龍神様が住む湖と大自然に囲まれた十和田神社
十和田神社は、青森県十和田市に鎮座しています。冬でも凍らない「神秘の湖」と呼ばれる、十和田湖に突き出した中山半島にある神社です。
十和田八幡平国立公園の中に位置する十和田湖は、火山活動によりできたカルデラ湖で、外周約46km・最深部327mと日本で3番目の深さを誇る湖です。空を映しこむ大パノラマの湖、手つかずの自然が残る原生林から、長い歳月の重みや強いエネルギーが感じられます。まるで、精霊がいるかのような神々しい景色が広がっています。
この神秘的で美しい十和田湖には、伝説が残されています。修行僧が湖の主・大蛇と戦い、勝利したのち龍に化身して「青龍大権現」となり十和田神社に祀られたという伝説です。北東北地方では、昔から水神を信仰していました。その中で十和田神社は、水神信仰の表象と言われています。そして、十和田湖には龍神・青龍が眠っていると伝えられています。
十和田神社の鳥居の先は、杉並木の参道が続き清々しい空気に包まれます。ご神域は不思議なエネルギーが感じられる、壮大な力強いパワースポットとなっています。
十和田神社の人気スポットに、占場と呼ばれる場所があります。吉凶を占う神意必顕の場所として永く信仰されてきました。十和田神社の山から、崖を梯子で下りた場所です。この占場の真下は、十和田湖で水深が一番深い所と言われています。占場の強いパワーと水深は関係があるのでしょうか。強い波動が放たれ、霊能者なども訪れるそうです。
長い歴史のある霊験あらたかな十和田神社は、鎌倉時代以前には修験者の修行場であり、江戸時代には、南部藩の霊場として保護され発展してきました。
かつて十和田神社は、明治維新まで「額田嶽熊野山十灣寺」という名称の神仏習合の寺院でした。当時、現在の拝殿に観音を本地仏として仏堂「十和田御堂」が安置されていました。
今では多くの人々が参拝に訪れる十和田神社は、鳥居をくぐると清らかなご神域となっています。大自然の壮大なパワーも相まった、静けさの中に力強さが感じられる神社です。
十和田神社の特徴
十和田神社には、ご祭神の青龍大権現と呼ばれる龍神様と、日本武尊(やまとたけるのみこと)が祀られています。十和田神社にはご縁起が二つ残されています。
一つ目のご縁起は、龍神様が祀られた伝説です。平安時代に熊野で修行を積んだ南祖坊(なんそのぼう)という僧侶が「百足の草鞋が破れた所に住むべし」という夢のお告げを受けます。神から鉄の草鞋・錫杖を授かった南祖坊は、お告げ通り諸国を遍歴します。十和田湖畔でついに百足目の草履が破れます。当時、十和田湖には八つの頭を持つ大蛇が住んでいました。
八つの頭を持つ大蛇は、マタギであった八郎太郎が化身していました。八郎太郎は仲間との掟を破って、自分一人で仲間のイワナまで食べてしまいます。その直後、喉が渇き33日間も川水を飲み、ついには33尺の大蛇に化けたそうです。報いを知り八郎太郎は、十和田山頂に湖を作って住み着き、主として支配していたのです。
そのため南祖坊がお経を唱えると、九つの頭を持つ龍が現れ大蛇と戦います。霊験により現れた龍は20尋(約36m)の体を、十曲(とわだ)にくねらせ戦いました。戦いは7日7晩続いた後、南祖坊が勝利します。
その後、南祖坊は十和田湖に入水したそうです。九つの頭を持つ龍は、青龍大権現となって今も十和田湖にいると崇められています。そして、十和田神社の境内社である熊野神社には、南祖坊が使っていた鉄の草鞋が納められています。
もう一つのご縁起は、平安時代の807年に征夷大将軍・坂上田村麻呂(さかのうえのたむらまろ)が創建したと言われています。東北地方の征伐の際、十和田湖が荒れて渡れないため祠を祀り祈願してイカダで湖面を渡ったそうです。
十和田神社は明治時代の神仏分離までは、東北地方に根付いていた水神信仰の表象と言われています。今も奥の院には、江戸時代に祀られた青龍大権現が鎮座しています。
十和田神社の社殿は、流造の本殿、重厚感のある拝殿など、細部に至るまでこだわった彫刻が施され、荘厳な建築美が感じられる佇まいとなっています。苔生した岩上に、拝殿が建立されています。その苔から長い歴史を感じずにはいられません。その歴史ある十和田神社のご縁起は不確かで、伝説によってさらに謎めいています。
静寂の中に落ち着いた佇まいの十和田神社は、神秘的で惹きつけられる魅力のある神社です。
十和田神社のご祭神
主祭神
青龍大権現 水の神様である神
日本武尊 武運と健康を司る神
十和田神社のご利益
十和田神社は、開運、金運、恋愛、縁結び、子宝などのご利益があります。
ご祭神である日本武尊は、強い武神です。ここぞという勝負運・迷いを断ち切り背中を押してくれる、心強いご利益があります。
珍しい授与品として「お守りの指輪」があります。指輪には各干支の絵が描かれ、色はゴールドとシルバーの2種類が置かれています。また、サイズもフリーとなっています。このお守りの指輪はとても人気で、おしゃれで手軽に身に着けられるので素敵ですね。
十和田神社のどこが見どころか?
パワーに溢れた十和田神社は、四季折々に息を飲むほどの美しい表情を見せてくれます。見どころも多くあり、自然を満喫しながらパワーを充電できることでしょう。
開運の小径
十和田神社には、開運の小径と呼ばれる道があります。その小径の岩肌には、大昔に火山が噴火し溶岩が流れた所で、ガスが噴き出したときに出来た穴があります。
岩肌のその穴を神が宿る所として、古くからしめ縄をかけ祠として祀ってきました。祠は6つあり「金の神・風の神・山の神・火の神・日の神・天の岩戸」の神が祀られています。
開運の小径は、十和田神社のパワーがある場所として人気があります。
乙女の像
十和田神社から開運の小径を通り、そして乙女の像へと繋がっています。この乙女の像は、彫刻家であり画家、詩人としても知られる高村光太郎の作品です。
国定公園指定15周年を記念して昭和28年に造られました。この像は、高村氏の傑作と言われ遺作となっています。像の女性は、高村氏の妻・智恵子がモデルと言われています。
占場
十和田神社には占場と呼ばれる聖なる場所があります。南祖坊が入水した場所です。昔は、十和田神社の山の中を150mくらい入り、鉄の梯子を下りて占場に行っていました。
現在は、落石などの危険性があるため、立ち入り禁止です。代わりに遊覧船で占場に行くことが可能です。占場はパワーが強く、霊能者などが訪れ充電する場所と言われています。
占場は、おより紙を湖に投げ入れ、その年の吉凶・事業などを占う珍しいスポットです。おより紙は、宮司が神前に供え祈願されている紙です。願いを紙に込めて水に投げ入れます。おより紙が湖に吸い込まれるように沈めば願いが叶い、浮かんだままでは願いが叶わないそうです。おより紙の占いは、乙女の像前の御前ヶ浜、又は自宅の水場でも占えるそうです。
昔の人々は、おより紙に厘銭(小銭)を包み投げ入れていました。面白いことに十和田湖底には、唐銭・清銭などの中国の古銭があったそうです。
十和田神社では冬季の間、イルミネーションのイベントが行われています。冬の凍えるような寒さの中ですが、美しい光によって、さらに神々しさが増すことでしょう。自然豊かな伝説の地で、神秘的で不思議な感覚を味わってみてはいかがでしょうか。
十和田神社の一番パワーのある所
十和田神社は、全体が神秘的なパワーに包まれています。中でも「占場」が一番強いパワーがあると言われています。
十和田湖の中で「占場」は、最も水深が深い所でパワーが強く、霊能者・祈祷師などが力を授かるために訪れるほどです。
今でも深い湖の底に龍神・青龍が住んでいて、訪れる人々にパワーを与えてくださっていると思うと心強いですね。雄大な自然に包まれて、英気を養うことができることでしょう。
ライター 梅花桜花
基本情報
住所:〒034-0301 青森県十和田市大字奥瀬十和田湖畔休屋486
TEL:0176-75-2508
アクセス:
・東北道十和田湖ICから、国道103号を30km
・JR八戸駅より、JRバス東北「十和田行き」乗車(約2時間15分) 「十和田湖」下車 徒歩約10分