浅草寺と縁の深い浅草の守り神「三社様(浅草神社)」
浅草寺といえば、浅草を代表する観光スポットで、シンボル雷門があまりにも有名ですが、そのすぐ近くに「浅草神社」という神社があるのはご存じでしょうか?名前が似ているため混同しがちですが、神社と寺なのでもちろん、別物です。
しかし、浅草神社と浅草寺は深い縁でつながれています。今回は、知られざる浅草神社の見どころや浅草寺との深い関係性などについて解説します。
浅草神社の歴史
はじまり
浅草神社は、東京都台頭区浅草にあります。雷門から仲見世通りを抜け、その先に見える浅草寺からさらに右へ歩を進めると、浅草神社が見えてきます。
浅草神社の歴史を語る上で、浅草寺は欠くことができません。なぜなら、浅草神社には浅草寺を建立することになった郷土神が3柱、鎮座しているからです。
浅草寺には、聖観世音菩薩(しょうかんぜおんぼさつ)の尊像が祀られています。尊像を最初に発見したのは、漁師の檜前浜成(ひのくまのはまなり)、武成(たけなり)の兄弟でした。その尊像が、聖観世音菩薩だと明らかにしたのは、郷土の村主、士師真中知(はじのあたいなかとも)です。この3人が尊像を祀り、浅草寺の歴史が始まります。
浅草寺ができると、士師の子孫の夢の中に聖観世音菩薩が出てきて、お告げをします。その内容は、「浅草寺に聖観世音菩薩を祀った功績の大きい3人を、神としてお祀りしなさい。」というものでした。これにより、平安末期から鎌倉初期以降(正確な年代不明)、浅草神社の起源である「三社権現社」が建立されます。
1868年、明治政府が発令した神仏分離令により三社明神社へと社名を改名しました。1873年には、浅草の総鎮守(そうちんじゅ)として現在の浅草神社になります。三柱の神様が祀られる由来から、地域の人々に「三社様」の愛称で親しまれています。浅草神社の荘厳な社殿は、徳川家光により1649年に建立されました。
関東大震災や東京大空襲の戦禍をくぐり抜けて社殿は被害を免れ、1951年国の重要文化財に指定されます。彩色とうるしの劣化が建物全体に進んだため、1996年、社殿が塗り直されると鮮やかな元の色彩を取り戻しました。
本殿には、平和の象徴である飛竜(ひりゅう)、麒麟(きりん)、鳳凰(ほうおう)の3霊獣(架空の生物)が極彩色豊かに描かれています。建立から350年以上たち、外壁以外は当時のままで歴史の重みを今も感じることができます。
ご祭神・ご利益
3柱の神様がご祭神です。
・士師真中知命(はじのまつちのみこと)
聖観世音菩薩像だと見抜き、ご本尊としてお祀りし、後に僧侶となりました。
・檜前浜成命(ひのくまのはまなりのみこと)
・檜前武成命(ひのくまのたけなりのみこと)
漁師の兄弟で、聖観世音菩薩像を引き上げました。ご利益は、心から強く願えばなんでも叶うとされる「心願成就」です。
身体健全、合格祈願、家内安全、商売繁盛、交通安全、無病息災、社運隆昌、病気平癒、工事安全、安産祈願、社内安全、必勝祈願など多岐にわたります。
浅草神社の見どころ
夫婦狛犬
鳥居をくぐるとまず注目してほしいスポット、夫婦狛犬があります。神の使いの狛犬は聖域を守る役目を持つことから、通常左右に分かれ配置されますが浅草神社の狛犬は、2体仲良く赤い相合傘の下に並んで置かれています。
造られた年代は不明ですが、当時からこの状態で配置され「所願成就」と、台座上部正面に刻まれています。ぴったりと寄り添った姿は微笑ましく、恋愛成就、夫婦和合、良縁のご利益があるとされています。見ているだけで愛らしく、癒されますよ。
また、夫婦狛犬にあやかったおみくじ「夫婦狛犬みくじ」があります。特徴はその文言で「プライドや勝ち負けなんてちっぽけで、いちばん大事なことは君といること」といったストレートな内容で、大吉や中吉の横に書かれています。
おみくじには、相合傘に好きな人と自分の名前を書く紙も付いており、狛犬近くにあるおみくじ結び処に結ぶことができます。カップルにもおすすめですね。
このように恋愛成就や良縁スポットが多い浅草神社では、伝統的で荘厳な結婚式を挙げることができます。境内で2人の新しい門出を、参拝客が温かい祝福の拍手で送る姿もあり、見ている側も幸せな気持ちになれます。
被官稲荷神社(ひかんいなりじんじゃ)
「被官稲荷神社」は、浅草神社の末社として、境内の裏手に鎮座しています。1854年、新門辰五郎(しんもんたつごろう)という町日消しの頭が、妻が重病になったため京都の伏見稲荷神社へ祈願に行きました。妻は全快し、そのお礼として翌年、伏見稲荷より祭神の分身を迎え入れることにしました。
そして創建されたのが、被官稲荷神社です。なぜ、被官なのか名前の由来は不明ですが、官を被る(こうむる)の言葉から出世や就職に、ご利益があるといわれています。
なお、入口正面の鳥居は、新門辰五郎が寄進したものです。関東大震災や、東京大空襲でも社殿は奇跡的に免れ、1854年からの創建時のままの姿を残しています。
石碑
境内に13個の石碑が「いろはにほへとちりぬるをわ」の順で置かれています。散策しながら巡ってみましょう。ほとんどが歌舞伎役者、小説界や狂言師を讃えるものですが、異彩を放つ石碑があります。
週刊漫画少年ジャンプに連載された「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の石碑で、他にものに比べひと際新しく目を引きます。「友情はいつも宝物」の大きな文字が書かれています。主人公の両津勘吉が台東区浅草生まれで、幼いころからいつも遊んでいた場所が、浅草神社だったことから設置されました。
浅草神社の特にパワーがある場所
槐(えんじゅ)の木
漁師の檜前浜成(ひのくまのはまなり)、武成(たけなり)の兄弟が隅田川で網に引っ掛かり引き上げたのが、浅草寺のご本尊、聖観世音菩薩像です。引き上げた聖観世音菩薩像を切り株に安置しますが、この切り株こそが槐の木でした。浅草神社境内にある槐の木は自生し、枯れてもまた生えてくるを何度も繰り返し、絶えることがありません。
また、槐は延寿(えんじゅ)とも書き縁起も良く、安産や長寿のご利益があるとされ、浅草神社のご神木になっています。槐の木は浅草寺にとっても、浅草神社にとっても非常に深い縁があり、全ての原点として崇拝されています。
浅草神社の行事
三社祭
浅草神社の年中行事は数多く斎行されていますが、最大のお祭りは例大祭「三社祭」(さんじゃまつり)です。毎年5月に行われ、期間中の3日間は約180万人もの観光客が浅草に訪れる人気ぶりで、神田神社の神田祭、日枝神社の山王祭とともに「江戸三大祭」にもなっています。
江戸の風情そのままに賑やかに神輿が渡御(とぎょ)し、見どころもたっぷりで毎日異なる祭事が行われます。特に、最終日の3日目は浅草神社の本社神興の渡御が行われるメインイベントがあり、およそ100人ずつが神輿を交代で担ぎ、観衆や担ぎ手の歓声で熱気に包まれます。
また、浅草神社の境内や神楽殿でも様な舞踊が行われます。三社祭の期間中3日間は、下町浅草が1年で1番活気づくといわれ、初夏を代表する風物詩と謳われてきました。なお、昨年はコロナ感染防止のため2日間に縮小されましたが、令和4年度については2月現在未定です。興味のある方は、公式ホームページで最新の情報を随時チェックしましょう。
まとめ
浅草寺の陰に隠れがちな浅草神社ですが、関東大震災や東京大空襲からも奇跡的に免れるなど、神社一帯が強運なエリアになっています。「夫婦狛犬」や、変わり種の「こち亀石碑」など、浅草神社ならではの見どころもたくさんあります。浅草を観光の際は浅草寺とセットで、忘れずに浅草神社も参拝しましょう。
ライターネーム/サクヤ凛
基本情報
住所:東京都台東区浅草2-3-1
TEL:03-3844-1575
受付時間 :9時~16時30分
料金:境内自由
アクセス: 東京メトロ浅草駅1番出口→徒歩7分
または都営地下鉄浅草駅A4出 口→徒歩7分
車:首都高速駒形出入口から5分
駐車場 :なし
公式HP:浅草神社 三社様 (asakusajinja.jp)
(新型コロナ感染防止のため変更がある場合もありますので、あらかじめ最新の情報を公式HPでご確認ください。)

