那智の滝

滝そのものがご神体「那智の大滝」
和歌山県にある「那智」は、自然に囲まれた神秘的な地として、長い歴史を持ち日本の始まりに大きく関わるなど、日本を代表するパワースポットです。熊野信仰の一大聖地であり「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産にも登録されています。

「紀伊山地の霊場と参詣道」は、和歌山、奈良、三重の三県にまたがる紀伊山地の、山岳霊場、参詣道、そして文化的景観でこれらが顕著な普遍的価値のあるものとして、世界に認められました。今回はその中でも滝そのものがご神体の「那智の滝」にスポットをあて、魅力をたっぷりお伝えします。

 

那智の滝の歴史
はじまり

西暦起源前662年、神日本磐余彦命(かむやまといわれひこのみこと)一行は東征のため現在の那智の浜である丹敷浦(にしきうら)に上陸しました。すると、一行は光輝いている山を見つけます。その山を目指し進んで行くと、那智の滝を発見しました。そのあまりの神霊さと巨大さのため、偉大な国造りの神、大己貴命(おおなむちのみこと)をご祭神としてお祀りします。

その後、神日本磐余彦命一行は天照大神が使わした八咫烏(やたがらす)に導かれ、熊野の険しい山を越え、大和の地へ無事に入ることができました。2年後、神日本磐余彦命は初代天皇、神武天皇として即位します。

先導の役目を果たした八咫烏は、熊野の地に戻ると導きの神として信仰されていきます。ちなみに3本足のある特徴の八咫烏はそのエピソードから、ボールをゴールに導くようにとの願いをこめ日本サッカー協会のマークにも採り入れられています。

 

再生の聖地

那智の滝がある那智山の一帯は、古来から山や滝、森など全ての自然信仰の聖地でした。「熊野山略記」では西国三十三カ所観音巡礼の一番札所の「青岸渡寺」を開山した「裸形上人」、弱者を助ける仙人で修験道の開祖「役小角」(えんのおづぬ)、日本最高の天才僧侶で知名度抜群の「弘法大師・空海」をはじめ伝教大師の「最澄」や智証大師の「円珍」、叡豪(えいごう)、範俊(はんしゅん)の7名の高僧「那智七先徳」(七仙徳)が集う聖地とされてきました。

「熊野那智参詣曼荼羅」には「文覚上人」が描かれ、那智の滝壺で二人に抱きかかえられている姿が描かれています。文覚上人は37日間の冬の滝行を志し凍死してしまいますが、「不動明王」の使者の童子が現れ蘇生させた伝説が残されています。史実では、3年間滝本に籠って類まれな祈祷の力をつけた「浄蔵」(じょうぞう)や「熊野那智大社文書」には千日籠山行などで知られた「花山法皇」、また「古事談」には陰陽道の達人と名高い「安倍晴明」が那智の滝に打たれ千日間修行をしたと記されています。

修験道の基本は、厳しい修行を積むことにより一度死んで生まれ変わる、とされてきました。文覚の伝説でもあったとおり、那智の滝こそが再生(生まれ変わり)により人生の再出発としてふさわしく、甦りの聖地と位置付けられたことを物語っています。

 

ご祭神・ご利益

那智の滝は飛瀧神社のご神体です。本殿も拝殿も存在せず、直接滝を拝みます。飛瀧神社は熊野三山(熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社)のひとつ熊野那智大社の別宮になっています。那智の滝そのものがご神体の自然信仰であり、大己貴神(おおなむちのみこと)をお祀りしています。

国造りで有名な大国主命でもあります。熊野那智大社が建立される前は、熊野の神様は元々那智の滝にお祀りされていました。水は生命の母であり、那智山信仰の根本です。古来より数多くの修行者や参拝の人々が延命長寿を篤く信仰し、詣でで来ました。今日まで那智の滝の水は延命長寿の水として尊ばれています。

 

那智の滝の見どころ
日本三大神滝・日本三大名瀑

那智の滝は、那智山の奥山にある大雲取山から流れ出ていて本流にいくつもの流れが重なり合い、原生林を切り裂くように落下しています。水柱落差133メートル、銚子口幅13メートル、滝壺の深さ10メートルで落差は日本一の名瀑です。

3つの切れ目が銚子口の岩盤にあり、三筋になって落下することから「三筋の滝」とも呼ばれています。日本三大名瀑(那智の滝、華厳の滝、袋田の滝)、日本三大神滝(那智の滝、華厳の滝、布引の滝)の両方に那智の滝は選ばれています。

 

光ヶ峯遥拝石(ひかりがみねようはいせき)

飛瀧神社参道途中に祀られている石が光ヶ峯遥拝石です。大雲取山、烏帽子山とともに那智三峰に数えられ標高685.5メートルの光ヶ峯に、熊野の神様が降臨したとされ、光ヶ峯に通じているパワーのある石と敬われています。石をなでると願い事が成就するそうなので、那智の滝へ訪れた際はぜひ立ち寄ってみましょう。

 

神秘ウオーク

那智の滝は「那智四十八滝」と呼ばれるほど数多くあり、ご神体は「一の滝」になります。滝のさらに上流には美しい「二の滝」「三の滝」がありますが、立ち入り禁止の那智原始林を歩いていかなければいけません。ただし水量の少ない2月~5月は申し込めば期間限定で中に入ることができます。

ご神体である一の滝のさらに上の神域に足を踏み入れるため、熊野那須大社の正式参拝が必須になります。那智原始林は、神域であり世界遺産であり昔から手を入れることは許されない禁伐林でもあります。気軽には立ち入れない手つかずの聖域をぜひ堪能しましょう。

二の滝は柔らかい印象ですが三の滝は勢いもあり、力強さがあります。三の滝に行くまでには4回ほどの渡渉があります。橋もない沢の石の上を渡っていきます。原始林を流れる沢の水は、驚くほど透明で澄んでおり清らかです。

「神秘ウオーク」は期間限定でしかも天候にも左右されるので、申し込んでも2つの滝に辿り着けない時もあります。だからこそ、三の滝まで出会えた時は、より一層神秘的な体験を実感できるでしょう。

 

那智の滝の特にパワーがある場所

御瀧拝所舞台

朱塗りの柱で囲まれた舞台から見る那智の滝は、一番間近で拝観できるためここからみる景色は、まさに圧巻です。300円志納して、チケットではなく古来よりのお守りを頂くようになっています。水は浄化のパワーがあり、滝はその水が淀みなく流れ落ちるため、より強い清らかな力があります。ましてや那智の滝ほど巨大であればパワーも計り知れません。

通常神社のご神体は、人目にさらされることはほとんどありません。その点、御瀧拝所舞台ではご神体の那智の滝を間近で見ることができるため、大変ありがたい場所なのです。舞台の入り口近くには、滝の水しぶきにふれただけで延命長寿のご利益があるとされる「延命水」を初穂料100円納めて神盃(さかづき)で飲むことができます。神盃は記念に持ち帰ることもできるのでおすすめです。俳人高浜虚子は、この地を訪れ「神にまぜば まことうるわし 那智の滝」と詠んでいます。

せっかく訪れるなら、ダイナミックで神と崇められた那智の滝を間近で見て体感しましょう。命の根源の水が豊かに流れ落ちる様は絶景で、神武天皇がお祀りする以前から、熊野の人は神としてこの滝を崇めていました。本当に神々しいものに触れた時、時代を問わず自然の神の姿を、私たちも同じように感じ取ることができるのではないでしょうか。

 

まとめ

那智の滝は罪穢れを落として生まれ変わる再生の地として、自然信仰されてきました。観光客がたくさん訪れる観光地ですが、滝の雄大さはもちろん歴史を知った上で訪れると、より深く感じるものがあるでしょう。滝以外に近くの林にもパワーが集まっています。周囲もじっくり散策して、滝全体のエネルギーをチャージしてみませんか。

ライターネーム/サクヤ凛

 

基本情報
*住 所        和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山1
*拝観、営業時間等      特になし
*お滝拝所舞台(滝の間近まで行けます) 7:00 – 16:30
料金 大人300円 小中学生200円  団体(30人以上)280円
障がい者手帳の提示で本人と介助者1名はそれぞれ200円 
*公共交通機関   JR紀勢本線 紀伊勝浦駅から熊野御坊南海バス 那智山線(31番)で所要
約25分「那智の滝前」下車で徒歩5分(石段を降りる)
*自動車               名古屋方面から;熊野尾鷲道路 「熊野大泊IC」より所要約1時間
大阪方面から;紀勢自動車道 「すさみ南IC」より所要約1時間20分
駐車場あり
*公式HP       社殿案内(那智御瀧)|熊野那智大社 (kumanonachitaisha.or.jp)

 

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