ご利益の宝庫「豊川稲荷東京別院」
豊川稲荷東京別院は、明治以降に料亭や芸者で発展した土地、東京赤坂にあります。境内には、暗くなると灯る、赤い提灯がずらりと並びます。提灯をよく見ると、ジャニーズ事務所のタレントさんや芸能界の著名人の名前が書かれており、これらはみな奉納されたものだと分かります。それは、芸道精進を叶える弁天様が祀られているからです。
豊川稲荷東京別院の境内には、弁天様だけでなく、叶わない願い事がないのではないかと思えるほどたくさんの神仏がいらっしゃいます。融通金や縁切りから良縁成就まで、他では得られないご利益もたくさんあります。
さまざまなご利益がある豊川稲荷東京別院について、ご紹介していきましょう。
豊川稲荷東京別院の歴史
はじまり
豊川稲荷は、東京の真ん中赤坂にあり「豊川稲荷東京別院」の名で呼ばれていますが、「宗教法人 豊川閣妙嚴寺」(とよかわかくみょうごんじ)が正式な名称です。豊川稲荷を神社と誤解している人も多いようですが、正しくはお寺であり、曹洞宗の寺院です。
「豊川ダ枳尼眞天」(とよかわだきにしんてん)が祀られています。ダ枳尼眞天をお祀りしている稲荷は神社が多いのですが、愛知県にある日本三大稲荷のひとつ「豊川稲荷・妙嚴寺」をはじめ、豊川稲荷は別院も全て寺院です。ちなみに、愛知県「豊川稲荷」は、織田信長、豊臣秀吉、そして徳川家康など数々の有名武将からも信仰されていました。
江戸時代、愛知県豊川稲荷に祀られていた豊川ダ枳尼眞天を、大岡越前守忠相公が自宅に御分霊として祀ったことが、現在の赤坂にある豊川稲荷の起源とされています。大岡越前守忠相公は、自宅下屋敷に豊川ダ枳尼眞天を祀ると、毎月22日と午の日に下屋敷門を開放して、一般の庶民たちにも参拝できるようにしました。
また、平均年齢60歳前後の町奉行の中で、40歳という異例の若さで「南町奉行」に任命された大岡越前守忠相公は、名奉行としても有名です。由来となった大岡越前守忠相公の影響も受け、赤坂豊川稲荷では、出世運や仕事運のご利益も授かると、当時から多くの参拝客が訪れるようになりました。
境内にある六角形の大岡廟には、大岡越前守忠相公の位牌が現在も安置されています。
ご利益
豊川ダ枳尼眞天は、白狐にまたがって左手に宝珠を持ち、稲穂を右肩に担ぐ美しい女神の姿で、真言を唱えながら現れるとされています。白狐に乗っているため、稲荷信仰のお稲荷さんと混同されがちですが、豊川ダ枳尼眞天はれっきとした仏様です。慈悲深い仏様というよりは、クールで気性がはっきりしている仏様です。
そんな豊川ダ枳尼眞天も、願い事を叶えるとなったら絶大なパワーを発揮!実りの象徴である黄金色の稲穂を持っているため、金運アップの力が特に強いとされています。
境内には他にも、商売繁盛良縁、縁切り、技芸、健康、交通安全、家内安全、子宝、合格祈願など、多くの願い事に応えてくださる神様がたくさんいらっしゃいます。また、庶民の身近な七福神もすべて祀られているので、七福神巡りをすることもできます。
豊川稲荷東京別院の見どころ
本殿
まずは、本殿で参拝しましょう。本殿の左右は、大きくて凛々しい顔をした神狐がお守りしています。ご本尊は、豊川ダ枳尼眞天が鎮座。本殿には他にも十六善神、愛染妙王、摩利支天、大黒天が祀られています。
お寺なので、正面には香堂とろうそくがあります。まずは灯明、次に香を焚きましょう。お賽銭を静かに入れたら、合掌して目をつぶり、頭を下げてお話をします。終わったら礼をしますが、神社ではないので柏手は打たないようにしましょう。本殿の中は少し薄暗く幽玄で、落ち着いた雰囲気を醸し出しています。
因縁切りの守護神
本殿の奥に佇む「叶稲荷尊天」は、珍しい縁切りのご利益があるお稲荷さんです。縁切りというと怖いイメージがあるかもしれませんが、人間関係の悪縁を断ち切るのはもちろん、厄、家、土地、方位など全ての悪縁を切って禍事や災難を取り除き、開運招福のご利益をもたらすとされています。
絵馬に書いて奉納することもできます。ただし、人の不幸を願ったり、恨みを晴らすことを書いたりしないよう注意しましょう。縁を切るということだけを書くようにしましょう。
無事に悪縁が切れたら、今度は縁結びの神様に良縁をお願いしましょう。幸せへの第一歩です。もちろん、お礼参りもお忘れなく。
良縁・恋愛の仏様
同じ境内奥にある「愛染明王」は、最大の煩悩である愛欲を仏の悟りとして変えると言われています。愛情生活、結婚、恋愛などの願いや、良縁にもご利益があります。
「縁結びのご神木」梛(なぎ)の木が「愛染明王」の両側に2本並んで立っており、大きなパワーが感じられます。源頼朝と北条政子がこの木の下で、愛を誓ったというエピソードも残されています。
「叶稲荷尊天」と同様に絵馬もありますが、こちらは恋愛成就や良縁祈願にふさわしい、ピンク色のハート型です。
身代わり地蔵
今世で私たち人間が背負う業の苦しみや悲しみ、厄など、肩代わりして身代わりとなって受けてくださる、ありがたいお地蔵様です。優しいお顔だちをされており、慈悲深さが溢れています。
芸能・財運アップ弁天様
通称、弁天様と呼ばれる「弁財尊天」は、インド生まれの女神様で、七福神の紅一点でもあります。楽、知恵、弁才を司り、芸道精進や財福招来のご利益があります。赤坂は地理的に芸能事務所も近いため、アイドルやアーティストなどの芸能関係者も参拝に訪れるなど、芸能人にとっても人気のパワースポットです。
また、弁天様の足元には銭洗い池があり、ここでコインを洗うと、どこからかお金が入ってくるそうです。洗うコインは1枚で大丈夫です。洗う時に「このコインは私が持っているすべてのお金の代表です。」と心の中で唱えるのが、金運アップのコツです。
これにより、家や口座にあるお金、持っているすべてのお金の「念の垢」が落ちます。念の垢が落ちると、ぽっかりとスペースが空き、そのスペースに新たにお金が入ってくるそうですよ。お参りする際には、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。
金運上昇・融通稲荷
続いてご紹介する「融通稲荷」では、ユニークな方法で金運を授かることができるとされています。お賽銭の代わりに「融通金」を頂戴できるのです。黄色いお守り袋がお供え台の上に置いてあり、1人1袋ずついただくことができます。袋の中にはピカピカの10円玉が入っており、この融通金を大切にいつも財布の中に入れておくことで、金運財宝の融通が叶えられるとされています。
近くには「融通銭お返し処」があり、1年後に感謝をこめて礼金として奉納します。
身近なお願いごと三神殿
三神殿では、「宇賀神王」を中心に、「太郎稲荷」「徳七郎稲荷」を左右に祀っています。それぞれご利益が異なるため、目的別にお参りすることができます。
「宇賀神王」は繁栄を司り、衣食住に欠くことのできない福を生む神様です。「太郎稲荷」は健康を守り、頭痛、肩こり、身体の痛みがある箇所を救ってくださいます。「徳七郎稲荷」は、円満な人間関係をもたらすとされています。衣食住、健康面、対人関係など、生活に密着した身近な悩みに応えてくださるありがたい神様たちです。
参道の両脇には、たくさんの霊狐像が整然と並んでおり、見ごたえがあります。
子宝観音・子宝霊狐
子宝に恵まれたい方、子孫繁栄を期待する方は、ぜひこの2カ所を参拝しましょう。
「子宝観音」は、赤ちゃんを胸に抱く慈愛に満ちたお姿をされています。子宝祈願のパワースポットです。
「子宝霊狐」は「三神殿」の隣にあります。母親と子供の狐が並んでいて、子育て運のご利益があるとされています。子育て観音で元気な赤ちゃんを授かったら、子宝霊狐でその後の幸せな子育て生活をお祈りするのもいいですね。
七福神めぐり
七福神めぐりは東京の多くの場所でもできますが、場所が離れていて不便であったり、あちこち歩き回って時間が掛かったりと大変です。その点、豊川稲荷東京別院は、境内にすべての七福神が祀られているので、時間がない時でもたくさんのご利益がいただけるスポットです。
七福神めぐりの際は、用紙や色紙にスタンプを押印して回ります。スタンプを集めた後は、色紙に日付を入れてもらえますよ。10分から15分ほどで全て参拝できます。順番は、境内の地図に従って行きましょう。
恵比寿天(商売繁盛)→大黒天(除災・招福)→弁財天(芸道上達・財福招来)→毘沙門天(開運福徳・智慧出世)→布袋尊(開運、良縁)→福禄寿(福徳長寿)→寿老人(長寿)
七福神ごとに真言があります。それぞれの側にある木の柱に書かれていますので、唱えながら参拝しましょう。
霊狐塚
狐の置き物が数多く置いてあります。狐は小さなものから大きなものまで様々で、お顔も違います。廃院した寺院や神社から集められたそうで、お焚き上げ供養した後は地下へ納められます。お狐様がたくさん並んで、圧倒される空間になっています。
豊川稲荷東京別院の特にパワーがある場所
奥の院
境内奥深くにあります。参道両側には、千本幟がぎっしりと並びます。願いがこめられた、または願いが叶ったお礼として奉納された幟です。幟だけでなく狐の像もずらりと並んでおり、その様は圧巻です。
木々に覆われ薄暗く、一層神秘的になっています。豊川ダ枳尼眞天は奥の院後方、赤いお堂におられるそうで(近づくことはできません)、本堂よりも奥の院のほうが声が届きやすいそうです。
コロナ対策で今は入れませんが、自由に入れるようになれば、ぜひ中に上がってのご参拝をおすすめします。中と外では、波動の強さが違うためです。ただし、入れなくてもお賽銭箱のところまで上がって、心の中でお話すればしっかり聞いていただけるそうです。「ダキニ天って邪神なの?」と心の中で思っていると、それも見透かされてしまいますのでお気を付けくださいね。
実りの象徴、稲穂を持つ豊川ダ枳尼眞天は、邪神どころか金運を授けてくださる、絶大な力があります。お願いごとをする時は、金運を上げてもらいたい理由、自分の置かれている状況、経済状態など具体的に話しましょう。きっちりとお伝えした方が、豊川ダ枳尼眞天に届きやすくなります。
豊川稲荷東京別院には奥の院に限らず、お稲荷さんの眷属(けんぞく=神の使い)がたくさんいます。眷属は、キツイものや厳しいものもいます。礼儀を重んじるので、失礼なことをすれば当然怒られます。お稲荷さんは、お付き合いが難しいと言われますが、力は強いので正しく敬って失礼がないように接すれば、ありがたいご利益を授けてくださいます。
豊川稲荷東京別院の授与品
ご朱印帳
女性に大人気なのがご朱印帳で、デザインも着物のように華やかでおしゃれだと評判です。定番ご朱印帳は4種類あり、他にも2か月ペースで期間限定のご朱印帳も頒布されています。季節に合わせた柄で、すぐに完売してしまうとか。
限定ご朱印帳は、期間を逃すと二度と買えない場合がありますので、「これだ!」と思えたら、迷わず購入した方が良いでしょう。三所殿の授与所または稲荷会館のご祈祷受付で、ご朱印も同じく購入できます。いつも人だかりができるほど人気です。ご朱印帳と同じ柄のご朱印袋もありますので、お気に入りの柄があるかチェックしてみましょう。
お守り
「お守りを購入したら片思いが叶った、素敵な相手に出会えた」と大評判なのが「えんむすび守」です。デザインは紅白の可愛い梅があしらわれ、ポーチやバッグにも付けやすい形状になっています。参拝後は、「えんむすび守」を頂いて、あなたも効果を実感してみませんか。
初めて豊川稲荷東京別院に訪れたという方は、三面鏡タイプの「御影守」が縁起が良いそうです。これを開いて飾るのが金運アップのポイントです。豊川ダ枳尼眞天とつながることもできるそうです。このお寺にまだ1度も行ったことがない人には特に効力を発揮するそうなので、大切な人に渡すお土産としても最適ですね。
まとめ
都会の中心にありながら、自然に溢れ、でもどこかピンと張りつめた神聖な力を感じることができる豊川稲荷東京別院。境内にはいたる所に狐さんがいるため、常に見られているように思えるからでしょうか。参拝する時も背筋を伸ばし、甘えや利己的なお願い事をしてはいけない、と改めて感じます。
ただ、真剣なお願いや悩みなどは、力のある神様や仏様がたくさんいらっしゃるので、しっかりと見届けてくださる力強いパワースポットです。失礼のないように、心を込めて手をあわせることが大切ですね。願いを叶えていただいたら、必ずお礼参りにも行きましょう。
ライターネーム/サクヤ凛
基本情報
住所:東京都港区元赤坂1-4-7
電話番号:03-3408-3414
公式HP: http://www.toyokawainari-tokyo.jp/
最寄り駅:銀座線・丸の内線「赤坂見附駅」、有楽町線・半蔵門線・南北線「永田町駅」
アクセス(電車):
・銀座線・丸の内線「赤坂見附駅」B出口から徒歩で約5分、
・有楽町線・半蔵門線・南北線「永田町駅」7番出口から徒歩で約5分
アクセス(車):首都高速「霞ヶ関出口」「外苑出口」から約5分
駐車場:なし(周辺の有料駐車場を利用)
宗派:曹洞宗
御本尊: 豊川ダ枳尼眞天(とよかわだきにしんてん)
創建:1828年(文政11年)
社格等:県社
大本山:永平寺・總持寺(曹洞宗)
例大祭:1月・5月・9月の各22日
※最新の情報は公式HPでご確認ください。
※記載した金額等は2021年12月時点のものであり、変更の可能性があります。