十日恵比須神社

 

商売繁盛と縁結びのご利益ありの「十日恵比須神社」
十日恵比須神社は、福岡市博多区吉塚の東公園内に鎮座している恵比須神社です。約400年以上前、博多の竹内家が香椎宮、筥崎宮に参拝の帰途、浜辺で恵比須像二体を拾って、社を建てたのが始まりとされています。祭神はその「えびす様」である事代主大神(ことしろぬしのおおかみ)と「だいこく様」こと大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)をお祀りしています。

普段は閑散としていて静かな神社ですが、1月8日から11日までの正月大祭「十日えびす」では大変な賑わいになります。毎年約100万人の参詣者が、商売繁盛、家運隆盛を願って詰めかけます。参道沿いには、約400店ばかりの露天が出店し、名物の空クジなしの縁起物が当る福引を多くの人が求め「大当たり~!」や「末広がり~!」の縁起の良い大きな声が境内に響きます。また、9日の15時頃から博多芸者による「徒歩(かち)詣り」が行われるなど見どころが満載です。
 

十日恵比須神社の由来
社伝によりますと、香椎宮大宮司家の武内五右衛門(平十郎)が分家し、「神屋」と号して博多の地で商売を営んでいました。1591年(天正19年)1月3日、平十郎は香椎宮・筥崎宮に参拝し帰る途中、香椎浜に流れついた恵比須神の神像2体を拾い上げます。それを自宅に持ち帰り丁寧に祀ったところ、家運が大層隆盛しました。

翌年の1592年(文禄元年)1月10日、平十郎は感謝を込めて神像を拾い上げた場所に社殿を設けます。時を経た1681年(元和元年)11月15日、四代目平十郎は創建90年の節目の年に、千代の崇福寺境内に社殿を再建しました。

1879年(明治12年)10月、福岡県の指示によって崇福寺境内から東公園に遷座します。1929年(昭和4年)には東公園整備に伴い現在の地に遷座しました。1968年(昭和43年)には別表神社に加わり現在に至っています。

恵比須神社といえば元々、漁業と深い関係がありますが、十日恵比須神社はどちらかというと商人色が色濃く残されている神社です。漁業でも流通関係が目立つなど、起源との関連が由縁となっています。
 

十日恵比須神社のご祭神・ご利益
十日恵比須神社では事代主大神(ことしろぬしのおおかみ)と大國主大神(おおくにぬしのおおかみ)の二柱の神様を一緒にお祀りしています。事代主大神は「えびす様」、大國主大神は「だいこく様」の呼び名で広く知れ渡っていて、私たち日本人に最も親しみのある神様です。出雲大社からの御分霊を迎えて合祀しており、全国的にも非常に珍しいとされています。

・だいこく様
十日恵比須神社にお祀りされているだいこく様は、縁結びの神様としてあまりにも有名です。また、福の神としても慕われ、古来より篤く信仰を集めてきました。私たち人間が立派に成長し、社会が明るく楽しく、生きとし生ける全てのものが幸福となるように導いてくださいます。お互いの発展のためのつながりによって、人間の幸福の「縁」を結ぶ神様なのです。

・えびす様
えびす様は、「事代主大神(ことしろぬしのおおかみ)」ともいいます。父神は「大國主大神(おおくにぬしおおかみ)」で、また、「須佐之男命(すさのおのみこと)」の子孫になります。

事代主大神は父神・大國主大神の力となり、国土の経営や産業福祉の開発に尽くしました。天孫降臨に先立ち、天から出雲の地に使いの神が降りると、「この国を天つ神に献れ」と大國主大神に伝えます。そこで父神・大國主大神は、三保関で釣を楽しんでいた事代主大神にそのことを相談すると、「この国は天つ神の御子に奉り給へ」と答えたため、父神はその言葉通り天つ神に国土を奉献しました。そして事代主大神は多くの神々と一緒に皇孫を奉護して、日本建設に貢献します。

事代主大神は「えびす」様の名で知られ、「だいこく」様と共に世の崇敬が特に厚く、私達にとって一番親しみがあり最も信仰されている神様です。釣竿を手に鯛を抱いた福徳円満の優しい笑顔の姿があまりにも有名です。人の世の日常の行動や行為を良い方向へと導き、漁業の祖神として海上安全や、商売繁昌の守護神としても霊験あらたかなことで広く知られています。そして大義平和のご神徳、産業福祉の道を開いたご神業、福徳の神として敬われている神様でもあります。
 

十日恵比須神社で最もパワーがある祭事「正月大祭」

正月大祭
古文書によりますと、1592年(文禄元年)から御座が開かれたということで、長い歴史があり現在に至っています。開運御座とは、新春の縁起を祝う儀式のことです。十日恵比須神社の正月大祭は、1月8日から始まり、11日の4日間、神事が次から次へと執り行われていきます。

開運御座には各界の知名士、崇敬者などが参列しますが、一般の方も申込みをすることができます。正月大祭で祈願された方は、名前を墨書した祈願章が発行され、申込書を本殿前に納めると1年間毎朝祈願していただけます。

七福神の中のえびす様は商売繁盛の神として崇拝を集めていることもあり、正月大祭は博多商人のお祭りとして親しまれてきました。8日の「初えびす」にはじまり、9日の「宵えびす」、そして10日にはメインの「本えびす」があり、最後は11日の「残りえびす」で締めくくられます。この4日間で、400軒ほどの露店が出て、大変賑わいます。

露店商にとって、正月三が日に引き続いての商いの場になります。寒い季節の為、温かいタイ焼きやタコ焼きやなども人気ですが、えびす神社らしい、さげものの店もあります。かつては、注文の字を和洋帳面の表紙に書いて売る帳面屋も出ていました。

福引
境内では空くじなしの福引が売られていて、福笹(ふくざさ)と共に渡される縁起物は、福寄せ(くま手)や福起こし(ダルマ)、福俵等、縁起の良いものばかりが揃えられています。1年のはじまりに必ず全員に福が授かるというのが、幸先が良くてうれしいですね。福引きを引けば、境内には世話人の「大当たりー!」の声が響きます。

福引きは1月8日〜11日の間毎日行われています。そのほかに、川柳大会や献茶式なども催されます。

徒歩(かち)詣り
昔から博多は、那の津と称され、商業と貿易の町として栄えてきました。この博多の年中行事の1つが、新春の華を開く、徒歩(かち)詣りで1月9日の宵えびすの午後に執り行われます。博多券番の芸妓さんが島田のビンに稲穂のカンザシを付け、紋付正装、裾ひきの姿で徒歩詣りの、のぼりを先頭にして十日えびすの唄を博多那能津会の三味線や、笛、太鼓ではやしながら行列します。今年一年の開運、商売繁昌の祈願をします。

昔は宝恵駕(ほえかご)による参拝で、赤ズキン、赤ハッピを着こんだ行事委員長と芸妓さん達がきらびやかな駕に乗り込み、駕5丁に海山の珍味を乗せて、「ホイカゴホイ」祭りの福笹なつかしや、献上博多の帯しめてと笛や太鼓に合せて威勢のよいかけ声を発していました。そのまま市内目抜き通りを練り歩き、神社に参拝しています。しかし近年では交通事情と駕のにない手不足により、永年続いていた宝恵駕は1969年(昭和44年)の正月を以って中止となりました。翌1970年(昭和45年)から、徒歩詣りに変更され現在に引き継がれています。
 

十日恵比須神社の見どころ

鳥居
石製の明神鳥居があります。この鳥居は鎮座380年を記念して、1971年(昭和46年)に建立されました。

狛犬
2008年(平成20年)に奉納されました。小さい頭にどっしりした体が特徴的なこの狛犬は、筥崎宮や香椎宮、太宰府天満宮や水鏡天満宮など、福岡でよく見かけるタイプです。

京都の元伊勢・籠神社の狛犬に似ていることから、籠神社型狛犬と呼ぶ人もいるそうです。現在の狛犬は天皇陛下即位20年を記念して奉納されたものです。

手水舎
商売繫盛の神様・えびす様と、縁結びの神様・だいこく様をご祭神としている十日恵比須神社の手水舎では、おめでたい鯛の口から水が出ています。またその水は明治時代初期に、良質な飲料水を確保するために掘った井戸水の「松原水」です。

東公園の西口北側に説明板などと供に松原水の井戸跡が、保存されています。大正12年に曲渕ダムと平尾浄水場が完成するまで、博多地区の井戸水の水質は悪く、命の水として市民から重宝されていたのがこの「松原水」で、現在も十日恵比須神社の手水舎に使用されています。

えびす銭
十日恵比須神社には「えびす銭」というのがあります。200円で「借りる」ことができます。借りるというのは、来年この「えびす銭」を返す必要があるからです。

この元金を恵比須神社から借りるので「えびす銭」と呼ばれています。商いの元金(種銭)として神社から縁起の良いお金を借りて、これを商売の元手にします。翌年に神明の御加護により繁盛したお礼として借りたお金を倍にして神社にお返しします。そして新しい年の繁盛の為に、また新しく借りて行く習わしです。

十日恵比須神社では古くからの慣習にならい、昔の通貨1文銭を授与しています。お金が貯まる様に財布のお守りとして、大勢の参拝者がえびす銭を受けています。なお、えびす銭は神社から借りているものなので、1年間経ちましたらお礼と一緒にお返ししましょう。
 

まとめ
お正月も終わり、仕事始めや学校が始まり通常モードになりつつある毎年1月10日前後になると、福岡県博多市ではお正月以上に盛り上がる「正月大祭」が行われます。「商売繁盛」を願いに行く、福岡で働く方々の間ではメジャーなスポットになっています。

福岡県の県庁の近くにあり福岡の中心地の天神や博多駅からは少し外れた場所にありますが、福引やえびす銭など十日恵比須神社ならではの催しや縁起物があり、おすすめです。えびす様とだいこく様の最強コンビの神様をお祀りしていますので、「正月大祭」以外でも金運、縁結びの両方のご利益が頂けるのもうれしいですね。

ライターネーム/サクヤ凛
 

基本情報
住所:〒812-0045 福岡県福岡市博多区東公園7-1
電話番号:092-651-1563
HP:http://www.tooka-ebisu.or.jp/
アクセス
・JR鹿児島本線「吉塚駅」下車、徒歩5分
・福岡市地下鉄箱崎線「千代県庁口」下車、徒歩約5分
拝観時間:9時00分~17時00分
拝観料:無料
※最新の情報は公式ホームページでご確認ください。
※記載した金額等は2022年10月時点のものであり、変更の可能性があります。

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