大谷観音

巨大な岩からの強力なパワーに圧倒される「大谷観音」
栃木県宇都宮市大谷町に、「大谷観音」と親しまれている大谷寺があります。大谷寺のご本尊・千手観音菩薩像自体が「大谷観音」と呼ばれています。宇都宮の中心部より北西部にある大谷町は、古くから大小の岩が屏風のように連なり、大谷と呼ばれていました。

周囲は豊かな自然に囲まれ、山・川・田畑が広がるのどかな地域です。大谷町は「石の里・大谷」と呼ばれ、緑色凝灰岩が体積してできた「大谷石」の産出地として知られています。

大谷寺の本堂は、大谷石の巨大な岩の下にある洞穴に、本堂全体がピタリと収められたように建てられています。本堂前に立つだけで、巨大な岩からの強力なパワーが感じられ、自然に作りだされた岩の奇観に圧倒されることでしょう。

大谷寺の本堂内には、大谷石でできた自然の岩壁に、10体の摩崖仏が彫られています。これらの摩崖仏は、奈良時代〜鎌倉時代にかけて造られたもので、日本最古のものとされています。

大谷寺の摩崖仏は、国内の石像彫刻の中でも優秀な技巧を究めたものであり、国の特別史跡・重要文化財に指定されました。また、大谷寺のある御止山は、凝灰岩から成る奇岩群と、赤松が育つ美しい山の景色から「陸の松島」とも呼ばれ、国の名勝としても指定されています。

洞穴内に建つ大谷寺には、ひんやりと厳粛な空気が流れ、その神聖さに包み込まれるような、不思議な感覚を受けることでしょう。パワースポットとしても知られる大谷寺には、多くの人が訪れています。 


大谷観音の特徴
大谷寺は寺伝によると、平安時代810年に開創されたとされています。弘法大師(こうぼうたいし)がこの地を訪れ、岩壁に千手観世音菩薩像を彫ったことが、大谷寺の始まりと伝えられています。

鎌倉時代初期には坂東33観音霊場の1つに定められ、鎌倉幕府の有力御家人であり、この地を納めた宇都宮氏の庇護のもと大谷寺は隆盛しました。その後、大谷寺は一時衰退しています。

江戸時代に入り、徳川家康(とくがわいえやす)公が日光東照宮(日光市)に祀られると、家康公の長女・亀姫様は、江戸と日光の中継所として大谷寺を復興され、天海大僧正の弟子で当時の大谷寺住職・伝海僧正の中興を援助しました。

宇都宮城主として奥平忠昌が再封された1622〜1668年の間に、大谷寺の堂宇は再建されています。大谷寺は歴代の日光輪王寺(日光市)の宮様の休憩所・宿泊所となり、寺紋には「菊の紋」「葵の紋」があります。

古くから大谷寺は「大谷観音」と呼ばれ、多くの人々から尊崇されてきました。本堂内には、弘法大師の作とされるご本尊・千手観音立像とともに、釈迦3尊・薬師3尊・阿弥陀3尊の10体が安置されています。

これらは日本最古の摩崖仏とされ、その10体を総称し「大谷崖窟仏」と呼ばれ、昭和29年に国の特別史跡、昭和36年に国の重要文化財として二重指定を受けています。

また、昭和29年には大谷寺前に、岩壁を削って巨大な「平和観音像」が建立されました。終戦後、戦没者の霊を慰めるためと、世界平和を願い造られた観音像です。

大谷寺は明治時代以降、保護もなく再び衰退の一途を辿っていました。時代も移り変わり、建造物に重宝された大谷石の採掘量の減少と、コンクリートが多く使われるようになり、町の活気も失われていきます。しかし、国の史跡や文化財の指定・平和観音像の建立などにより、現在は観光・札所参詣者で賑わいを見せています。

最新の研究によると「大谷崖窟仏」は、アフガニスタンの古代遺跡群「バ―ミヤン石仏」との共通点が見られることが分かりました。そのため弘法大師が彫ったのではなく、実際はアフガニスタンの僧侶によって彫られたものと推測され、日本のシルクロードなどと呼ばれています。

摩崖仏は岩壁に直接彫刻し、防水・防腐のため朱を塗布し、粘土によって細やかな化粧を施した上に黒漆が塗られ、表面には金箔があしらわれた黄金の摩崖仏であったようです。今では輝きが褪せてしまいましたが、長い歳月を洞穴の中で守られてきた、大谷寺の摩崖仏は守るべき貴重な石仏であることが分かります。 


大谷観音のご本尊
ご本尊  
千手観世音菩薩
 

大谷観音のご利益
大谷寺のご本尊・千手観音には、千の手と千の目があり、いつでも見守っていただけます。千手観音は、宇宙に存在する全ての生物を救ってくださる観音様です。大谷観音を参拝すると、宇宙と繋がり魂が浄化されると伝えられています。
 

大谷観音のどこが見どころか?
大谷寺の周辺は、大小の岩壁がそそり立ち、周囲の豊かな自然と調和した景勝地となっています。大谷寺の前には大谷公園があり、巨大な「平和観音」が大谷の町を静かに見守っています。

「大谷観音」と「平和観音」は混同されがちですが、「大谷観音」は大谷寺本堂に安置されているご本尊であり、「平和観音」は大谷公園内の巨大な観音像です。

大谷寺の隣には、大谷石の砕石場跡を利用して作られた、地下30mの大谷資料館もあり、大谷石産業の歴史や文化が学べます。古代の地下帝国を思わせるような広い地下空間は、ひんやりと涼しく幻想的な雰囲気が醸し出され、特に夏におすすめのスポットとして人気です。

大谷寺とその周辺には見どころが多いので、大谷の町をゆっくりと散策してみましょう。

千手観世音菩薩(国指定特別史跡・国指定重要文化財)
大谷寺の本堂奥には岩壁に浮彫された、ご本尊・千手観世音菩薩立像があります。穏やかな面影の千手観音は、高さ3m89㎝あり「大谷観音」と親しまれ、古くより人々に尊崇されてきました。

千手観音は合掌する2本の手の他に、40本の手があります。1本の手は25の世界を救うとされ、40本×25で千手となっているそうです。千の手には目もあり、宇宙に存在する全ての生き物を、必ず見守り救ってくださる有難い観音様です。

御止山(国指定名勝)
大谷寺は御止山にあります。御止山は赤松と大谷石の奇岩群から成る、風光明媚な景勝地です。平成18年に国の名勝に指定されています。江戸時代に日光輪王寺宮様の御用山として、秋には松茸狩りをされた山でした。そのため、一般人は入山を止められたことから、「おとめやま」と呼ばれたそうです。

大正天皇は御止山に度々参詣され、お手植えの松もありましたが、今は山頂に記念碑が建立されています。現在は誰でも入山できますが、自然の景観保護のため、安全柵等はないので十分に気を付けて散策を楽しみましょう。

弁天堂
大谷寺の前庭には、不忍池(東京上野)を模したとされる池と、弁財天が祀られた弁天堂があります。弁天堂の脇には、神使の白へびの像もあります。かつてはこの周辺の谷川に、毒蛇が棲んでいて時折毒を水に流すため、川の水に触れた生き物はすぐに息絶え地獄谷と呼ばれていました。

平安時代810年に、弘法大師がこの話を聞き、人々を救うため毒蛇が棲む谷に入りました。10日程経って、大師は毒蛇を退治したと告げ立ち去ります。人々は谷の奥を見てみると、高い岩山には光り輝く千手観音が彫ってありました。そして、毒蛇は心を入れ替え白へびに変わり、弁財天にお仕えするようになったそうです。

これは大谷寺の縁起となっています。弁天堂を参拝後に、白へびの頭を軽くさするとご利益があるそうです。

大谷寺宝物館
縄文時代の人々は、自然の岩陰を居住地として生活していました。 大谷寺では、昭和40年の防災工事中に、お堂の下から多くの土器・石器が出土しています。

宝物館では、それらの貴重な出土品が展示され、中には約11,000年前の縄文最古の人骨もあります。人骨は20歳位の男性で身長154cmとされ、小さく丸められたように埋葬されたものです。他にも江戸時代の古いお堂の天井絵「龍」の日本画や、平和観音の原型などが展示されています。

平和観音
大谷寺のすぐ前にある大谷公園の岩壁には、戦没者の慰霊・世界平和を願って彫られた、高さは27mもの「平和観音像」があります。昭和23年から6年の歳月をかけた、手彫りの観音像です。

昭和31年には、日光輪王寺門跡の菅原大僧正により、開眼供養が行われました。慈愛に満ちた平和観音を前にして、多くの人は自然と世界平和を願うのではないでしょうか。観音像横の階段を上ると、大谷の町並みを一望できます。
 

大谷観音の一番パワーのある所
大谷寺のある、御止山全体に自然の大いなるパワーがあります。中でも大谷寺の本堂内にある、ご本尊の千手観音立像をはじめ、釈迦3尊・薬師3尊・阿弥陀3尊の10体にはパワーがあるとされています。
 

大谷観音のまとめ
栃木県宇都宮市大谷町に大谷寺があり、「大谷観音」と親しまれ尊崇されてきました。ご本尊の千手観音菩薩像自体が、「大谷観音」と呼ばれています。大谷町は「石の里・大谷」と呼ばれ、「大谷石」の産出地として知られています。

大谷寺の本堂は、大谷石の巨大な岩の下にある洞穴に、本堂が埋め込まれたように建てられています。本堂内のご本尊を含めた10体の摩崖仏は、日本最古のものとされ、国内でも優秀な技巧を究めた摩崖仏は、国の特別史跡・重要文化財に指定されました。

また大谷寺のある御止山は、景観の美しさから国の名勝となっています。厳粛な空気が流れる大谷寺は、神聖なパワースポットとして多くの人が訪れています。

(ライター 梅花桜花) 


基本情報
〒321-0345 栃木県宇都宮市大谷町1198
TEL 028-652-0128
定休日   木曜日(祝日は営業) 毎年12月26日~31日
拝観時間  夏季  4月~9月 8:30~16:30
      冬季10月~3月 9:00~16:30
拝観料   大人500円 中学生200円 小学生100円
アクセス  JR宇都宮駅西口 関東バス「大谷立岩行き」大谷観音前下車 徒歩3分
      東北自動車道 宇都宮ICから 約10分
駐車場    有
http://www.ooyaji.jp/

 

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