神祀りを今に伝える日本最古の神社「大神神社」
日本最古の神社・大神神社は、奈良県桜井市の三輪山に鎮座しています。奈良盆地の南東部に位置する三輪山を拝する、原初からの神祀りを今に伝える神社です。
なだらかな円錐形の三輪山は、標高467.1m・周囲16kmの山で、山中にある神霊が鎮まる磐座が信仰の対象となっています。霊験ある神聖な三輪山は、古くは神職さえ立ち入れない禁足地でした。
大神神社の縁起書によると、三輪山頂上の磐座に大物主大神(おおものぬしのおおかみ)、中腹の磐座に大己貴神(おおなむちのかみ)、麓の磐座に少彦名神(すくなひこなのかみ)の3柱が鎮まるとあります。そして、大神神社は本殿を持たない神社として有名です。
三輪山と大神神社の拝殿との間には、結界の役割をなす三ツ鳥居と瑞垣があります。三ツ鳥居が設けられた起源は不明で、「古来一社の神秘」と古文書に残されています。
三ツ鳥居とは明神型の鳥居が3つ、横一列に組み合わされた珍しい形で、「三輪鳥居」とも呼ばれてきました。本殿にかわる三ツ鳥居とされ、神聖視されています。
大神神社の拝殿は、鎌倉時代に創建され、江戸時代の4代将軍・徳川家綱(いえつな)公により再建されたものです。これらの貴重な三ツ鳥居と拝殿は、国の重要文化財に指定されています。
大神神社は、運気上昇・運を切り開くパワースポットとしても有名です。ご祭神・大物主大神は「大いなる物の主」ということから、目に見えない精霊から災いまで、全てのものを司る神とされています。あらゆるご利益が授かれるとして、多くの参拝客が訪れています。
豊かな自然に包まれた大神神社は、優しくも凛とした神聖なエネルギーに満ちています。
大神神社の特徴
大神神社の創祀については、「古事記」「日本書紀」の神話にも残されています。「古事記」では、出雲の国の大国主神の前に大物主大神が現れて、国造りを成し遂げるため「吾をば倭(やまと)の青垣(青垣山)、東の山(三輪山)の上にいつきまつれ」と告げたと記されています。
青垣山とは奈良盆地の四方を囲む山地の名称で、青垣山の中に一際形の整った三輪山が含まれています。大物主大神が自ら、三輪山に祀れることを望んだそうです。
「日本書記」でも同じような伝承が残され、大物主大神と大国主神の問答では、大物主大神は大国主神の「幸魂・奇魂」(さきみたま・くしみたま)であると名乗り、三輪山に鎮まることを望んだそうです。
古くは神の御魂は「和魂・荒魂」(にぎみたま・あらみたま)に分かれ、和魂はさらに「幸魂・奇魂」の2つの働きに分かれると考えられました。和魂は「穏和・調和的」なお力、荒魂は「活発・能動的」なお力とされ、「幸魂」は人々を平和で幸せへと導き、「奇魂」は物事を成就に導くとされています。
大己貴命は自らの和魂を、三輪山の頂上に鎮められ、大神神社は三輪山信仰の中心をなす、広大無辺のご神徳として仰がれてきました。また、大神神社の摂社である狭井神社には、大己貴命の荒魂が祀られています。
このような大神神社の創始にまつわる神話の伝承から、神代からの歴史が続く古社中の古社として、ご祭神の神格の高さと共に、大神神社の由緒や格式の高さも窺えます。
古墳時代の第10代・崇神天皇(すじんてんのう)の頃には、国造りの神・国家の守護神として、大神神社は篤く祀られました。「大神」と記されている通り、神様の中でも大神様として尊崇を集めます。
平安時代には大神祭・鎮花祭(はなしずめのまつり)・三枝祭(さいくさのまつり)など、朝廷の祭祀として斎行されたお祭りは、今も受け継がれています。
平安時代859年に社格は最高位の正一位となり、延喜式の社格は官幣大社となります。その後、大神神社は大和国一之宮となり、朝廷から特別の奉幣を受けた二十二社の1社にも列されました。
戦国時代までの中世には、神宮寺であった大御輪寺・平等寺を中心として、三輪流神道が広まります。 江戸時代には幕府より社領を賜るなど、三輪山は朝廷や武将からの格別の保護を受けてきました。
最古の神社として、古くから崇められてきた大神神社は、今もなお多くの信仰心厚い人々が参拝に訪れています。
大神神社のご祭神
ご祭神
大物主大神
大己貴神
少彦名神
大神神社のご利益
大神神社は、古くから国造りの神・生活全般の守護神として崇められてきました。産業開発・ 方除・治病・造酒・製薬・交通安全・縁結び・金運上昇など、様々なご利益を授けてくださいます。人々が平和で幸せであり、物事が成就されるよう導いてくださることでしょう。
大神神社のどこが見どころか?
大神神社はご神体山として仰ぐ三輪山と、周辺一帯が境内地となっています。広い境内には大小様々なお社が点在しています。一木一草に神宿る聖なる三輪山の澄んだ空気が流れる中、豊かな自然の景色を楽しみながらゆっくり散策してみましょう。
拝殿(国重要文化財)
現存する拝殿は、江戸時代1664年に再建されたものです。飾りの少ない白木造りの拝殿は、横幅約17m・縦約8mの切妻造で、正面は唐破風の大きな向拝付き、檜皮(ひわだ)で葺ふかれた屋根となっています。どっしりとした構えの豪壮な拝殿は、見応えがあります。
三ツ鳥居(三輪鳥居)(国重要文化財)
本殿を持たない大神神社は、ご神体山の三輪山と拝殿を区切る境界線として、拝殿の奥に三ツ鳥居が設けられています。本殿にかわる神聖な鳥居とされてきました。
三ツ鳥居は、中央の明神鳥居の両脇に、小さな鳥居が続く横長の鳥居です。この三ツ鳥居は、3柱の神を表していると伝えられています。三ツ鳥居は拝殿からは見えないため、拝殿の左にある「参集殿」で受付をすると案内していただけます。
祓戸神社
大神神社を参拝する際は、二の鳥居の先に祀られている、祓戸神社からお参りしましょう。祓戸の四神が祀られた、不浄の気・悪いものを祓うご利益のある神社です。大神の前で祈るために、心身を清め浄化していただきましょう。
大直禰子神社(おおたたねこじんじゃ)(国重要文化財)
大直禰子神社とは、大神のご子孫・大直禰子命(若宮様)が祀られた神社です。江戸時代までは大御輪寺と称され、若宮神と十一面観音像(国宝)が祀られていました。十一面観音像は現在、聖林寺に安置されています。
狭井神社・薬井戸
大己貴命の荒魂が祀られた狭井神社は、病気平癒のご利益があるとして篤く信仰されています。また、そばに湧く薬井戸は、万病に効く薬水とされ、水を汲みに訪れる人が後を絶ちません。
ささゆり園
大神神社のご神花は、ささゆりです。昔はささゆりが三輪山周辺でよく見られましたが、近年は珍しい花となりました。境内にはささゆりを植栽・育成する回遊式の花園があり、ささゆりは保護されています。
花が咲きはじめる5月下旬から、6月上旬頃まで参拝者に公開されています。ささゆりの可憐な美しさに、魅了されることでしょう。
大美和の杜展望台
境内にある大美和の杜展望台からは、三輪山の秀麗な山容や、大和三山・二上山、周辺の寺社や古墳なども眺むことができます。奈良県の景観資産に登録されています。桜の名所としても知られ、春には多くの人で賑わいます。
巳の神杉
推定樹齢約500年のご神木「巳の神杉」は、大物主大神の化身と伝わる白蛇が、多く棲むことから名付けられました。巳の神杉には、蛇の好物「卵」がお供えされています。卵を丸飲みする蛇の如く、願いも丸飲みしてくれるよう、願いを込めて参拝者が卵を供えています。
しるしの杉
「しるしの杉」とは、ご祭神が現れたとされる神杉のことです。古くは「三輪の七杉」と呼ばれる7本の神杉、「衣掛杉・門杉(しるしの杉)・おだまき杉・燈明杉・二本杉・飯杉・伐掛杉」が境内に聳えていました。現在、7本のうち根株が残っているのは、衣掛杉・門杉・おだまき杉の3本です。
おだまき杉
大神神社は古事記によると、大物主大神と活玉依姫(いくたまよりひめ)の、恋物語の舞台となりました。
夜になると顔立ちの良い青年が、美しい活玉依姫の元を訪れていたそうです。間もなく2人は恋におち、姫は身ごもります。青年の素性は誰も知らず、素性を探るため青年が帰る時、青年の衣に赤い糸を結びつけました。その糸を辿っていくと、三輪山まで続いていたそうです。
そして、糸は杉の木のところで終わっていました。その杉は「おだまき杉」と呼ばれています。おだまきとは「緒環」と書き、糸巻きのことを指します。
夫婦岩
祓戸神社の少し先に、夫婦岩が祀られています。良縁・夫婦和合のご利益があるそうです。
仲睦まじくに寄り添うような石の様から、大物主大神と活玉依姫の恋物語から夫婦岩と名付けられました。
杉玉
大神神社のご神木は杉であり、古くより杉は神聖な木とされてきました。ご祭神の大物主大神は酒の神でもあるため、酒屋の軒下では神の霊威が宿る杉葉を束ねた酒ばやし(杉玉)を、看板として吊るす風習が生まれました。
大神神社では今でも多くの酒造業者に「しるしの杉玉」が授与されています。拝殿・祈祷殿にも大杉玉が吊るされており、毎年11月14日に行われる「酒まつり」の前日には、青々とした大杉玉に取り替えられます。
三輪素麺
三輪の銘産として有名な手延べ素麺は、大神神社にゆかりがあります。奈良時代に大神神社の神主で、大物主大神の子孫にあたる大神家の次男・穀主(たねぬし)という人は、この地に適した小麦の栽培を行いました。そして、小麦と三輪山の清流により、素麺作りを始めたと伝えられています。
三輪は素麺発祥の地と言われ、ご祭神は素麺作りの守護神としても厚く敬われてきました。
大神神社の一番パワーのある所
大神神社は、ご神体山である三輪山からの強いエネルギーが流れ込んでいます。参道も含め一帯がパワースポットとされています。中でも三輪山と拝殿を区切る境界線となる、三ツ鳥居の辺りが一番パワーがあるとされています。
大神神社のまとめ
奈良県桜井市の三輪山に、日本最古の神社となる大神神社が鎮座しています。三輪山を神霊が鎮まるご神体山として拝する、古神道の神祀りを今に伝える神社です。
縁起書では頂上の磐座に大物主大神・中腹の磐座に大己貴神・麓の磐座に少彦名神が鎮まるとあります。大神神社は大きな特徴として、本殿がないことで知られています。かつては禁足地であった三輪山と、大神神社の拝殿との間に、結界となる三ツ鳥居と瑞垣があるのみです。
明神型の鳥居が3つ横一列となった珍しい三ツ鳥居は、「三輪鳥居」とも呼ばれています。貴重な三ツ鳥居と拝殿は、国の重要文化財に指定されています。
境内には、三輪山からの強いパワーが流れ込み、運気上昇・運を切り開くパワースポットとして有名です。大神神社は、豊かな自然に守られ神聖なエネルギーに満ちています。
(ライター 梅花桜花)
基本情報
〒633-8538 奈良県桜井市三輪1422
TEL 0744-42-6633
定休日 無
拝観時間 9:00~17:00
拝観料 無
アクセス JR万葉まほろば線(桜井線)三輪駅より徒歩5分
JR桜井駅北口2番乗り場より 大神神社二の鳥居前まで 路線バス運行
京奈和自動車道 木津ICより 約1時間
西名阪自動車道 天理ICより 約30分
駐車場 有
https://oomiwa.or.jp/

