龍潭寺

唱えれば記憶増進のご利益にあやかれる「龍潭寺」
NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」で知られる龍潭寺は、静岡県浜松市北区引佐町井伊谷にあります。奥浜名湖の北部、水や緑など豊かな自然に恵まれた所に位置します。

奈良時代から続く歴史ある龍潭寺は、行基菩薩(ぎょうきぼさつ)によって開基されたと伝わる古刹です。江戸時代に本堂北側に築かれた庭園は、国指定の名勝となっています。東海一と称される庭園に、心が穏やかになることでしょう。

龍潭寺は平安時代から、遠江国(静岡県西部)を治めた井伊家の菩提寺でした。戦国時代の女城主・直虎(いいなおとら)の、ゆかりのお寺としても知られています。井伊家存続の危機において、龍潭寺は歴史の舞台となりました。

また、龍潭寺山門の南、田園に囲まれたのどかな所に、井伊家元祖・共保(ともやす)公が誕生したとされる、伝説の「共保公出生の井戸」があります。この井戸は、井伊谷の歴史や龍潭寺の縁起に、深いゆかりがあります。

龍潭寺のご利益は、「諸願成就」です。ご本尊・虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)は、智慧の仏様とされ、「求聞持法」(ぐもんじほう)という、記憶力増進の修法があります。

その真言「ノウボウ・アキャシャ・ギャラバヤ・オン・アリ・キャマリボリ・ソワカ」を、100万回唱えると、見聞きしたことを絶対忘れないとされています。そのため、合格祈願・学力などのご利益もあるそうです。いつ訪れても美しい龍潭寺で、豊かな時を過ごしてみてはいかがでしょうか。 


龍潭寺の特徴
龍潭寺は、奈良時代733年に、行基菩薩により開創されたと伝えられています。行基菩薩は、朝廷より菩薩の諡号を授けられた僧で、「文殊菩薩の化身」とも言われた高僧です。由緒ある龍潭寺に帰依してきた井伊家の祖は、龍潭寺の門前にある井戸から誕生したとの伝説が残される井伊共保公です。

古くより水が湧き出す所は、神聖視されてきました。井伊家の歴史はこの井戸から始まり、龍潭寺と深い関わりが生まれ、代々篤く尊崇していたのです。

室町時代末期に龍潭寺は、禅宗となりました。20代直平(なおひら)公が帰依した黙宗瑞淵和尚を、開山として迎えたためです。龍潭寺の1万坪もの境内には、江戸時代に建てられた貴重な建物が残されています。本堂・開山堂・総門・庫裏・霊屋などが、県指定文化財となっています。

また、江戸時代初期に造られた庭園は、国指定の名勝です。作庭したのは、小堀遠州(こぼりえんしゅう)と伝えられています。遠州公は、戦国時代から江戸時代の武将です。伏見奉行を務め、作事奉行・大名茶人としても活躍しています。

「綺麗さび」と称される、遠州公独自の美意識は、多くの大名や文化人に影響を与えてきました。龍潭寺の庭園は、季節ごとの美しい情景に溢れ、光や陰と調和した自然の趣きがあり、今でも大切に守られています。

そして、信仰心の篤い井伊家は鎌倉時代、武家で「介」を名乗ることが出来る、「武家八介」の1つ・井伊介(いいのすけ)となっています。南北朝時代には、後醍醐天皇の皇子・宗良(むねなが)親王をお迎えし、遠江国の領主として一大勢力を誇りました。ところが、戦国時代には、今川氏の圧力が強まり支配下におかれました。

22代直盛(なおもり)公が桶狭間の戦いで亡くなると、井伊家は存続の危機を迎えます。

直盛公は1人娘しかおらず、娘の許嫁には従弟であった直親(なおちか)を23代当主として迎え、家督を継がせようとしていました。

しかし、直親の父も殺害され、幼い直親も命を狙われ信州に身を隠します。そのため、直盛公の娘は許嫁の直親が亡くなったと思い、龍潭寺で出家し「次郎法師」と名乗りました。この次郎法師が後の「直虎」です。

その後、直親公は別の女性と結婚し嫡男がいましたが、直親公も今川氏により命を奪われます。井伊家に残された唯一の男子は、直親公の子である幼い虎松(とらまつ)のみとなりました。そのため、次郎法師は龍潭寺住職の計らいにより、虎松の後見人となり「井伊直虎」と名乗り女領主が誕生したのです。

当時の龍潭寺住職は、直虎の叔父にあたる人でした。

やがて直虎は、徳川・武田氏の侵攻が始まったため、虎松を三河(愛知県)・鳳来寺へ預けます。そして、虎松が15歳になると、浜松城主・徳川家康公に仕えました。その後、虎松は直政(なおまさ)と名乗り、井伊家の再興を果たしたのです。

直政は戦いで功績をあげ、家康公からの信頼も篤く「徳川四天王」と称されます。その後の井伊家は、幕末の開国で知られる直弼(なおすけ)を含め、5人が大老職まで上り詰め徳川幕府をずっと支えました。

井伊家の存続が危ぶまれた時代に、良き相談相手となった龍潭寺住職の存在は大きかったと言えます。幕府を支えた井伊家がもし絶えていたら、歴史は変わっていたかもしれません。

龍潭寺には、歴史好きにはたまらない深い魅力があります。龍潭寺そばの神聖な井戸から始まる井伊家は、龍潭寺を深く信心し、ご本尊の大きなパワーに守られていたのではないでしょうか。 


龍潭寺のご本尊
ご本尊    
虚空蔵菩薩
 

龍潭寺のご利益
龍潭寺には、「諸願成就」のご利益があります。古くから文字の読めない人のための、「絵心経」と呼ばれるお経があります。可愛らしくて親しみやすい「絵心経」も人気です。
 

龍潭寺のどこが見どころか?
龍潭寺の本堂から望める庭園は、早春の梅や椿、春は桜からツツジ・サツキ、初夏に新緑と紫陽花、秋の紅葉や楓など、1年を通して彩りに溢れています。そんな趣きある庭園を、腰を下ろしてゆっくりと眺めることができるのも魅力の1つです。

1万坪もの境内には、荘厳な本堂をはじめとする六道伽藍や、禅宗ならではの石庭、井伊家代々の墓所など、古刹ならではの見どころがあります。

静寂に包まれた優しくも凛とした空気が流れる龍潭寺には、威厳や深い歴史が感じられることでしょう。特に直虎の壮大な人生には、龍潭寺は重要な舞台となりました。井伊家が龍潭寺そばの井戸から始まったという伝説も、聖なるエネルギーを感じますね。龍潭寺を訪れて、深い歴史に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

鴬張りの廊下
龍潭寺本堂の廊下は、「鴬張りの廊下」であることで知られています。有名な左甚五郎(ひだりじんごろう)によって作られたそうです。敵の侵入を知らせるための、歩くごとにキュッキュッ鳴る特徴的な廊下を、ゆっくりと踏みしめながら歩いてみましょう。

丈六(じょうろく)の仏
遠州最大の大仏と呼ばれる、釈迦牟尼仏も安置されています。江戸時代1729年に建立された、木彫寄木造りの釈迦如来坐像です。丈六とは1丈6尺の背丈のことで、約5mの大きさとなります。座像なので身丈は2.80m、台座を含め3.55mほどです。

体には傷跡が残されています。これは明治時代の廃仏棄釈により、本堂前にあった大仏殿が壊されて、近くの子供たちによって付けられた痕跡と伝えられています。

龍の彫刻
本堂玄関から鶯張りの廊下を渡り、西側の廊下上部には、左甚五郎作の迫力ある「龍の彫刻」があります。龍の彫刻は存在感があり、人々の目を惹きつけています。

北庭(国の名勝)
本堂の北庭は、「池泉鑑賞式庭園」です。中国の道教「蓬莱神仙思想」(ほうらいしんせんしそう)から、龍潭寺の庭園には「不老不死」「永遠の繁栄」などの意味が込められています。

池の両側には庭全体の守護石となる「仁王石」、正面には「礼拝石」(坐禅石)、中心には「守護石」が配置されています。正面の小高い丘は「山の峰」を表し、周囲の丸く刈られた木々が「山脈」、心という字を模した心字池は「大海」を表しています。

また数多くの石組みと築山全体で、縁起物の「鶴亀」が表現されました。
 

龍潭寺の一番パワーのある所
龍潭寺は、特に本堂にパワーがあるとされています。また、国名勝指定の本堂北庭にも、人々を癒すパワーに溢れています。
 

龍潭寺のまとめ
静岡県浜松市北区引佐町井伊谷に、龍潭寺があります。田園風景が広がるのどかな場所に建立された龍潭寺は、行基菩薩により開基された由緒ある寺院です。江戸時代に作庭された本堂北側の庭園は、国指定の名勝であり、東海一と称されています。

龍潭寺は井伊家との深い由縁があり、山門のそばには、井伊家の祖である伝説の「共保公出生の井戸」があります。龍潭寺のご利益は「諸願成就」です。

また、智慧の仏様である虚空蔵菩薩にちなみ、合格祈願・学力向上などの祈願に多くの人が訪れています。1年を通して美しい彩りにあふれた龍潭寺では、静寂の中に豊かな時が流れています。

(ライター 梅花桜花) 


基本情報
〒431-2212 静岡県浜松市北区引佐町井伊谷1989
TEL             053-542-0480
定休日   毎年 8月15日、12月22日~12月27日
拝観時間       9:00~16:30(17:00 閉門)
拝観料   大人(高校生以上)500円 小人(小・中学生)200円
アクセス  新東名 浜松いなさI.Cより  国道257号線 南へ約10分
      舘山寺温泉街より  北へ約20分
      遠鉄バス 浜松駅 15番乗り場「45奥山行き」 神宮寺下車 徒歩約10分
      天竜浜名湖鉄道 西鹿島駅 「新所原行き」   金指駅下車 車で約5分
      天竜浜名湖鉄道 新所原駅 「掛川行き」    気賀駅下車    車で約5分
駐車場    有
https://www.ryotanji.com/
※記載した金額等は2023年9月時点のものであり、変更の可能性があります。

 

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