二見興玉神社 夫婦岩

 

お伊勢参りの前に心身を清める神社「二見興玉神社」
二見は、古くよりお伊勢参りの前に心身を清める禊(みそぎ)が行われていました。伊勢神宮の参拝は、二見興玉神社(ふたみおきたまじんじゃ)へ立ち寄り禊をしてから、外宮から内宮へお参りするのが正式な参拝ルートになります。

今では、パワースポットの夫婦岩の人気により、恋愛成就や開運、夫婦円満を求めて多くの参拝客が二見興玉神社を訪れています。潮風を感じながら、海の神域で知られる夫婦岩からの神聖なパワーをぜひ感じてみましょう。
 

二見興玉神社の歴史
はじまり
二見興玉神社は、沖合700メートルの海底にある興玉神石(御神跡)を遠くから拝むための遥拝所として創建されたのが起源だといわれていますが、その時期ははっきりしていません。創建当時は、現在のような境内は無く、鳥居が1本手建てられた現在の日の神遥拝所と、興玉神石があったのみと伝えられています。興玉神石は、猿田彦大神が天孫降臨した際に降り立ったとされる石ですが、1854年、江戸時代の安政の大地震があり海中に沈んでしまいました。

時が過ぎ、1910年(明治43年)、それぞれ歴史がある猿田彦大神(さるたひこおおかみ)を祀る興玉社と宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)を祀る三宮神社が合祀されて二見興玉神社になり、現在に至ります。

ご祭神・ご利益
二見興玉神社のご祭神は、猿田彦大神と宇迦之御魂神です。夫婦円満、縁結び、交通安全などのご利益があるとされています。

古くは、伊勢神宮参拝前に海に入って身を清める風習がありましたが、今は海に入らなくても無垢塩祓いを社殿で受けることができます。また、伊勢神宮創建に尽力した倭姫命(やまとひめのみこと)が二見浦のあまりの美しさに2度見したといわれる由緒ある場所でもあります。 

二見興玉神社の神事
藻刈神事
江戸時代、清渚と呼ばれた二見浦の海水で、穢れや罪を祓い清めるために身体を洗う禊が慣習とされてきました。これを浜参宮(はまさんぐう)と呼んでいます。

現代の浜参宮は、海へ入らなくても、二見興玉神社にお参りして無垢塩草(むくしおくさ)でお祓いすれば禊と同じ効果があるとされています。霊草である無垢塩草を採取する神事を藻刈神事(もかりしんじ)と呼び、毎年5月に行われます。

霊石である興玉神石(おきたましんせき)は、二見興玉神社のご祭神である猿田彦大神の化身であり、夫婦岩近くの海底に鎮まっているとされてきました。興玉神石は、楕円形の大きな石だったと伝えられていますが、江戸時代の大地震により海底に沈んでしまい、残念ながら現在は見ることができません。

このため、神事当日は興玉神石が鎮まっている場所の近くで、神職の方と巫女さんが舟の上からお供え物を捧げ、藻を刈ります。神事は沖合で行われますが、遠目からでも神秘的な光景を見ることができます。

採取された無垢塩草は丁寧に天日干しされ、無垢塩祓いの道具として用いられたり、お守りとして社務所で頂くことができます。

大注連縄張神事 
夫婦岩は、向かって左が男岩、右が女岩と呼ばれています。男岩は高さ9メートル、周囲44メートルで、女岩は高さ4メートル、周囲10メートルの大きさがあります。夫婦岩の間に鎮まっている興玉神石と日の出の両方を拝むための鳥居として位置づけられてきました。

この2つは約700年前もの昔から、すでに大注連縄で結ばれていました。大注連縄は全部で5本あり、1本の長さは約35メートル、太さ10センチ、重さは40キロにのぼります。そして、5月、9月、12月の年3回張り替えられます。

木遣り唄が流れる中、二見太鼓の音に合わせて多くの氏子が大注連縄を運びます。参道から参拝者も氏子とともに大注連縄を手送りするので、神事に直に参加できる醍醐味を味わうことができます。
 

二見興玉神社の特にパワーがある場所
日の神皇居逢拝所
霊石の興玉神石の皇居を夫婦岩と位置づけていることから、太陽(日の神)を拝む場所になっています。早朝は、夫婦岩を正面にしてその間から日の出を見ることができる絶好の時間帯です。日の出が夫婦岩の間から見られる期間は、春から夏の5月から7月に限られるため、この時期を見逃さずに参拝することをおすすめします。

特に夏至の日は、朝日が最も中央に見えて美しいとされています。1年の中で太陽のエネルギーが一番いただける日である夏至の早朝には、夫婦岩の間から昇る朝日を浴びながら禊を行う夏至祭が行われ、全国から事前申し込みした約250名の男女が白衣白袴を着て参加します。

更に、天候に恵まれれば、遠く富士山も拝むことができます。

また、夫婦岩は季節によって見せる表情が変化します。10月から1月の満月のころには、夫婦岩の中央から月が昇り、朝日とは対照で幻想的な世界観を堪能できます。朝日の時期ほどは混雑していないので、満月の神々しさをじっくりと体感することができるでしょう。

「輪注連縄」(わしめなわ)が鳥居のあたりにあります。初穂料は200円で輪注連縄で身体をさすれば、身体の悪い箇所や身の穢れを取り除くとされています。
 

二見興玉神社の見どころ
満願蛙
二見興玉神社のご祭神 猿田彦大神は「道開きの神様」「「導きの神様」として知られ、特に新年が始まる元旦や、進むべき自分の進路に迷った時に参拝するとよいとされています。

猿田彦大神の神使いが蛙なので、参道から神社境内のいたるところに、たくさんの蛙像が置かれています。この多くの蛙像は、ご利益をいただいた参拝者がお礼として奉納したものです。蛙の多さに比例して、いかにご利益をいただいた人が多かったかの証ともいえるでしょう。

また、手水舎では水(願)授け蛙から水を受けて、水中にいる満願蛙にかけると願いが叶うとされています。蛙にかけて、旅行から無事に帰ることをお願いするのもいいですね。

天の岩屋
二見興玉神社の境内に、天の岩屋と呼ばれる岩窟があります。この岩窟は、天照大御神の食事を作る外宮の女神、豊受大御神が祀られていた三宮神社の遺跡とされています。

天照大御神が弟須佐之男命(すさのをのみこと)の乱暴ぶりを嘆いて岩屋にお隠れになり、世界が暗闇に包まれた神話にちなんで、夫婦岩から昇る朝日を天照大神御に例え、岩屋にこの朝日が沈んでいく岩屋信仰がこの地で生まれました。これが由縁で、日の出と日の入りの象徴である夫婦岩と天の岩屋とは、対になる結びつきがあるといわれています。

龍宮社
二見興玉神社の境内に龍宮社があります。大津波が1792年5月15日にあり、その時の犠牲者を供養するために龍宮社は建てられました。

龍神大神(りゅうじんおおかみ)と大綿津見神(おおわたつみのかみ)がご祭神です。大綿津見神は龍宮の王でもあり、海の神様でもあります。

こちらの手水舎には、蛙ではなく龍がいます。本殿にお参りすれば心地よく拍手の音が響き、清々しい思いに満たされます。海の守り神なので、ご利益は海上安全・交通、商売繁盛、開運です。

毎年、旧暦の5月15日に郷中施(ごちゅうせ)という神事があり、小船にお供え物を乗せ、災害が起こらないように祈願しながら海に流す行事が行われます。
 

まとめ
二見興玉神社は禊の神社として有名ですが、夫婦岩や満願蛙など見どころがたくさんあります。風光明媚な大自然とともに、神秘的な空間も味わえます。
伊勢神宮へお参りの前に、二見興玉神社で心身を浄化して、古来の作法にのっとった正式参拝をしてみてはいかがでしょうか。

 

ライター サクヤ凛
 

基本情報
住所:三重県伊勢市二見町江575
お問合わせ:0596-43-2020(午前9時~午後4時)
公式URL: https://futamiokitamajinja.or.jp/
料金:無料
公共交通機関でのアクセス:
・JR参宮線「二見浦駅」から徒歩で約15分
・JR・近鉄「伊勢市駅」・近鉄「宇治山田駅」から「鳥羽」行きバス約20分「夫婦岩東口」下車徒歩5分
車でのアクセス:
・伊勢自動車道「伊勢IC」から車で約10分
・伊勢・二見・鳥羽ライン「二見JCT」から車で約3分
(最新情報は公式HPでご確認ください。)

 

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