重蔵神社とはどんなスポットなのか?
「輪島の朝市」として知られる石川県輪島市河井町の、朝市通りの近くに重蔵神社が鎮座しています。日本海に面した河合町は輪島市のほぼ中央にあり、重蔵神社は河井町内の約1,800戸の、産土神として信仰されてきました。また、重蔵神社は「延喜式神名帳」の中の、鳳至比古神社・辺津比咩神社とされ、格式ある鳳至一郡総社とされています。
輪島の守り神である重蔵神社は、人・物・お金など全ての良いご縁を結ぶ、「結びの宮」として有名です。ご祭神には縁結びで有名な大国主命(おおくにぬしのみこと)と、出雲から来臨して能登半島を平定したとされる、大国主命の父神・天冬衣命(あめのふゆきぬのみこと)が祀られています。他にも多くの神々が祀られ、パワー溢れる神社として人気です。
能登の朝市通りは神社の参道でもあり、朝市通り・わいち通りを真っ直ぐ進むと、重蔵神社の本殿の西側に突きあたります。また、これらの通りを挟んで重蔵神社の反対側の突き当りには、重蔵神社の産屋があります。この産屋の場所は元々、鵜草葺不合命(うがやふきあえずのみこと)が生まれた所です。元気で生命力が強い神が産まれたパワースポットで、産屋をお参りすればこの神様のお力を授かれるとされています。
輪島の朝市は、平安時代から始まったとされています。重蔵神社の祭礼日に、生産物を持ちより物々交換が始まり、室町時代には毎月4・9の付く日に開催され、明治時代には毎日開かれるようになりました。朝から元気な声が飛び交い、朝市を通して様々な縁で人々も結ばれてきました。エネルギーに満ち溢れた能登の朝市が、今でも続いていることは、重蔵神社の神々にしっかりと守られているからなのでしょう。
重蔵神社の特徴
重蔵神社の歴史ははるか遠く、紀元前第10代・崇神天皇(すじんてんのう)の時代に、創建されたと伝えられています。主祭神には天冬衣命・大国主命、相殿神には五男三女神が祀られています。五男神の親神は天照大御神(あまてらすおおみかみ)、三女神の親神は素戔嗚尊(すさのおのみこと)です。古事記や日本書紀に記されている、天照大御神と素戔嗚尊が行った誓約(占い)によって、五男三女神が生まれたと伝えられています。
長い歴史ある重蔵神社には、産屋にまつわる神話も残されています。神話では昔、重蔵神社の男神様が、8月23日のお祭りの夜に松明を焚き上げました。すると、松明の灯りを目指して、舳倉島(へぐらじま)の女神様が海を渡ってきたそうです。男神様と女神様の2人は、浜で結婚しました。女神様はすぐに新しい神様を身ごもられます。男神様は出産するための小屋を建て、女神様はそこで御子神様を産みました。
その場所は現在、「重蔵神社の産屋」と呼ばれています。古くは、安産を願い産屋の屋根には、鵜の羽を葺く習わしがありました。御子神様は、屋根に鵜の羽を葺く暇がないほど早く誕生したことから、鵜草葺不合命と名付けられたそうです。
神話の時代から時が流れ、奈良時代の756年には、白山を開いた僧・泰澄(たいちょう)により、重蔵神社の地に寺院が建立されています。それ以降、重蔵神社は神仏習合のお社として、重蔵権現・十蔵大権現・重蔵宮とも称せられました。境内には堂塔伽藍が建ち並び、領主や人々から崇敬されてきました。中世には地頭・長谷部氏、温井氏などによって、社殿の造営などが行われています。
戦国時代1582年には、加賀藩祖・前田利家(まえだとしいえ)公が、能登に入国しました。利家公は重蔵神社に、武具・松明木を奉献しています。前田家では明治時代の初めまで、松明木の奉献が恒例となっていました。
明治5年には郷社、明治39年に神餅幣帛料供進社となります。本殿は明治39年に特別保護建造物に指定されましたが、明治43年の大火により焼失しています。大正7年に本殿は、旧本殿のように再建され県社となりました。また、鵜草葺不合命の産屋の場所には、重蔵神社大祭で町内を練った神輿を、一晩安置する御仮屋がありました。しかし、2014年に老朽化により解体され、2015年に現在の重蔵神社の産屋が新しく築かれています。
神話の女神様がおられた舳倉島は、輪島市から約48km沖にあります。戦国時代の終わり頃、筑前・鐘崎(現・福岡県宗像市)から移り住んだ、海士・海女が島の先祖と伝えられています。筑前の鐘崎には元々、宗像大社の沖ノ島の沖津宮・筑前大島の中津宮・宗像市田島の辺津宮の3社があります。海士は輪島でも宗像三女神を崇めるため、まずは舳倉島にも奥津比咩神社を建立しました。そして、七ッ島の中津比咩・重蔵神社を比定したそうです。
舳倉島は「重蔵島」と書かれていた時代もあり、重蔵神社は「へぐら神社」と呼ばれていたこともあったようです。長い歴史の中で「海士族の守護神」となり、時の流れに伴い「輪島塗の神様」「朝市の神様」などと信仰を集め、今では輪島全体の鎮守神とされています。「重蔵さん」と親しまれる重蔵神社は、永く人々に崇敬されています。
重蔵神社のご祭神
ご祭神
天冬衣命
大国主命
相殿神
・五男神
天忍穗耳命(あまのおしほみみのみこと)
天之菩卑能命(あめのほひのみこと)
天津日子根命(あまつひこねのみこと)
活津日子根命(いくつひこねのみこと)
熊野久須毘命(くまののくすびこのみこと)
・宗像三女神
多紀理比売命(たぎりひめのみこと)
市杆嶋比売命(いちきしまひめのみこと)
田寸津比売命(たぎつひめのみこと)
産屋
大国主命
奥津比咩命(おくつひめのみこと)
鵜草葺不合命
重蔵神社のご利益
重蔵神社は、全ての良縁結び・金運上昇・商売繁盛・家内安全・芸能上達・美容健康に、ご利益があるとされています。授与品の「重蔵さん御守・奥さん御守・うがちゃん御守」は、丸いフォルムに可愛らしい絵が描かれたもので、人気のお守りとなっています。
重蔵神社のどこが見どころか?
日本三大朝市の1つ「能登の朝市通り」の近くに鎮座する重蔵神社は、明るくスッキリとしたご神域となっています。境内には本殿・拝殿と、末社7社が建っています。境内の周囲をぐるりと囲む石垣は、輪島市景観重要建造物です。重蔵神社とこの地の歴史や文化を伝える、周囲と調和した風情ある貴重な石垣となっています。
重蔵神社には宝物も多く、木造菩薩面は国の重要文化財です。この木造菩薩面は平安末期〜鎌倉初期に造られた行道面で、現在は東京国立博物館に寄託されています。他にも醍醐帝奉納神鏡・信連奉納銅瓶・藩候奉納親筆・泰澄大師所持錫杖などが残され、由緒ある神社であることが分かります。綺麗に飾られた花手水舎や、まん丸な太鼓橋も架けられた境内を進み、まずは荘厳な本殿にご挨拶をしてから、様々なご利益がある末社を巡ってみましょう。
また、産屋も小さいながら、パワーに溢れています。古くは鵜草葺不合命が、産声をあげた神聖な場所です。以前この場所は、御神輿が祀られる御仮屋でしたが、産屋として建て替えられました。産屋は今も大祭の際は御仮屋として使われ、御神輿を入れる時は、正面の格子戸・鴨居が全て取り外せる造りとなっています。重蔵神社とともに、産屋へもぜひ足を運んでみましょう。
本殿内陣の扉(輪島市最古の漆工芸)
重蔵神社のかつての本殿は、鎌倉時代1296年に造営されています。室町時代1397年に、内陣扉は朱塗りとなりました。その本殿は残念ながら、明治43年の大火で焼失しています。ただ不思議なことに、内陣の扉だけが輪島の海に漂っていました。本殿は翌年に再建、その内陣の扉は本殿に再び用いられ、昭和5年に1度塗り替えられ今に至ります。
要石
境内には、地震除けの守護神となる要石が祀られています。古くから地震は地中にいる大鯰が暴れ、引き起こされるとされてきました。そのため、要石は地中の大鯰を押さえるために置かれたそうです。参拝した際は、大鯰がどうか暴れぬよう要石に願いましょう。
福うさぎ
要石のそばには、平たいお饅頭のように丸く可愛らしい「福うさぎ」の石像があります。福うさぎを撫でると、幸運に恵まれ運が開かれるそうです。願い事をしながら、しっかりと撫でましょう。
たぬき天神
珍しいたぬき天神には、信楽焼のたぬきもあります。たぬきは「他を抜く」と昔から伝えられ、学業・スポーツ・諸芸上達のご利益があるそうです。狡猾なたぬきのイメージは、人間がつけたものでしょう。他を出し抜くのではなく、純粋に技芸向上を祈りましょう。
産屋
産屋は重蔵神社から朝市通りを進み、歩いて10分ほどの所に鎮座しています。縁結びのパワースポットとして、産屋には多くの人が参拝に訪れています。小さな産屋の中には、大きな御柱が建てられています。御柱に触れると縁起が良いとされ、触れながら御柱のまわりを回ると、願望成就すると言われています。
御柱の周りには干支が記され、自分の干支の上に立ちましょう。右手で御柱に触れながら、願いを思いつつ右に回ります。そして、正面の拝殿で参拝して終わりです。産屋を参拝して、神のお力を授かりましょう。
重蔵神社の一番パワーのある所
重蔵神社は全体にエネルギーに溢れ、中でも拝殿前に強いパワーがあるとされています。また、産屋も元気な気に満ちたエネルギーが流れています。
重蔵神社のまとめ
石川県輪島市河井町に鎮座する重蔵神社は、河井町の産土神・輪島の守り神として信仰されてきました。長い歴史ある重蔵神社は「延喜式神名帳」でも、鳳至比古神社・辺津比咩神社とされ格式の高さが窺えます。「結びの宮」として知られ、全ての良いご縁を結ぶご神徳があります。
重蔵神社から参道でもある能登の朝市通りを真っ直ぐ進むと、鵜草葺不合命生まれた場所に産屋があります。産屋に参拝すれば、神のお力を授かれるとされています。古くから続く能登の朝市の活気は、重蔵神社の神に守られているからでしょう。ぜひ、重蔵神社と産屋にお参りして様々な良いご縁を繋げましょう。
ライター 梅花桜花
基本情報
住所:〒928-0001 石川県輪島市河井町4-69
電話番号:0768-22-0695
定休日:無
拝観時間:24時間参拝可能
拝観料:無
アクセス:
・金沢から約1時間40分(のと里山海道経由)
・特急バスでお越しの方
金沢から輪島まで約2時間
・飛行機でお越しの方
羽田空港から能登空港(のと里山空港)まで約1時間
能登空港から自動車で約30分(ふるさとタクシー)
駐車場:有
HP:https://juzo.or.jp/
重蔵神社 産屋
住所:〒928-0001 石川県輪島市河井町1‐87
定休日:不定休
拝観時間:8:30~12:00

