で賑わいます。

竹駒神社は、馬との縁もある神社です。平安時代に能因(のういん)という僧侶がいました。陸奥を訪れた能因は、竹駒神社で竹馬に乗る童姿の神を目撃します。そのため、別当寺の竹駒寺が建立されました。

また、竹駒神社の横には、馬事博物館があります。伊達政宗(だてまさむね)公の有名な騎馬像の、原型塑像が展示されています。他にも、馬に関する物が収蔵されています。

竹駒神社には、良い気が流れていると言われます。正しく参拝して、清々しいパワーをいただきましょう。
 

竹駒神社の特徴
竹駒神社縁起記によると、平安時代の842年に朝廷の高級官吏であった参議・小野篁卿 が、陸奥の国司として多賀の陸奥国府(現在の多賀城市)へ赴任することになりました。篁卿 は、文人でもあり小倉百人一首や古今和歌集にも名を連ねています。「わたの原八十島かけて漕ぎ出でぬと人には告げよ海人の釣舟」という句はよく知られています。

当時、京都から東北の地へ赴任することは、大きな覚悟が必要だったのではないでしょうか。そこで、篁卿は現在の京都伏見稲荷である、山城国伊奈利山(やましろのくにいなりやま)にて、稲荷大神を国府鎮護の神として祀りたいという願いを懇請しました。すると、稲荷大神は誠心誠意な篁卿の思いに感心して、白狐の姿で現れます。篁卿は、白狐となった稲荷大神のご分霊を長櫃(ながびつ)に奉じ、多賀の国府へと出発しました。

その道中、名取郡南長谷村(現在の竹駒神社)に差しかかった時、長櫃の中から鳴き声がしたので蓋をあけてみると、ご分霊の白狐(霊狐)が跳びだしました。そして、武隈の森(神社裏の森)に駆け込んで姿を消しました。そのため、篁卿は稲荷大神のご神意にかなう場所として、現在の地に竹駒神社を建立したと言われています。

平安時代中期には、歌人で出家した能因(のういん)と呼ばれる僧侶がいました。陸奥へと旅に出た能因は、竹駒神社で竹馬に乗る童の姿に化身した神を見たと言われています。そのため、隣接する寶窟山に庵を結びます。後に武隈明神を祀った別当寺の竹駒寺が建立されました。

明治時代の神仏分離令によって、竹駒寺は少し離れた地に移転しています。その際、明神思想である武隈明神は否定され、竹駒神社の主祭神が稲荷大神となりました。

稲荷神社は、全国に3万社もあると言われています。その中で篁卿が創建した竹駒神社は、今でも日本三大稲荷の一つとして人々に親しまれ篤く崇敬されています。
 

竹駒神社のご祭神
ご祭神
倉稲魂神(うかのみたまのかみ) 稲作・農耕・商工業の神
保食神(うけもちのかみ)    五穀豊穣・食物の神
稚産霊神(わくむすびのかみ)  養蚕・生成発展・縁結びの神
竹駒神社には、三柱が祀られています。この三柱を総称して、竹駒稲荷大神と讃えられています。

境内社
北野神社  菅原道真公
秋葉神社  火産霊(ほむすび)
出雲神社  大国主(おおくにぬし)・蛭子(えびす)神
八幡神社  応神(おうじん)天皇
愛宕神社  軻遇土神(かぐつちのかみ)
境内には、大小のお社が祀られています。竹駒神社の本殿と併せて、たくさんのご利益を授かることができます。 

竹駒神社のご利益
竹駒神社では、産業開発・五穀豊穣・商売繁昌・海上安全・交通安全・厄除開運・安産守護・縁結びなどのご利益を授かれます。生活を豊かにする神であるので、衣食住の守護、農業・商業・諸産業など限りないご神徳をお授けくださいます。

竹駒神社のお守り「開運招福稲荷護符」「心願成就・除災招福」には、狐や稲荷の宝玉がデザインされています。他にも、可愛らしい水琴鈴の音色の白狐鈴守や、開運きつねみくじなどがあります。

 

竹駒神社のどこが見どころか?
由緒ある竹駒神社は、平成2年に放火によって社殿が全焼しました。3年後には、1.5倍の広さで社殿が再築されています。幸いなことに、随身門・向唐門は火の粉から免れています。竹駒神社の随身門は、平成2年に岩沼市有形文化財に指定されています。1812年に建築された総欅造り2階建ての門は、江戸時代後期の秀作です。細やかな彫刻、迫力ある随身像と神狐像は見逃せません。

そして、総欅造りの向唐門は1842年の建築です。平成2年に岩沼市有形文化財、平成31年には宮城県指定文化財に指定されました。宮城県最大で深い軒の向唐門にも、賑やかで精緻な彫刻が施されています。神域を格調高く整えてくれる見事な門です。その格調高い向唐門と、門の中央に下げられた赤い大提灯との対比も見どころです。

随身門・向唐門に守られた奥に、新しい拝殿・幣殿・本殿からなる社殿が見えます。美しく再建された拝殿の左側に、トンネルの地下通路があります。

そこには消失前の元宮跡地があります。元宮跡地の北側には命婦社と、奥宮が現れます。命婦社には、命婦(霊孤)が祀られています。願い事を稲荷大神に取り次いでくださると言われています。ぜひ忘れずに参拝しましょう。

楼門・随身門をくぐった所に、神社創建の縁起に書かれている霊狐像があります。後ろ足を蹴り上げた霊狐の後ろ姿は、躍動感があり「飛躍の霊狐像」と呼ばれています。霊狐は「稲穂」と「鍬」をくわえていて、五穀豊穣と開運招福をもたらしてくれます。この「飛躍の霊狐像」は、日本彫刻界の巨匠小倉右一郎氏の作品です。昭和25年の初午大祭のときに、神社外苑で動物サーカスを興行した興行主・樽谷鹿太郎氏が感謝の証として昭和31年に奉献されたものです。

そして、境内社である出雲神社の社殿も見どころです。出雲大社の約8分の1の大きさで建立されています。様々なご神徳のある神様にお参りして、有難いご利益を授かりましょう。

竹駒神社のお祭りは「歳旦祭」で一年が始まります。そして、「どんと祭り」では、お正月のお飾り・書初めなどを焚き上げます。お焚き上げの炎にあたると若返るとか、焚き上げた書初めが高く舞い上がると字が綺麗になるなどの言い伝えがあります。

毎年旧暦2月の初午(はつうま)の日から7日間、「初午大祭」が行われます。期間中の日曜日には「神輿渡御」が行われ、半纏を被った竹駒奴・稚児・神馬・神輿が市内を回ります。数百人の行列は豪華な歴史装束をまとい、まるで絵巻物のような見応えがあります。

春のお祭りでは、5月に五穀豊穣を祈る伝統神事「御田植祭」が行われます。このお祭りは、戦後の食糧不足により、豊作を祈願して生まれました。当日は竹駒神社の神田「穂徳田」(すいとくでん)で、昔ながらの「田人」(たうと)「早乙女」の衣装を纏った男女が田植えをします。秋に穂徳田で実ったお米は、神前に奉納されます。

また、ご神恩に感謝を捧げる「秋季大祭」は、毎年9月の第4土曜・日曜の2日間行われます。日曜日には、山車や5基の小神輿、子ども神輿などが市内を練り歩きます。

他にもたくさんの祭事が行われ、見どころが満載です。人々から親しまれる竹駒神社で、清らかな気を感じてみてはいかがでしょうか。
 

竹駒神社の一番パワーのある所
竹駒神社は、社殿の後方が蔵王山の山頂付近にあたります。山岳信仰の神社でもあるので、パワーを受けやすい場所であるとも言えます。中でも特に、静寂に包まれた本宮跡地は清らかな神域となっています。心を落ち着けて聖なるパワーをいただきましょう。

 

ライター 梅花桜花
 

基本情報
住所:宮城県岩沼市稲荷町1-1
TEL :0223-22-2101
アクセス:
・仙台東部道路岩沼ICから車で約10分
・東北自動車道白石ICから国道4号線を車で約30分
・JR仙台駅より岩沼駅まで約20分
・JR東北本線、常磐線「岩沼駅」の東口より徒歩で約15分
・岩沼駅西口より バス乗車 竹駒神社前下車
公式HP:https://takekomajinja.jp/

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