天河大弁財天社

三大霊場の中心点に立つ霊験あらたかな天河大弁財天社
天河大弁財天社は奈良県の秘境にあり、「神様に呼ばれないとたどり着けない」といわれるなど、何人も寄せ付けない神秘さを漂わせる、聖地中の聖地です。「吉野」「高野」「熊野」の日本三大霊場を結ぶ三角形の中心に鎮座していて、風水から見ても大変パワーがある場所として知られています。

また、名だたるアーティストが訪れ話題になるなど、時代を超えて人々を魅了し続けています。「磐座」(いわくら)、「龍穴」と神話で伝わる場所が実際に確認されるなど、不思議な魅力がたっぷりつまった、天河大弁財天社をご紹介します。

 

天河大弁財天社の歴史
はじまり
創建は飛鳥時代までさかのぼります。龍、水分(みくまり)など、水の分配を統べる神に代表される古代民族信仰は、霊山大峯が発祥地とされ、役行者(えんのぎょうしゃ)により開山されました。その時に、大峯蔵王権現に先立ち、最高峰弥山の鎮守としてお祀りされたのが天河大弁財天のはじまりとされています。

また、弘法大師・空海は高野山を開山する以前に大峯山で修業をし、瞑想の行法「阿字観」(あじかん)を完成させました。そのため中国から弘法大師・空海が持ってきたとされる密教法具などが、最大の行場であった天河大弁財天社に奉納されています。

 

主祭神・ご利益
水の神様「市杵島姫命」(いちきしまひめのみこと)がお祀りされています。川が流れる様を神格化し、芸能の守り神でもあるため、いにしえより人々に崇拝されています。「弁財天」の別名で、「サラスバティー」というヒンズー教の女神と同じ存在と位置付けられています。

修験道の開祖で、山伏のいでたちで知られる役行者が、国家鎮護のために祈祷していたところ弁財天と繋がり、近畿最高峰の「弥山」にお祀りしました。竹生島、厳島、江の島、金華山と並ぶ「日本五大弁財天」のひとつに天河大弁財天社は数えられています。

ご利益は芸術、財産、海上安全、学問などがあります。また、本殿には弁財天である市杵島姫命のほかに、「吉野権現」と「熊野権現」など百柱余りの神様がお祀りされています。

 

天河大弁財天社の見どころ
能舞台
一の鳥居をくぐると拝殿へと参道が続きます。半円形の真ん中が太鼓の胴のように反った、朱色の小さな太鼓橋が架かり、左手には手水舎が置いてあります。手水舎で身を清め、太鼓橋を渡って石階段を登れば、神楽殿が見えてきます。

中には、赤絨毯が敷かれた立派な能舞台があります。1年の中で最大のお祭り「例大祭」、春秋の「大祭」などに、能楽奉納や演奏が行われます。

天河大弁財天社は古くから能との関わりが深いとされてきました。室町時代から江戸時代にかけて作られた能面三十一面や能装束三十点などは、文化的価値がとても高く、能楽史にとって稀有なものが収蔵されています。その中には、豊臣秀吉が寄進した豪華絢爛な能装束や世阿弥が使った面も含まれています。

 

五十鈴(いすず)
古来より天河大弁財天社に伝わる特有の神器が、五十鈴です。天照大御神(あまてらすおおみかみ)が天岩屋戸にお隠れになったとき、神代鈴をつけた矛を天宇受売命(あめのうずめ)が持ち、岩屋戸の前で舞を披露しました。

神の御稜威と御神力を切望したことにより、ついに岩屋戸が開かれて天地の輝きを取り戻したとの伝承があります。五十鈴は、天宇受売命がこの時に用いた神代鈴と、同様なものとされています。

「たまめむすび」、「いくむすび」、「たるむすび」に称される、魂の進化により三つの重要な魂の状態を意味するみむすびの精神を、五十鈴の三つの球形の特徴ある鈴が、それぞれあらわしていると伝えられています。

また、拝殿の鈴は五十鈴を2つ合わせた形になっています。放たれる五十鈴の音の響きは独特で心身が深く清められるようで、本来のあるべき姿に戻り、新たな活力が沸いてきます。

鈴の鳴らし方にも特徴があり、普通に前後に振るのではなく、鈴緒だけを円を描くように回します。訪れた際にぜひ、ご自分の耳で独特な音色をお楽しみください。なお、この音色には不思議な力がありUFOを呼ぶとの噂もあるのだとか。実際にUFOの目撃情報が、多く寄せられているそうですよ。

四石三水八ツの社
神話の時代に、神から初代天皇である神武天皇が、日本の名の謂われとなった「ひのもと」の言葉を、ここ琵琶山で授かったとされています。そのような神聖な磐座の上に建立する天河大弁財天社には、「四石三水八ツの社」があるといわれています。

四つの天から降ってきた石、湧き出る三つの清水に、社が八つ囲まれた神域を指しています。境内に三つあるとされる天から降ってきた石、すなわち天石の一つは、拝殿方向の石階段の右側にあります。

2つ目の天石は「五社殿」の前にあり、1つ目と同様に神域を示す囲いの中に天石があります。「五社殿」には、弁財天の化身である龍神の神「龍神大神」、八つの社のひとつである森本神社のご祭神「大将軍大神」、隣には、天照大御神の御別名「大日靈貴神」、そして菅原道真公である「天神大神」、さらに琵琶山地主守神である「大地主大神」の五柱の神様がそれぞれお祀りされています。

3つ目の天石は役行者堂に向かって木の下にありますが、囲いがなく目立たないので見逃さないようにしましょう。お賽銭が置かれていますから探してみてくださいね。

天石にもそれぞれ呼び名があります。五社殿前の天石は「イノコ石」と呼ばれていますが、石階段の天石は名称不詳だそうです。役行者堂近くの石は、そのままの「天石」または「玉石」と呼ばれることもあるそうです。

ちなみに4つ目の石は、天の川に架かる弁天橋の下にあるとされ「ダムダ石」といわれていますが、目印も無く、他にもたくさんの石があるため、正確な所在について現在は不明とのことです。

役行者堂
役行者をお祀りしています。お堂の正面には鈴ではなく、お寺にある鰐口(わにぐち)が吊り下げられています。役行者の真言「おんぎゃくぎゃくえんのうばそくあらんきゃそわか」または宝号の南無神変大菩薩(なむじんべんだいぼさつ)と唱えると良いといわれています。

明治時代の神仏分離の政策によりお寺の部分を離されましたが、本来の神仏習合の名残は天河大弁財天社のあちらこちらに色濃く残されています。

 

天河大弁財天社の特にパワーがある場所
本殿
小高い琵琶山にある本殿には、主祭神の弁才天像が2体祀られています。弁財天像は総じて非公開で、例大祭が行われる毎年7月16日から17日のみに開帳されます。

弁財天は、8本の腕がありそれぞれの手には宝珠、宝弓、宝鈷、宝鉾、宝刀、宝箭、宝棒、宝鑰を携え、鳥居を模した宝冠を頭にのせ、中に人の頭を持つ白蛇がとぐろを巻いている姿をしています。その姿から「八臂(はっぴ)弁財天」とも呼ばれています。

中央の天河弁財天の右側には「熊野権現」(阿弥陀如来)、左側には「吉野権現」(蔵王権現)がそれぞれお祀りされ、神仏習合の形態が今も残されています。本殿の右扉に安置されている「日輪弁財天像」にいたっては、秘仏中の秘仏とされているため60年に1度の御開帳でしか見ることができません。「木彫りで生きているようなオーラを放っている」と御拝顔できた人は、そのような感想を話す方もいらっしゃるそうです。崇高で優しく清らかなエネルギーに満ちています。

2008年(平成20年)に時勢の悪化を危惧し、本殿改築20年記念とあわせて、60年を待たずして日輪弁財天像の開帳が執り行われています。

まとめ
天河大弁財天社は、非常に清らかなご神気を感じるパワースポットです。自然と背筋も伸びるのではないでしょうか。謙虚な気持ちを忘れずに、真摯な姿勢でお参りしたいですね。

ライターネーム/サクヤ凛

 

基本情報
住所:奈良県吉野郡天川村坪内107
電話:0747-63-0558
公式HP:大峯本宮天河大辨財天社̠|天河神社|奈良県天川村|神社 (tenkawa-jinja.or.jp)
駐車場:無料駐車場あり(50台)

アクセス:
・近鉄吉野線「下市口駅」から奈良交通の路線バスが出ています。
・「下市口駅」から奈良交通の路線バス「中庵住行」に乗車し約1時間「天河神社前」下車すぐ。
・または、「下市口駅」から奈良交通の路線バスで「天川川合」下車後、徒歩約30分。
(最新の情報は公式HPでご確認ください。)

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