虎ノ門金刀比羅宮


  

四獣の銅鳥居がお出迎え「虎ノ門金刀比羅宮」
金刀比羅宮といえば、香川県のこんぴらさんが有名で、ひたすら長い石段がある風景が思い浮かぶのではないでしょうか。虎ノ門にある金刀比羅宮は、対照的にビルやコンクリートに囲まれ、ホテルオークラ東京や官庁街も近く、東京一等地に鎮座しています。

ビルの谷間にありながら社殿は大きく立派です。地上26階、地下3階の虎ノ門琴平タワーの1階に社務所があり、鳥居も高層ビルの真下にあります。近代的な景色と一体化し、スタイリッシュな都会の神社と思われますが、江戸時代からの珍しい鳥居や日本古来からの建築技法の社殿など、随所に歴史を感じることができます。ビルの間で存在感を放つ、虎ノ門金刀比羅宮の知られざるご利益や見どころなど、ご紹介します。
  

虎ノ門金刀比羅宮の歴史
はじまり

現在の港区虎ノ門交差点は、江戸時代、江戸城の南端にあった虎ノ門があったことから名づけられました。虎ノ門金刀比羅宮が創祀された年は1660年(万治3年)です。当時、讃岐国丸亀藩主(現在の香川県)だった京極高和は、藩領内の象頭山(そうずさん)に祀られている総本宮の金刀比羅宮のご分霊を、芝の三田へと勧請します。

京極高豊の代になると江戸城の裏鬼門である虎ノ門に遷座しました。江戸庶民の要望に応え、邸内を開いての参拝を毎月10日に許可するようになると、より多くの参拝客が訪れ、賑わいます。江戸時代末期には、金刀比羅信仰が流行し、虎ノ門金刀比羅宮は、人々から、「虎ノ門のこんぴらさん」と親しみをこめて呼ばれるようになりました。

第二次世界大戦で、権現造りの社殿は焼失しましたが、1951年(昭和26年)日本古来の建築技法を随所に用いて幣殿、拝殿の部分が再建され、東京都選定歴史的建造物に指定されました。なお、設計校閲は、平安神宮、明治神宮や築地本願寺など主要な神社を手掛けてきた日本で最の建築史家、伊東忠太氏によるものです。

1983年(昭和58年)には、鉄筋コンクリート造で銅板葺きの幣殿奥の本殿が、復興されました。

ご祭神・ご利益
ご祭神は、大物主神(おおものぬしのかみ)と崇徳天皇(すとくてんのう)です。大物主神は日本神話で知られ、大いなるものつまり、神々の中で最も偉大な力のある神といわれています。崇徳天皇は生前、金刀比羅宮の本宮に日夜崇拝していたことから、お祀りされるようになりました。

虎ノ門金刀比羅宮のご利益は五穀豊穣、万民泰平、海陸平穏などがあります。機運、豊かさを授かり、新しい人生を切り開くとされています。
 

虎ノ門金刀比羅宮の見どころ
銅鳥居
1821年(文政4年)に奉納された明神型の鳥居です。左右の柱上部に注目してください。四獣の見事な彫刻が施されています。四獣とは、霊鳥、霊獣のことで四方の守護神です。

青龍は東を、白虎は西、朱雀(鳥の姿)は南、玄武(亀蛇の姿)は北というようにそれぞれの方角を守っています。大変縁起も良く、精巧な造りの鳥居は必見です。

ふたつのご神紋
社殿の幕や神楽殿など至る所にふたつのご神紋が、施されています。ひとつは、一般的な金刀比羅宮の丸に金のマークのご神紋で、表紋として使われています。見るからに縁起が良さそうですね。

そして、もうひとつが葉団扇(はうちわ)です。これは江戸時代、「霊験あらたかな虎ノ門の金刀比羅宮には、天狗がいらっしゃる」と庶民の間で噂になったのがきっかけでした。葉団扇は、力の強い天狗が持っているとされ、虎ノ門金刀比羅宮の陰紋となりました。

天狗伝説も実際に残されています。明治時代、出初式のはしご乗りで死傷者が多く出ましたが、金刀比羅宮に参拝した火消しだけが、無事にはしご乗りの役を果たすことができたそうです。

大正12年、東京大震災により火災が発生し、消火をしていた宮司と職員が空を見上げると、本殿の真上に大きな雲が現れました。すると、雲の上から銀色の髭をたくわえた翁が、大きな葉を振りながら火の粉を払う姿を見たとの言い伝えがあります。火災から、ご本殿を天狗様が守ってくださったといわれています。

このため今でも、火消しの篤い信仰があり、毎年1月4日には、はしご乗りが江戸消防記念会により、盛大に行われ盛り上がりを見せています。

百度石
心願が叶ったお礼として、建てられました。正面には「百度石」、背面は「大願成就」の銘が刻まれています。

喜代住稲荷神社
金運を司るお稲荷様が祀られています。立地上ビジネスマンなどもよく訪れ、特にこちらを中心に参拝して行く人もいるようです。

 

虎ノ門金刀比羅宮の特にパワーがある場所
結神社
社殿向かって右手に幟が建っている結(むすび)神社があります。小さい社ですが、ご利益は絶大です。母なる大地のような、温かく包まれる優しいエネルギーを感じます。

明治時代に書かれた「新撰東京名所図会」では、江戸時代から特に良縁を求め女性が殺到していたと書かれています。当時、女性たちは社殿の周りの木などに、切り取った自分の髪や折り紙を結い付けていたそうです。物を結ぶつまり、縁を結ぶ意味があり、女性のまごころが込められた、乙女心くすぐる祈願として人気がありました。

そして今でも、この故事にならった祈願方法があります。まず、社務所で「良縁祈願セット」(一組800円)を授かります。赤い糸である良縁祈願紐と、えんむすびお守りがセットになっています。

結神社のご神前に向かい二礼二拍手一礼の作法で、良縁祈願紐に祈願します。所定の台に紐を結び、最後にもう一度、ご神前に向かい良縁をお祈りします。江戸時代から伝わる祈願方法を信じて行えば、ご利益がありそうですね。あなたもぜひ試してみてはいかがでしょう。 

虎ノ門金刀比羅宮の授与品
ご朱印
ご朱印には「丸金」の表紋と、「葉団扇」の陰紋が押されています。ちなみに、ご朱印は書き置きのみです。初穂料はお気持ちでとのことですので、小銭を用意しておきましょう。オリジナルご朱印帳もあります。

表紙は二代目歌川広重(江戸名勝図会)が当時の虎ノ門金刀比羅宮を描いたもので、よく見ると下には銅鳥居も描かれています。かつて江戸城の城門(外堀)がありましたが、いまではビルに囲まれているため、その面影はありません。

徒歩1分で行ける虎ノ門駅には、「史跡 江戸城外堀跡 地下展示室」があり、長さ20メートル、高さ7.4メートルの石垣が保存されています。当時の情景を垣間見ることができますので、おすすめですよ。

福銭開運お守り
お正月1月1日から、初こんぴら祭が行われる10日間のみに授与され、新しい年への開運の願いが込められています。このお守りに添えている福銭は、ご神紋が丸金のため財宝の表象とされています。また、金刀比羅様の種銭としても、縁起のいい神威あらたかな開運お守りとして、人気があります。期間中開かれる開運御守授与所は、お正月限定のお守りを求め多くの人で賑わいます。

 

まとめ
高層ビルと一体化していながら、清々しい空気が満ち溢れ、都心にいることを忘れさせてくれます。特に心に迷いが出た時や、疲れた時などは気持ちが落ち着くことでしょう。金運や出世運など、現実的な願いも聞いてくれる力強い神様です。東京にいて、四国にある金刀比羅宮と同じ波動をいただけるのも嬉しいですね。

ライター/サクヤ凛
 

基本情報
住所 :東京都港区虎ノ門1-2-7
TEL :03-3501-9355
営業時間:境内自由
定休日:境内自由
料金:境内自由
アクセス:公共交通:東京メトロ虎ノ門駅→徒歩1分
駐車場 :なし
社務所問合せ:平日:9時~16時30分 土日祝:9時~15時30分
公式HP:http://www.kotohira.or.jp/
※記載した金額等は2022年2月時点のものであり、変更の可能性があります。

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