十根川神社

大地と空を繋ぐ迫力のご神木が聳える十根川神社
縁結びの神として知られる十根川神社は、宮崎県東臼杵郡椎葉村に鎮座しています。椎葉村は、平家の残党が道なき道を逃れて、山奥に土着した平家の落人伝説が伝えられる村です。緑の山々に囲まれた自然豊かな村は、宮崎県北西部の九州山地・中央部に位置し、村の96%が山林となっています。

その山村で荘厳な姿を留める十根川神社は、平安時代末期に平家追討でこの地に来た、源氏側の那須大八郎(なすだいはちろう)が、まず最初に陣屋を構えた場所です。

境内には、国指定天然記念物・樹齢800年の「八村杉」と呼ばれるご神木が聳えています。長く椎葉村を見守ってきた八村杉は、パワースポットとして人気です。十根川神社のパワーを示すように、大地のエネルギーを空へと放ち、天に向かい真っ直ぐ伸びています。

十根川神社周辺の十根川地区は、「重要伝統的建造物群保存地区」です。山の傾斜地にある集落は、「椎葉型」と呼ばれる建築様式の民家が建ち、背後は崖・前面は石垣が組まれています。

屋敷を囲む石垣と周囲の青々とした木々とが調和して、歴史的な美しい景観が保たれています。那須大八郎ゆかりの十根川神社では、清々しい山のエネルギーが感じられることでしょう。
 

十根川神社の特徴
十根川神社は、明治維新までは「八村大明神」と称されていました。周辺地域の氏子となる5集落(十根川・大久保・椎原・鹿野遊・内の八重)をはじめ、古くから縁結びの神として崇敬されてきました。

明治時代に入り、ご祭神に大己貴乃命(おおあなうちのみこと)が祀られ、十根川神社と称されるようになりました。

椎葉村の古文書「椎葉山由来記」・「椎葉山根源記」によると、山奥の椎葉の地には平安時代の末から、平家の残党が隠れ住んでいました。しかし、この隠れ里が源頼朝(みなもとのよりとも)に知れ、那須与一(なすのよいち)が追討の命を受けます。

弓の名手で有名な与一は当時、病気であったため、代わりに与一の弟・大八郎がこの地に追討に訪れました。

椎葉村の椎葉という地名は、大八郎が最初にこの地で陣屋を構えた際、椎の葉で屋根を葺いたことが地名の由縁です。大八郎は、この地に隠れ住む落人を発見します。しかし、かつての栄華も捨て、ソバ・ヒエ・アワなどを作りながらひっそりと暮らす落人の姿を哀れに思い、落人の討伐をしませんでした。

そして、幕府には討伐したとの旨を報告したそうです。大八郎の敵も味方もない、人情味溢れる人柄に、感動するのではないでしょうか。

その後、大八郎は鎌倉に戻ることなく、椎葉に屋敷を構え留まりました。更に平家の守護神・厳島神社の建立や、農耕の指導にあたるなど、落人を助け協力しながら暮らしたそうです。

そんな大八郎は、やがて平清盛(たいらのきよもり)の末裔・鶴富姫(つるとみひめ)と出会います。この椎葉村は、大八郎と鶴富姫との悲恋の舞台ともなりました。

大八郎は椎葉村に永住の決心を固め、鶴富姫と結ばれ、村中から祝福されます。ところが、幕府から「兵をまとめてすぐに帰れ」との命が届きます。このとき、鶴富姫は身ごもっていました。しかし、平家の姫と戻ることができず、悲しい別れが訪れます。

大八郎は名刀「天国丸」を渡し、「男子が生まれたら故郷の下野(栃木県)へ、女子が生まれたらここで育てよ」と言い残したそうです。やがて、鶴富姫は女の子を出産します。女の子が成長すると、婿を迎え「那須下野守」と大八郎の名を名乗らせたそうです。

十根川神社の境内に聳えるご神木・八村杉は、1204〜1206年の間に大八郎によって手植えされたと伝えられています。別名「十根の杉」とも言われています。

樹齢800年を超える八村杉は、根周りは19m・樹高54.4m・目通り幹周り13.3m・枝下の地面の全周99mです。国内2番目の高さを誇り、根回りは国内で4番目となっています。地面から1番下の枝までは27mあり、整然と伸びる姿が美しく、昭和10年に国指定天然記念物となりました。

椎葉村を見守る神のような、存在感ある真っ直ぐに伸びる八村杉は、大八郎のこの村の平和を願う、真っ直ぐな思いとシンクロしているかのようです。

また、大八郎は鶴富姫と出会う前から、この地にとどまる決意をしています。この地には元々、大八郎を留まらせることとなった、大きな魅力・パワーがあったのではないでしょうか。
 

十根川神社のご祭神
ご祭神   
大己貴乃命
 

十根川神社のご利益
十根川神社は、縁結びのご利益があります。また、八村杉の他にも大木が聳える境内は、巨樹のパワースポットとなっています。
 

十根川神社のどこが見どころか?
十根川神社が鎮座する椎葉村には、四季の移ろいの中に自然の美しさがあり、日本の原風景が広がっています。広大な面積を持ちながらも人口は3,130人ほどで、古くから農作業などを助け合う相互扶助の精神が受け継がれ、人々の深い絆により自然や文化が守られています。

斜面に作られた集落には、お城を思わせる石垣や石段が各所に築かれ、豊かな緑と重なり合って趣きある山村の景色が残されています。

十根川神社を守る森には、八村杉を囲むように、イチイガシ・トチノキなどの巨木が青々と生い茂っています。巨樹の野外博物館とも言えるこれらの樹林は、「十根川重要伝統的建造物群保存地区」の特定物件です。十根川神社の鳥居をくぐり参道を進むと、木々の緑と調和した、朱を基調とする美しい社殿が見えてきます。

そして、社殿の左奥に聳える巨樹が、国指定天然記念物のご神木「八村杉」です。パワーある八村杉を囲むように、周囲には回廊が設けられ、近くで見られるようになっています。那須大八郎が手植えした八村杉は、樹齢800年を超えても、樹勢の衰えはなく真っ直ぐで力強いパワーが感じられます。

天孫降臨の地である宮崎は、自然界・五穀豊穣への感謝として、神に捧げる神楽が盛んです。椎葉村の26地区それぞれの神楽を総称して「椎葉神楽」と呼ばれ、国の重要無形民俗文化財となっています。各地区で舞い・衣装・リズムも様々で、昔のままの神楽が伝承されています。

また、毎年11月に行われる「椎葉平家まつり」の初日の夜には、平家の末裔・鶴富姫の御霊を慰めるための「鶴富姫法楽祭」が行われています。源氏武将・那須大八郎と鶴富姫の逢瀬が再現される、幻想的な「鶴富姫法楽祭」は、お祭りの中でも1番の見どころです。

また、お祭りの2・3日目に行われる、総勢200人による絢爛豪華な「大和絵巻武者行列」も、源平時代にタイムスリップしたようで見応えがあります。

利根川神社と縁ある那須大八郎が、幕府の命令通りに椎葉村の平家の落人を討伐していたら、今の椎葉村はありません。大八郎と鶴富姫がご縁あって巡り合った、深い歴史と文化が息づく、十根川神社に守られた椎葉村の地を訪れてみてはいかがでしょうか。
 

十根川神社の一番パワーのある所
十根川神社は、全体が清々しいパワーに包まれています。中でもご神木・八村杉には、上昇する力強いパワーがあるとされています。
 

十根川神社のまとめ
宮崎県東臼杵郡椎葉村に鎮座する十根川神社は、縁結びの神として知られています。平家の落人伝説が伝えられる椎葉村は、自然豊かな山間の村です。平家追討のため訪れた那須大八郎が、最初に陣屋を構えた場所が十根川神社の地です。

大八郎は人情味に溢れ、落人を討伐せず、この地で数年を平家と共に生き、悲恋の恋物語も残しました。境内には国指定天然記念物・樹齢800年のご神木「八村杉」が天を衝くように聳えています。椎葉村を長く見守ってきた八村杉は、大八郎のお手植えとされ、パワースポットとして大切に守られています。

「重要伝統的建造物群保存地区」である十根川地区は、歴史的な美しい景観が保たれています。那須大八郎と縁ある十根川神社と、かつて平家と源氏が共に暮らしたこの地を、訪れてみてはいかがでしょうか。

(ライター 梅花桜花)
 

基本情報
〒883-1601  宮崎県東臼杵郡椎葉村大字下福良十根川
TEL  0982-67-3139(椎葉村観光協会)
定休日   無
拝観時間  24時間参拝可能
拝観料   無
アクセス  椎葉村役場より  車で20分
      日向市駅から   バスで120分
      宮交バス車庫から バスで20分
駐車場     有

 

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